第4話『逆転を継ぐ者』七年前の法廷(その3)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
絵瀬 まこと…黄緑
絵瀬 土武六…灰
或真敷 バラン…薄橙
葉見垣 正太郎…橙
或真敷 ザック…青
糸鋸 圭介…黄土
原灰…黄
ラミロア…藤
牙琉 霧人…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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同日 午前11時21分
地方裁判所 被告人第2控え室

ザ: さすがだな、成歩堂くん。
期待したとおりの働きだよ。
成: ‥‥今さら言っても
始まりませんけど‥‥
もう少し詳しく、事情を
話してほしかったです。
ザ: 話しても、信じてもらえそうに
なかったのでね。
それなら、自分で探してもらった
ほうがいいだろうと思ったのさ。
思いやり、というヤツだな。
成: ‥‥そういうのは、いいですから。
とにかく、話してください!
事件当夜‥‥
ホントは何があったのか?
ザ: まあ。そんなに
コワいカオをしないことだ。
‥‥みぬきが泣き出す。
成: (そういえば‥‥
あの子の姿が見えないな)
ザ: キミも見ただろう。
モンダイは、手紙さ。
成: ああ‥‥<<ヒタイを撃て>>
という、ムチャな‥‥
ザ: そう。たしかに‥‥
”理由”はあった。
師匠の命令がなんであれ、
死んでも逆らうことはできない‥‥
成: それは、いったい‥‥?
ザ: 死んでも言うつもりはないな。
‥‥今のところは。
成: (なんだよ、
”今のところは”って)
ザ: かなりムチャをやって
生きてきたが。これだけは‥‥
ワレワレが、死ぬまで背負って
行かねばならない、十字架なのだ。
成: ‥‥”ワレワレ”‥‥?
ザ: そんなコトより、
事件の日のコトだったな。
成: (やれやれ‥‥マイペースな
オヤジさんだな)
ザ: モチロン、師匠のヒタイを撃つ
つもりなど、なかったが‥‥
あの夜、指定された時間。
私は病室へ忍びこんだ。
テーブルの上には‥‥
2挺の拳銃があった。
成: ‥‥”2挺”ですか?
ザ: そうだ。かつて、
私が使っていたものと‥‥
私の相棒・バランが使っていた
ピストルが‥‥な。
成: <<ザックとバランの早撃ち>>
‥‥のピストルですか。
ザ: 師匠は‥‥眠っているように
見えたよ。
ベッドのそばに立っても、
安らかな寝息が聞こえるだけだった。
‥‥私は、ピストルを手に取った。
そのとき‥‥一瞬、
迷ったことは否定できないな。
成: ”迷った”‥‥
撃とうとしたんですか?
ザ: <<ゼッタイ逆らえない理由>>が
私にはあったのだ。
あの”要求”が最後になったが‥‥
あれが最初だったワケではない。
成: じゃあ、それまでも‥‥
ザ: 正直‥‥生活は荒れていたな。
みぬきにも苦労をかけたよ。
成: (師匠が、弟子を
”脅迫”していた‥‥
いったい、何があったって
いうんだ‥‥?)
ザ: まあ‥‥ケッキョク、
私には撃てなかった。
だから、そのかわりに。
ピエロに撃ちこんでやったよ!
‥‥私が撃ったピストルは、
そのままポケットにしまったな。
成: ポケットに‥‥?
ザ: だから、そのピエロに
メリこんだ弾丸を調べれば‥‥
師匠のアタマからクリ抜いた
弾丸とは、ちがうハズさ。
その‥‥なんだっけ?
成: ‥‥”線条痕”です。
ザ: まあ、そんなトコロかな。
‥‥事件に関しては。
成: ”事件に関しては”‥‥
ということは。
それ以外に、何かあったんですね?
ザ: ふ‥‥はっはっはっ。
おもしろいオトコだな、キミは。
成: ‥‥はあ‥‥
ザ: たしかに、な。”何か”あったよ。
師匠が、目を開いた。
成: ‥‥! 或真敷 天斎が‥‥
ザ: やっこさん、
眠っちゃいなかったのさ。
‥‥まあ、寝ていたとしても、
銃声で目がさめるけどな。
そこで‥‥師匠と弟子の、
最後の会話が交わされたのさ。
短かったな‥‥
5分ぐらいだったか。
成: いったい、どんなハナシを‥‥?
ザ: はっはっ。いいかい。
‥‥さっきも言っただろう?
事件にはカンケイないコトさ。
成: (‥‥やれやれ。決意を曲げる
ヒトには見えないよな‥‥)
係: 弁護人! そろそろ、
法廷のほうへおねがいします!
ザ: それじゃあ、たのむよ。
‥‥この調子で、ね。
成: ‥‥はい。わかりました。


