第4話『逆転を継ぐ者』第2回法廷(その2)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
絵瀬 まこと…黄緑
絵瀬 土武六…灰
或真敷 バラン…薄橙
葉見垣 正太郎…橙
或真敷 ザック…青
糸鋸 圭介…黄土
原灰…黄
ラミロア…藤
牙琉 霧人…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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王: 証人”牙琉 霧人”の動機。
それは‥‥
切手が、絵瀬 土武六氏のもとに
届いた理由を考えれば、明白です。
裁: その”理由”というのは‥‥?
王: もちろん、”贋作”ですよ。
今から、7年前。
絵瀬 土武六が初めて引き受けた
証拠品の<<ねつ造>>‥‥
裁: それは‥‥見覚えがありますぞ。
たしか‥‥手記の1ページですな。
<<或真敷 天斎>>の‥‥
霧: 成歩堂 龍一弁護士が
バッジを失うハメにおちいった。
‥‥あのときの証拠品ですね。
忌まわしい。
王: ‥‥この証拠品は、
たしかに”ニセモノ”です。
しかし。ねつ造を依頼したのが
成歩堂さんだったかどうか‥‥
それは、立証されていません!

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: あの事件の担当弁護士は、
成歩堂 龍一だった。
”勝ち”に目がくらんだ
担当弁護士以外に‥‥
ダレがそんな偽造をしようと
考えるんだい?
王: ‥‥‥‥‥‥
ところで。
この<<依頼状>>‥‥
モチロン、覚えてますね?
これが、1枚目です。
‥‥そして、こちらが2枚目。
裁: きのうの法廷で
提出されたものですね。
<<贋作>>の依頼人が、
絵瀬 土武六氏に宛てた手紙です。
王: ”同封の切手”‥‥それこそが、
この、猛毒の記念切手だった。
絵瀬 土武六氏は、つい
先日、死に至りました。
‥‥しかし。
その”理由”は、今から
7年前に生まれていたのです!
牙: 7年前‥‥だって‥‥
王: <<偽造>>を依頼した人物は、
そうとう用心深かったのでしょう。
だから、自分と<<ねつ造>>を結ぶ、
すべてのものを消そうとした‥‥
裁: ”口封じ”‥‥ですか‥‥
王: ‥‥しかし。
手ちがいが起こってしまった。

ま: 『‥‥切手は、大好きな魔術師の
絵だったから、もらったの‥‥』
『‥‥小さいころ、おとうさんに
連れていってもらった‥‥
‥‥大好きだったんです。
あの大魔術ショーが‥‥』

王: ‥‥そのせいで、犯人の
”時限爆弾”は不発に終わった。
猛毒の切手は
ガクに飾られてしまい‥‥
そのまま、
7年が過ぎてしまったんです。
牙: ‥‥おデコくん。
キミ、自分の言ってることが
わかってるのかな?
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
牙: 手記の<<ねつ造>>を企んだ人物が、
切手を”毒”に染めた‥‥
その”証拠品”は、7年前。
成歩堂 龍一から提出された。
つまり。絵瀬 土武六の殺害を
企んだ人物は‥‥
成歩堂 龍一ということに
なってしまうのさ!

(ざわめきが起こる)

(王泥喜「異議あり!」)
王: ‥‥ザンネンながら、
そういうことにはならない!
牙: どういうことだい‥‥?
王: この事件の資料を調べて‥‥
見つけたんですよ。
‥‥7年前。
あの法廷が始まる直前‥‥

み: 『あ。そうだ! ‥‥オジちゃん!
あの。あの‥‥コレ。』
成: 『これは‥‥?』
み: 『わかんない。
今、そこの廊下で、もらったの。
<<アタマのトガった、青い服の
オジちゃんに渡してくれ>>って。』

