ジェイコブ=ラタード



 すぺしゃる19巻「魔王降臨」に登場。
 ニブス村に住む、力自慢の乱暴者。三十前後の、黒ひげをたくわえた 大柄なおっさん。こけおどしに、黒い毛皮のえりがついたマントと、骨や石やらをじゃらじゃら組み 合わせてつくったネックレスを身につけている。
 畑のカボチャを盗んだり、若い娘のスカートをめくったりと小悪党ぶりを発揮していたので、村人に 露骨にひそひそ話をされたり、彼の家の前だけ落ち葉掃除をしてもらえなかったりと、セコいいびりを されて、3年前に出て行った。
 しかし今年になって、魔道を覚えて村に戻り、村の西(朝に出れば、昼までには往復できる程度の 場所)の炭焼き小屋に陣取った。面白半分で用水路を石で埋め、収穫直前のキャベツやら何やらを、 ごっそりと盗んでゆくという、やっぱり小悪党な行いをして、村長に『予言の魔王』と判断される。
 「ニブスの村の大魔王」を名乗っているが、かなり根性なしで、ナーガ を先生と呼び、ナーガのつくったゴーレムを一撃で倒した リナとまともに視線を合わすこともできない臆病者。そのくせ、状況を自分 にうまく利用できるぐらいの悪知恵は働くようだ。
 昔、モーゼルに「あの犬殴ってこい。そのあとは任せろ」と言って自分 だけ逃げ、ひどい目に遭わせたことがある。モーゼルとの年齢差を考えて、すでに思春期には入って いたはずで、かなり不良であったことは間違いない。