第八幕 収穫祭に染まり(後編)


 ――時は流れ、収穫祭当日。

「お兄ちゃん、頑張ってね! ロリィ、一生懸命応援するから!」

「あんな連中に、負けるんじゃないぞ?」

「ソフィアとライズの分もボク達が応援するから、絶対勝ってよね!」

「……最善は尽くす」

 真摯な表情で少女達が激励の声をかける。が、それを受けた青年は、傍目にはむっつりとした表情を浮かべているようにしか見えなかった。気難しげに引き締められたへの字の口に鋭い目つき、目の前に並んでいるのはタイプこそ違え三人ともそれなりの美少女だというのに、全く心を動かされた様子はない。

「兄さまったら……。こういうときは、ただ『勝つ』って言えばいいんです」

「そうそう。サキ、お前の兄貴ってほんっとうに愛想がないな」

「産まれたときからの付き合いですから、もう慣れましたわ。それに、レズリーさん達に応援してもらってだいぶ嬉しそうですよ?」

 サキは、レズリーの呆れたようなセリフにほんわりとした笑みを返した。まだ彼女がレズリー達と知り合って一ヶ月にも満たないが、おっとりとして人当たりのいい彼女はもう随分と馴染んだようだった。特に、ロリィとは年が同じということもあって、数年来の友人かと思えるほどである。

 午前中をレズリー達と共に過ごしたソウシは、午後の剣術大会が始まると同時に彼女たちと別れた。少女達の声援を背に受けつつ、彼はサキを伴って闘技場の控え室に向かった。ソフィアも応援に行きたいと行っていたのだが、当日になって『ジョアンに呼び出された』ということで来ることが出来ず、ライズも『用事があるから』と、この場に来ていなかった。

「お前は、行かなくて良いのか?」

 ソウシはサキもレズリー達と共に応援席に行かせようとしたのだが、彼女は最後まで手伝いをすると言って聞かなかった。とことん世話好きな性格の彼女だったが、ドルファンに来てからは、今まで年に数ヶ月しか共に過ごせなかった分をまとめて取り戻そうとしているかのように何かと世話を焼いて離れようとしなかった。

「ええ。応援席に行くのは、兄さまの準備が終わるまでお手伝いをしてからにします」

「……そうか」

 短い返事を返すと、ソウシは先に立って歩き始めた。サキはその背中を眺めながら、半歩後ろをついていく。

 彼女は、昔から彼の背中を見るのが好きだった。父親の記憶がほとんど無い彼女にとって、彼の背中は父親の背中そのものだったのだろう。たまにしか帰ってこない兄だったが、帰ってきたときにはずっと側にいてくれた。一緒に出歩いたときなどは、歩くのが遅い自分を時々振り返って待ってくれたりしていた――。

 と、そこで彼女は気がついた。ドルファンに来て以来、一緒に歩いたことは多々あったが、以前のように引き離されることはなかった。自分の歩調が速くなったのかとも思ったが、どうやらソウシが彼女に合わせてくれているらしい。そんな兄の変化の理由が、サキには理解できた気がした。ソフィア達が、きっとその理由なのだろう。

「(……私の時は全然気にかけてくれなかったのに……)」

 少し腹立たしい気もしたが、あの人と付き合うのが下手な兄をこう変えたことは感心に値した。それも、良い方に変わっているのだから感謝しても良いくらいである。

 そんなことを考えながら、サキは視線を逸らして小さな笑みを漏らしていた。そして、再び視線をソウシの背中に戻したとき、二人の行く手を剣呑な雰囲気を発する巨漢が遮った。

「よぉ、サガラ隊長さん。今日のお供はいつもの二人じゃねぇのかい?」

「これは妹だ、ゴステロ隊長」

「……はじめまして、サキ、と申します」

 それは今日のソウシの模擬戦の相手となるはずの、傭兵隊第二中隊隊長、ゴステロだった。筋肉で覆われた巨体の上には、下卑た表情を浮かべた魁偉な顔が乗っている。サキはわき上がってくる怯えと嫌悪の感情を、兄が側にいるという理由でどうにか押し隠し、律儀に頭を下げた。