王: ‥‥そして、
もうひとつのジジツがあります。

ザ: 『今回は‥‥
急な話でモウシワケなかった。』
成: 『前任の弁護士さんから資料を
受け取ったのが、きのうです。』
ザ: 『‥‥ムリを言ってるのは
じゅうぶん承知の上だ。』
成: 『しかも。事件のお話も、
ほとんど聞いていません。
やったのは‥‥ポーカーだけです。』
ザ: 『‥‥いや。それでいいんだ。』

王: 成歩堂 龍一が依頼を受けたのは、
審理の前日のことだったのです。
当然、<<ねつ造>>を依頼する
時間など、あるワケがないッ!
牙: ぜんじつ‥‥
王: それでは‥‥いったい。
誰だったのでしょうか?
奈々伏 影郎の、
本来の”担当弁護士”とは‥‥
霧: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
牙: ま。まさか‥‥
王: ‥‥今さら、
説明するまでもありません。
当時はまだ、そのエリにバッジが
ついていた、もうヒトリの弁護士。
あなたです!
牙琉 霧人さん!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛にィッ!
い。いかがですかッ! 証人!
いや、被告人! いや、元・弁護人
霧: ‥‥とりあえず、
否定しておきましょうか。

(王泥喜「異議あり!」)
王: 調べればわかることですよ。
牙琉さん。
霧: 調べてみなければわかりませんよ。
オドロキくん。
王:‥‥‥!
霧: 法廷に、弁護士の登録を
するのは、審理の前日。
つまり、裁判所には記録は
残っていないということです。
成歩堂氏の言いぶんを立証する
のは、ムズカシイでしょうねえ。
裁: ふむう‥‥
たしかに、そうですな。
こうなると、この問題に
コタエを出すことは‥‥

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: 何か‥‥
何か、証拠はないのか?
おデコくん‥‥
王:‥‥!
み: どうしたのかな、ガリュー検事。
なんか、カオイロが悪いです!
牙: 証拠だッ! 7年前‥‥
この男‥‥牙琉 霧人が、
贋作を依頼したという証拠だッ!
霧: 響也‥‥?
牙: たのむ! ハッキリさせてくれ!
これ以上‥‥何かを疑って
検事席に立つのはゴメンだ!
み: 検事さん‥‥きっと。
何か、心当たりがあるんですよ!
王: (牙琉検事は、苦しんでいる!
彼のココロに広がる”闇”‥‥
その”闇”を引きずり出すには。
‥‥立証するしかない!
牙琉 霧人と絵瀬 土武六の
”つながり”を示す証拠を‥!)
裁: いかがですか、弁護人!
今から7年前‥‥
牙琉 霧人が、絵瀬 土武六氏に
対して行った‥‥
”贋作”の依頼。
‥‥それを立証できるのですかッ!
王: 立証は可能だと考えます。
霧: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
バカバカしいですね。
議論するまでもありません。
なぜなら、そんな証拠は‥‥

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: ホント‥‥なのか?
王泥喜 法介‥‥
王: ‥‥はい。
牙: そこまで言うなら‥‥
おデコくん、キミを信じてみよう!
裁: よろしいでしょう。
ただし、まちがえた場合は‥‥
これだけのペナルティを
カクゴしていただきます。

(牙琉霧人「異議あり!」)
霧: 裁判長。
その程度のペナルティでは‥‥
弁護人の情熱に対して、
失礼というものです。
これぐらいは、必要でしょうね。
裁: こッ、これほどのペナルティは、
私もひさしぶりです。
どうなのですか? 弁護人ッ!
王: ‥‥いいでしょう。
(カンジンなのは‥‥牙琉 霧人と
絵瀬 土武六に‥‥
ある種の
”関係”があったことだ。
その、あからさまな証拠を
オレは持っている‥‥)
裁: ‥‥それでは、弁護人。
証拠品の提示を命じます!
この証人と、絵瀬 土武六の
”つながり”を示す証拠品とは!

(「土武六からの手紙」を選択)
王: ‥‥これが、ふたりのつながりを
立証する証拠です!

