すぺしゃる19巻「魔王降臨」の舞台。
家はせいぜい三、四十軒の、本当に小さな山あいの村。村は畑に囲まれている。近くの町を昼過ぎに
発ち、山道にすら等しい小さな街道を行けば、夕方までには着く。
名物は、ラテル芋(ポテト)。それの得意客がもっぱら王族や貴族なので、
見かけによらず金持ちの村である。
村には予言があり、その内容はこんなのだった。
「力ある者の心闇に墜つる時、其は魔王と化し、世界を滅びの淵へと導かん。
されど人よ絶望するなかれ。光掲げる剣士と魔道士現れ出て、深き闇をうち払うであろう――」
言うまでもなく、本編1巻の話だが、この村の人たちは村出身の
小悪党、ジェイコブを魔王と思い込み、かなり無理ヤリ予言を成就させよう
としていた。ちなみにこの予言、村長の祖父が羊皮紙に手書きで書いたもの。
ここの『村人A』というおっちゃんは、村長の予言を信じながらも実に視点の鋭い人物で、どさくさ
まぎれで金貨百枚持っていこうとしたリナの攻撃を、見事かわしてしまった。
最初、リナに魔王ジェイコブのことを説明するとき、村長の家にいたことから、村の中ではそこそこ重要な
位置にいた人物であるかと見られる。