同日 午前11時37分
地方裁判所 第7法廷

裁: それでは、審理を再開します。
牙: 休廷時間中、ピエロの頭部から
弾丸がホジくり出されたよ。
裁: な‥‥なんと!
それで、線条痕は‥‥?
牙: 詳しい調査をする
時間がなかったものでね。
『凶器と同じ形式のピストル』
‥‥としか言えないそうだよ。
裁: ふむう‥‥それでは、
まだ、ケツロンは出せませんね。
牙: だから、呼ぶんじゃないか。
決定的な証人を、さ。
成: ”決定的な証人”‥‥か。
何度も聞いたフレーズですね。
”検察側にとって”決定的かどうか、
ギモンが残るコトが多いですけど。
牙: ‥‥今度はハッキリさせてやるさ。
<<或真敷一座>>の花形スター、
”ザックとバラン”‥‥
その”相棒”に
登場していただこうか!
成: (或真敷 バラン‥‥
被害者・或真敷 天斎の
”もうひとりの弟子”‥‥か!)

牙: それでは。名前と職業を
おねがいしようかな。
バ: 或真敷 バラン‥‥魔術師。
裁: あの。あなたが‥‥
”決定的な証人”になるのですか?
兄弟子にあたる被告人の
”有罪”を立証する‥‥
バ: ”運命”とは。タネとシカケに
満ちみちた、大魔術なのですよ。
成: で、でも! 事件が起こった
のは、午後11時すぎです。
その時間、あなたも‥‥
病院にいた、ということですか?
バ: ロンリ的に考えるならば‥‥
そういうコトになりますかなッ!
成: はあ‥‥‥
(ニガテな人種だよな)
牙: おもしろいジジツがある。
この証人のもとに、事件の数日前。
‥‥こんなものが届いたのさ。
裁: それは‥‥その。
ごく最近、見たような気がします。
成: そ。そいつは‥‥
被告人・或真敷 ザック氏と
マッタク同じ手紙じゃないですか!
バ: ‥‥まさに、あるまじきッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛にッ!
ま、まさか‥‥その中身は‥‥
牙: 自分の目でたしかめて
みるといいと思うよ。
裁: ほ。ほとんど、同じ文面です。
或真敷 ザック氏の手紙と‥‥
証拠品として、受理します。

<<天斎の手紙・2>>のデータを
法廷記録にファイルした。
裁: それにしても‥‥いったい、
あなたがた<<或真敷一座>>は‥‥
どういうカンケイ
だったのですかな?
バ: ‥‥と、申されますと?
裁: 師匠が弟子に、自らの命を
絶つよう、命令をするとは‥‥
しかも、2人いっしょに。
牙: この文面からすると‥‥
<<命令>>というより、<<脅迫>>に
近かったように見えるけどね。
バ: ‥‥ワレワレは、ともに芸を極める
道を歩み、ともに生活をしていた。
そこに、ある種の<<ゆがみ>>が
生まれるのも仕方のないこと。
‥‥それは、この事件とは
カンケイないでしょう。
成: (この証人も、語るつもりは
ないみたいだな。
手紙に書かれていた
<<決して断れない理由>>‥‥)
裁: ‥‥とにかく、証言を
おねがいしましょう。
被告人‥‥或真敷 ザックを
告発する、その詳細について。
バ: ‥‥或真敷 バランの行くところ。
世紀の奇跡の大魔術の大輪のバラの
花のユメの香りの立ちのぼるのッ!
成: あの‥‥
わかってると思いますけど。
犯行の状況‥‥あなたにも、
ピッタリ当てはまるんですよ?
<<手紙>><<凶器>>
そして。現場には‥‥
2つの<<弾痕>>が
あったワケですからね。
裁: ただひとつ、ちがうのは‥‥
指定された<<時間>>だけですな。
バ: はっはっはっはっはっ‥‥
その<<時間>>こそが重要なのですよ。
牙: それじゃ‥‥そろそろ、始めようか。
とびきり熱いステージを、ね!