(牙琉霧人「異議あり!」)
霧: その、紙切れ‥‥
提出させるわけにはいきませんね。
王: ‥‥どういうことですか?
霧: それは、こっちが聞きたいですね。
きみが、そんなものを
”持っているはずがない”のですよ。
王:え‥‥‥
み: あ! コレ。
パパの字じゃないですか!

(ざわめきが起こる)
裁: 弁護人ッ! いったい、
どういうことですかッ!
霧: なるほど、ね。
そういうワケ、ですか‥‥
裁: なんですかな? 証人。
霧: なに‥‥。そういえばきのう、
成歩堂氏がね。
私の独房に、面会に現れたのですよ。
‥‥私の不在時間を狙って、ね。
牙: 成歩堂 龍一が‥‥?
霧: 私が独房に戻ったとき‥‥
彼は、私の私信を手にしていた。
モチロン、盗み見を見逃すほど
愚かではありませんが。
裁: それが、この手紙‥‥
というワケですか?
霧: ‥‥まさか。
成歩堂氏の”偽造グセ”は、
なおっていないようですねえ‥‥
裁: ”偽造”どころか。こんなの、
ただの走り書きではないですか!
王: コレは、本来の文面の内容を、
成歩堂さんが書き起こしたものです。
裁: ”書き起こした”‥‥?
王: 成歩堂さんは、牙琉 霧人の
独房を訪れた際に‥‥
小型のビデオカメラを
仕込んでいたのです。
霧: なんですって‥‥
王: あなたとのやりとりは、
すべて録画されていたんですよ。
あなたの”私信”の内容も、ね!
霧: ‥‥‥‥‥‥‥ッ!
い。いずれにせよ。
そんなものが、証拠として
認められるワケがないでしょう。
なんの権限もない男が撮影したと
”主張する”ビデオなど‥‥
しかも。撮影したのは、”ねつ造”
の罪に問われた、元・弁護士です。
裁: ふむう‥‥
いかがですかな? 牙琉検事。
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥
王: 牙琉‥‥検事‥‥?
霧: お恥ずかしい話ですが。
どうやら‥‥
弟は、正常な判断が
下せない状態にあるようです。
裁判長。
‥‥裁定を、どうぞ。
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
弁護側の主張は、認められません。
み: そんなあ!
裁: 法廷で認められるのは、
実在する<<証拠品>>のみです。
ただ今の、弁護側の”立証”‥‥
記録から削除を命じます。
霧: ザンネンでしたねえ、オドロキくん。
王: ‥‥‥ッ!

裁: どうやら。特別証人の尋問に
回り道をしてしまいましたが‥‥
弁護側の”立証”に
コンキョがない以上。
牙琉 霧人氏に対する尋問は、
ここで終了しなければなりません。
み: ‥‥オドロキさん!
なんとかしないと‥‥
王: わかってるよ! でも。
あの証拠が却下されちまったら‥‥
もう、追いつめる材料がないよ!
裁: ‥‥それでは。以上をもって、
特別証人の尋問を終了します!

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: ‥‥なんとなく、
わかった気がするよ。
ステージが終わって、アンコールを
叫ぶお客さんのキモチがね。
裁: 牙琉検事‥‥?
牙: ちょっとは、ワカモノらしく
悩んでみたりもしたけどね。
でも。やっぱり、ぼくには
似合わないみたいだ。
この7年間。ずっと、
ココロに引っかかっていたんだよ。
‥‥この際だ。
ハッキリさせておこうか!
霧: 響也。‥‥おまえは今、
かなりコンランしている。
むやみにクチを
開くべきではありません。
牙: それが、ぼくのため? それとも
‥‥アニキのため、かな?
霧: 考えてみるといい。
おまえ自身が築いてきたもの‥‥
検事としての名声や、
世俗的な”人気”‥‥
すべてが失われるかも
しれないのですよ‥‥?
み: オドロキさん! あ。あのヒト‥‥
牙琉検事を説得しています!
王: 牙琉検事! あなたにとって
”本当に大事なコト”‥‥
それを思い出してください!
牙: 何を言ってるのかな、おデコくん。
”本当に大事なコト”なら‥‥
忘れないだろう? フツー。
王:‥‥‥!
牙: そうさ。一度だって
忘れたことはないんだよ。
7年前‥‥あの、法廷‥‥