「へぇ、お前にこんな可愛らしい妹がいたとはねぇ……!」

 舌なめずりしそうな表情でゴステロは言った。その口調に今度こそサキはソウシの背中に隠れ、ソウシもまた険しい表情を浮かべた。

「そう怖がるなって、お嬢ちゃん……。じゃあな、サガラ。今日の試合、お手柔らかにな。楽しみにしてるぜぇ」

 嫌らしい視線で二人を眺め渡すと、ゴステロは巨体を翻して一足先に闘技場へと入っていった。どこに控えていたのか、いつもの取り巻き三人がその後を追う。

「……あんな方が、兄さまのお仲間なのですか? アルベルト様やカール様とは、全然違いますね」

 どんな相手にも礼儀を忘れない彼女だったが、さすがにゴステロは別のようだった。小さな声で、だがはっきりと嫌悪の感情をにじませながら呟くように言う。

「向こうはこちらを競争相手としか思っていないようだがな」

「……絶対、勝ってくださいね」

「……努力しよう」
 

 さっさと控え室に入って準備を始めたゴステロは、模擬戦には出ない小柄な取り巻きの一人を呼んでいた。

「マンジェロ、あのサガラの妹、顔は覚えたか?」

「へい、大将」

「どさくさ紛れに、捕まえて縛り上げとけ。俺が負けるとは思えねぇが……、万が一の保険だ。楽なのに越したことはねぇからな」

 その取り巻きは、そこそこ整った顔に、ゴステロ以上に下卑た笑みを浮かべた。

「わかりやした。で、その娘ですが、好きなようにしてもいいんで?」

「……小娘相手に良い趣味してやがるな、てめぇは。殺さなきゃあ何したってかまわねぇぞ」

 取り巻きは一層下品な笑い声を漏らすと、顔を歪めるようににやつかせながら控え室を出ていった。

 

 ソウシたち三人は、サキの手を借りながら着々と準備を進めていた。今日のため、彼ら三人のために用意されたこの控え室には、彼ら以外誰もいない。サキはあくまで特例であり、第一中隊の部下たちも、ここには入室を認められず応援席に陣取っていた。ちなみに、応援席では今現在行われている剣術大会などそっちのけで、第一、第二中隊の睨み合いが続いていた。

 装備するのに手間がかかる板金鎧(フルプレートアーマー)も、手伝いがいると早く済むものである。ソウシは元来この手の重い鎧を嫌うのだが、アルベルトの『この方が隊長らしい』との一言で強引に着せられてしまっていた。残る二人は、いつも通り、傭兵隊に正式に支給されている軽装鎧である。

 鎧の最後の留め紐を結び終え、背中にバルムンク――グラムを打ち直した野太刀に、ソフィア達まで駆り出して、頭をひねって付けた銘である。これも、グラムと同じく竜退治の剣からとったらしい――を背負う。一通り準備を済ませると、サキはどこか晴れ晴れとした顔で三人を眺めた。ソウシはいつもと変わらない無愛想な、アルベルトは軽薄にもみえるにやけ顔、カールは緊張した表情を見せていた。

「それでは、私はそろそろ応援席に参ります。皆さん、頑張ってくださいね」

 そのささやかな声援に、ソウシとアルベルトは小さく返事を返すだけだった。もう既に、この二人は当人なりに集中に入っているのだろう。しかしカールは、それに反応してぴんと背筋を伸ばすと、

「あ、はい! 頑張ります!」

「……では、失礼します」

 怒鳴るような声に驚いたサキだったが、また小さく微笑むと、しずしずと控え室を出ていった。そして控え室には、余計な緊張がとれて妙にテンションの上がっているカールと、それを怪訝な目で見ているソウシ、更にその二人を面白そうに眺めているアルベルトが残った。

 エキシビジョンの開始予定まで、残すところ十数分。

 