(事件当夜のこと)
バ: 『あの晩、私は師匠が指定した時間に
病室を訪ねました。』(証言1)
『部屋はすでに火薬のニオイがして、
天斎はすでに天に召されていました。』(証言2)
『まさか、兄弟子にも同じ指示が
あったとは想像もつかなかった‥‥』(証言3)
『死者とのヤクソクを果たすため、
ピエロの脳天に死の刻印を。』(証言4)
『そして、医者と警察に
連絡をしたのです。』(証言5)
裁: ふむう‥‥事件を通報したのは
あなただったのですか‥‥
バ: さよう。
このジジツからも‥‥
私が撃ったのではないのは
アキラカだと思いますがね。
成: そういうワケにはいきませんよ‥‥
裁: とにかく
尋問をおねがいします。
もし、この証言が真実ならば‥‥
被告人・或真敷 ザックの
犯行が立証されることになります。
成: (逆に、ザックさんではないと
すれば‥‥犯人は、このオトコ。
‥‥或真敷 バラン、
ということになるワケか‥‥)

(「証言4」をゆさぶる)
成: 被害者のヒタイと、ピエロのヒタイ
‥‥現場に残された弾痕は、ふたつ。
”ピエロのほう”があなただと
主張するワケですね?
バ: おそらく。我が兄弟子・ザックも
同じ主張をするでしょうが。
成: (やはり、
ここがポイントだな‥‥
もっと、ハッキリさせて
おいたほうがいいか)
バランさん。‥‥もう少し、
詳しいお話を聞かせてください!

(「置かれた拳銃の”数”」を選択)
成: あなたが病室に入ったとき‥‥
ピストルは、いくつありましたか?
バ: ‥‥どういうコト、でしょうかな?
成: <<ザックとバランの早撃ちショー>>
つまり、その芸では‥‥
おふたりで1挺ずつ、
ピストルを使ったワケですね?
バ: よく、ご存じだ。‥‥しかし。
あの晩、病室に置かれたナツカシイ
”相棒”は、1挺だけでしたな。
成: (休憩室で聞いた、
ザックさんの話では‥‥)

ザ: 『モチロン、師匠のヒタイを撃つ
つもりなど、なかったが‥‥
あの夜、指定された時間。
私は病室へ忍びこんだ。
テーブルの上には‥‥
2挺の拳銃があった。
‥‥私が撃ったピストルは、
そのままポケットにしまったな。』

裁: ふむう‥‥特に、
モンダイはないようですね。
現場写真にも、ピストルは
1挺しか写っていません。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
あなたは、その1挺のピストルを
手にとって、撃ったんですね?
バ: ‥‥あるまじかる・みすてりぃ。
そのとおりです。
裁: ふむう‥‥
ピストルの”数”。
それが、重要なのですか?

(「モチロン、重要」を選択)
成: ピストルの”数”。
‥‥きわめて重要だと考えます。
裁: ‥‥いいでしょう。
では、証人。
今のジジツを、証言に
加えていただきましょうか。
バ: ‥‥あるまじかるべく。
『病室にあった拳銃は、ただ1挺。
それで、ピエロを撃ちぬきました。』(証言6)

(「証言6」に「ステージ用ピストル」をつきつける)
成: 被告人・或真敷 ザック氏に
よると‥‥彼が病室に入ったとき。
テーブルの上に、”2挺”。
ピストルがあったそうです。
裁: にちょう‥‥
成: 彼は、一方のピストルを取って、
ピエロのヒタイを撃った。
そして、そのピストルを
現場から持ち去ったそうです。
牙: まあ、そう主張するだろうね。
ヒタイの奥にノーミソが入っている
人間なら、だれしも‥‥ね。
成: ‥‥ところで。ただ今の
バラン氏の証言には‥‥
どうしても、スジのとおらない
部分があるのです。
バ: ‥‥どういうことですかな?
私は、現場にあったピストルを
手に取り、ピエロを‥‥
成: そうはならないのですよ。
バ:‥‥‥?
成: ‥‥カンタンなコトです。
<<線条痕>>が、それを物語っている。
先ほどの、牙琉検事の発言を
思い出してください!