牙: 『‥‥ついに。
ついに、それを出しちゃったね。
成歩堂弁護士さん。』
成: 『‥‥どういうことですか?』
牙: 『ここでいったん、この証人の
尋問を中断してもらえないかな。
新しい証人の話を聞きたいんだ。』

(絵瀬 土武六が証言台へ)
牙: 『‥‥それじゃあ。
職業と名前を教えてもらおうか。』

王: ‥‥その裁判なら知ってます。
ビデオ資料で何度も見ました。
牙: ”不自然”だとは思わなかった?
裁: 不自然‥‥ですか?
王: たしかに‥‥ヤケに手回しがいいな、
とは思いました。
成歩堂さんが、あの証拠品を
提出した次の瞬間には‥‥
絵瀬 土武六さんが召喚された。
まるで‥‥
牙: ”まるで”‥‥なんだい?
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
(‥‥今まで、
考えもしなかった‥‥
しかし。スナオに考えれば‥‥
コタエは、ひとつだ!)
まるで‥‥その。
最初から、成歩堂さんがあの証拠を
提出すると知っていたような‥‥
裁:あ‥‥
牙: ‥‥そうさ。
王:‥‥‥!
牙: ぼくは、知っていたんだ。
テキトーに追いつめてやれば‥‥
成歩堂 龍一が、
ニセの手記を提出する、って。
霧: やめておくのです、響也。
牙: それを教えてくれたのは‥‥
アンタじゃないか! アニキ!
王: な‥‥‥なんだってェェェェェッ!

(ざわめきが起こる)
牙: あの裁判の、前日‥‥
夜のことだった。

霧: 『‥‥響也。』
牙: 『アニキ‥‥か。めずらしいな。
裁判の前日、検事局に来るなんて。』
霧: 『ああ‥‥あの審理は、
私は出ないコトになりました。』
牙: 『え。どうして、また‥‥』
霧: 『おまえの初法廷での
兄弟対決は、おあずけのようです。
‥‥そのかわりに、
”情報”を持ってきました。』
牙: 『”情報”‥‥?』
霧: 『明日。私のかわりに弁護席に
立つのは、ウサンくさい男だ。
まともに相手をしてはいけない。
‥‥いいですか。
ある男を”参考証人”として
喚問しておきなさい。
そして‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥』

牙: ‥‥ホントは、
フシギに思っていたんだ‥‥
”なぜ、アニキはそこまで
知っていたんだろう”って。
王: 牙琉検事‥‥
牙: ‥‥答えてくれ、アニキ!
あの法廷は、オレたちの
兄弟対決になるはずだった。
オレは、初めての法廷を
正々堂々と闘いたかった!
だから。前もって、被害者の
遺留品の貸し出しも認めたし‥‥
調査資料もゼンブ、
見せたんじゃないか!
み: 被害者の、”遺留品”‥‥?
王: 当然‥‥あの、天斎の手記も
含まれていただろうね。
霧: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: 証人‥‥?
霧: やれやれ‥‥響也。
おまえには失望させられますね。
小さなコトに気を取られて
いるから、大局を見失う‥‥
王: ‥‥大局が見えていないのは
あなたのほうです。
霧: ‥‥‥‥‥‥‥‥
牙: ここまで来てしまっては、
もう、隠しとおせない。
あの法廷のウラで、
いったい、何があったんだい‥‥?
霧: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥いいでしょう。
私の当初の目的は、
すでに完全に果たされている。
振り返ってみるのも、
悪くはないような気がします。
み: オドロキさん‥‥
王: ‥‥いよいよ、すべての闇が
払われる時がきたみたいだ。
オレたちにできることは‥‥
もう、ゼンブやったよ。
霧: ‥‥7年前‥‥あの法廷の前日。
私は、依頼人・或真敷 ザックの
要請で、留置所を訪れた‥‥


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