何気ないふりを装うあなた
知らぬふりを装うあたし

絶え間ない会話
いつものバトル
ねぇ、終ったのはいつのこと？

引かれるイス
後ろに立つあなた
交わる視線
絡む愛憎

そうね、強すぎる薬は毒になってあたしを侵す
始まりはいつも優しく
終わりはいつもあいまいで
知らぬ間にぎりぎりの綱渡り

染められるものなら染めてみて
奪えるものなら奪って見せて

挑まれるようにつかまれた手首。
自覚のないまま躊躇に震える体
もう、離れることは許されない

落ちていくのはあたしのなにか
誘われる深遠はただ一つ

複数の視線が、容赦なくあたしに集まる
でも恐いのは、望んでいるのはただ一つ

ふとした拍子になくなる視線
前より強いものは蒼

食事を終えて、椅子をひかれ、驚愕が襲ったのは次の瞬間、
ふわり
あたしが消える
守っていたものが
守らなくてはいけなかったものが
いともあっさりと一人の男の手の中で

響いたのは誰の声？
こんな女の声は知らない

広い胸、硬い、でも暖かな体。
あたしを再構成したのは慣れつつあった男の体

「ほらみろ、着なれない物を着るからだ。」
灼熱の声
かすれた闇の激情

真っ赤になって身動きできなくなったあたしを
空に抱えて、部屋へ連れていくあなた。

信じていい？
これからずっとあなたはあたしのもの
もう戻れない、戻るつもりもない

朝焼けのなかで誓われた言葉