牙: 『被害者の頭部から発見された弾丸と、
このピストルの弾丸‥‥
2つの弾丸の線条痕は、
ピッタリ一致しているのさ。』

バ:あ‥‥‥
成: つまり! このピストルを
撃ったということは‥‥
すなわち、被害者のヒタイを
撃ったことになるのです!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛にィッ!
こ。これは、いったい‥‥
いきなり、トンでもないことに‥‥

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: くっくっくっくっくっ‥‥
まいったな。ぼくとしたことが。
裁: が。牙琉検事‥‥?
牙: ショクンには、おワビしなきゃ
ならないみたいだ。
‥‥すまなかったね。
成: な。なんですか‥‥?
牙: トクベツに作られたピストルが
2挺あるとは聞いてなかったからね。
線条痕の検査は、”発砲した拳銃の
機種”の特定のみ、行ったのさ。

(成歩堂「異議あり!」)
成: しかし、きみは断言したハズだ!
<<凶器は、このピストルだと
特定された>>‥‥と!
牙: だから、こうして
スナオにあやまってるじゃないか。
‥‥考えてみれば。
”若さ”って罪なヤツ、だよね。
成: そんなの、あやまって
済むミスではないッ!
牙: ‥‥そもそも。
<<現場からピストルを
1挺、持ち去った>>
被告人が最初から、スナオに
供述してくれていれば‥‥
こんな初歩的なミスも
なかったハズなのにねえ‥‥
成:‥‥‥!
裁: ふむう‥‥
或真敷 バランさん。
バ: ‥‥なんでしょうかな。
裁: あなたは”決定的な証人”と
聞いていたのですが‥‥
思ったほどでは
ありませんでしたな。

(ざわめきが起こる)

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: ‥‥あわててもらっては困るなあ。
成:‥‥‥!
牙: 今の証言は、いわば
”事実関係のカクニン”さ。
それを”立証”するのは、
次の証言だよ。
裁: どういうことですかな?
牙: 彼が病室に入ったとき、
すでに被害者は”撃たれていた”。
次の証言で、そいつを
アキラカにしようじゃないか!
成: (なるほど‥‥
次が”勝負”ってワケか)
裁: わかりました。
それでは、証言をおねがいします。
<<発砲者の特定>>について!

(発砲者の特定)
バ: 『私が病室を訪れたのは、指定どおり
午後11時20分でした。』(証言1)
『死体を発見した私は、ヤクソクを
果たした後‥‥医者を呼んだ。』(証言2)
『医者は、警察が来る前に、
死体の状況を調べたのですが‥‥』(証言3)
『ハッキリ、断定したのです。死亡
時刻は、11時10分である、と。』(証言4)
『その時間、病室には兄弟子が
いたのです。私ではなく、ね。』(証言5)
裁: ふむう‥‥かなり細かい
”時間割り”ですな‥‥
しかし、”分”単位のアリバイの
主張に意味があるか、ギモンです。
10分ていどの”誤差”など、
どうとでも言い逃れが‥‥
牙: できないのさ。この場合。
そう‥‥たとえば。
ぼくたちのデビュー曲
<<恋の禁固刑・13年>>だけど。
あの曲は、プレイボタンを押したら
かならず、2分15秒で終わる。
何百回やっても、結果は変わらない。
‥‥そういうコトなんだよ。
成: (ヤケに短い曲だな‥‥)
牙: この尋問では、関係者の
”分”単位の行動が焦点になる。
医者がハジき出した死亡時刻には、
動かせない”コンキョ”があるのさ。
裁: ‥‥了解しました。
モンダイが精密である以上‥‥
尋問も、かなり細かい部分が
ポイントになることが予想されます。
牙: 大ざっぱな”ゆさぶり”を使った
手探りは、やめてもらいたいね。
‥‥証言がブレてしまうからね。
裁: ‥‥いいでしょう。
コンキョのない発言には、
ペナルティを与えるコトとします。
そのつもりで、おねがいします!
成: (そう来たか‥‥)

(「証言4」をゆさぶる)
成: まあ‥‥ダレもがギモンに
感じると思いますけど。
その医者はなぜ、そこまでハッキリ
時間を”断定”できたのですか?
裁: たしかに。”死亡推定時刻”と
いうのが、一般的でしょう。
”死亡断定時刻”というのは、
聞いたことがありません。
バ: ‥‥そのような、ムズカシイ
話ではないので、安心をば。
ある種、これは‥‥
タンジュンな”ひき算”なのです。
裁: きわめて高度にしてシンプル、
数学的な”ひき算”ですか。
牙: ポイントは‥‥被害者が
受けていた”点滴”さ。
現場写真にも写っているだろう?
さっき、少しハナシが出たよね?
被害者の或真敷 天斎は‥‥
毎晩11時から30分間、点滴を
受けることになっていたのさ。
裁: たしかに‥‥点滴のセットが
写っていますな。
牙: もう少し、よく見てもらえるかな。
その点滴のチューブの”先”を。
裁: ‥‥あッ! 点滴のハリが‥‥
ハズれている‥‥
牙: 当然。発砲の瞬間にハズれた
もの、と考えるべきだろうね。
裁: たしかに、そうでしょうな。
牙: ‥‥そして。ハリが外れたら、
点滴液の流れは、そこで止まる。
成: あ! じゃ、じゃあ、つまり!
点滴液の、残量を調べれば‥‥
牙: ‥‥そのとおり。
点滴液は、いわば
”砂時計”のようなものさ。
医者は、そこに注目して
調べてくれた、ってワケ。
<<薬液の残量から、
点滴の開始後>>‥‥
<<約10分が経過した
状態である>>

<<点滴に関する報告書>>のデータを
法廷記録にファイルした。
バ: ‥‥さよう。このバランが
病室を訪れたとき‥‥
すでに、犯行の10分後だった!
これ以上の立証‥‥あるまじき。
裁: ふむう‥‥
いかがですかな? 弁護人。
成: (この証言‥‥どうなんだろう?)

(「重要である」を選択)
成: 死亡時刻を特定する”最大の
手がかり”なワケですから‥‥
そのイミは、あまりに
重要だと考えます。
裁: ふむう‥‥たしかに、そうですな。
最新の技術をもってしても‥‥
ここまでハッキリと時刻を
特定することはムズカシイでしょう。
それでは、証人。
ただ今の発言を、
証言に加えてください。
バ: ‥‥あるまじりなき真実を。
『残されたイノチの液体‥‥点滴の
量がバランの無実を立証している!』(証言6)

(「証言6」をゆさぶる)
成: あなた自身は、気づいたのですか?
被害者の”点滴”には。
バ: 部屋に入って、まず、
火薬のニオイがハナにつきました。
次に、ヒタイに刻まれた
”死の刻印”が目につきました。
そして、ベッドの下に
たれ下がった左手‥‥
‥‥点滴のハリが、そっと
うなだれているのに気がつきました。
牙: ‥‥発砲のショックで外れた。
ラッキーなヒトだね。
その点滴がなかったら、あるいは
疑われる立場だったかもしれない。
バ: ‥‥そのとおり。
なんというか‥‥
”ラッキーカラー”なのですな。
成: らっきーからー‥‥
”幸運を呼ぶ色”ですか?
バ: さよう。このとおり、私自身の
衣装にもしているのです。
この色は、いつも私に
”幸運”を運んでくれる‥‥
<<ザックとバラン>>が、初めて
グランプリを受賞したときも!
この衣装でした‥‥そう!
国際マジック協会のコンテストで!
トロフィーに、胸像。
‥‥スバラシイ1日でしたな。
成: (マズいな。思い出に
浸りだしたぞ‥‥)
バ: まさに、ラッキーカラー!
あの点滴液も、またしかり。
このバランに、幸運を
もたらす色だったワケですな!
裁: ふむう‥‥たしかに、
そういうコトになりますかな。
‥‥いかがですかな? 弁護人。
証人の、今の発言については。
成: (‥‥バランさん。すっかり
イイ気になってるみたいだ。
‥‥どうだった? 今の、
”ラッキーカラー”の証言‥‥)


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