 サキが控え室を出たその頃、ここにはいないはずだったライズが、関係者以外立入禁止のはずの闘技場内部に姿を現していた。その姿は、特に普段ソフィア達と共にいるときと違っているようには見えない。三つ編みの黒髪も、黒を基調とした服装も普段と全く同じだ。しかし、その身に纏う雰囲気だけがまるで別物だった。

 獲物を追う狩人のように気配を消し、ライズは前方を優雅に歩く人影の後を追った。供に近衛隊長のメッセニ中佐を連れたその人物は、言わずと知れたプリシラだった。

「(……王女直々にエキシビジョンの出場者への激励とはね……。第二中隊にはエリータス家のジョアンを代理を出しただけだし、やはり、ただの護衛と主の関係じゃないと見るべきかしら)」

 では、一体どのような――? それ以上を考えようとしたとき、ライズは胸の内にいやな引っかかりを感じた。しかし、今すべきことはプリシラを追うことだと思い直し、考えを振り払って尾行を再開する。

「(接触できないかと思ったけど……。あの中佐が相手では、無理は禁物……)」

 ライズは逸る心を抑えるように、小さく息をついた。「使命」のためには多少の無理も行わなければならない、だが、自分の任務の重要度は、今年に入ってから更に高くなっている。慎重に慎重を重ねてまだ足りないということはないはずだった。

 第一中隊の控え室へと向かうプリシラを柱の影で気配を殺して見送ると、ライズはその場を立ち去るべく応援席へと向かおうとした。だが、その背後から聞こえてきた小さな足音に、再び柱の影に身を沈ませる。プリシラがもう戻ってきたのかとも考えたが、いくらなんでも早すぎる。それに、足音はたった一つで必ずあるべき供の足音がなく、その聞こえてくる音も先ほどのプリシラのものとはまるで違っていた。

 そのまま通路を伺っていると、視界に足音の主、サキが入ってきた。彼女もライズと同様に、応援席へと向かっているらしい。

「(……)」

 その姿を確認したライズは、もうしばらくこの場に身を隠すことに決めた。彼女は今ここにいないことになっているのだから、顔見知りに出会うのは不味い。

 やがて足音は通路の向こうへと消えて行き、ライズはそれを確認すると、今度こそ柱の影を出ようとした。だが、

『何の御用ですか……?』

 警戒心に満ちたサキの声が、ライズの足を止めた。それは通路の向こうから聞こえてくるのであって、彼女に対するものではないことは明白だった。しかし、その切羽詰まったような口調がライズを緊張させた。

『なあに……、お嬢ちゃんにちょっと付き合ってもらいたくってなぁ……。サガラ隊長さんの妹さんよ?』

「(……何?)」

 その主の人間性をはっきりと表しているような、下卑た声が聞こえてきた。通路の向こうでサキが相対しているのは、あまり紳士的な人物ではないようだった。本来なら、ライズはその騒ぎを無視してこの場を離れるべきだった。彼女が受けてきた訓練は、そうすることを彼女に要求していた。彼女は使命を果たすために、極力目立つことを避けるべきなのだから。

 しかし、彼女はそうはしなかった。いや、出来なかった。この国に潜入して以来、いや、ソウシやソフィア達と触れ合うようになって以来、彼女の内に芽生え始めたものがそうはさせなかった。本人はそれと自覚していなかったが。

 気配を消したまま騒ぎの元へと向かい、通路の影からその先を伺う。そこではサキとあまり変わらない小柄な傭兵が、整った顔に下卑た笑みを浮かべて彼女の前に立ちはだかっていた。

「(あれは、確か……、ゴステロの取り巻きの一人ね……)」

「何、今日のエキシビジョンの間、ちょっと俺に付き合ってくれればいいんだ。別に取って喰おうって訳じゃない」

「……お断りします。見知らぬ殿方についていくような事は出来ません。それに、今日は兄さまの応援をしなければなりませんから……。失礼します!」

 様子を伺うライズの前で、サキは目の前の傭兵の脇をすり抜けようとする。が、相手がそれを許すはずもなく、抵抗空しく彼女は腕をねじり上げられて、口を塞がれてしまった。

「は、放してくださっ……!」

「暴れるなってよぉ……。ただちょぉっと、俺とお話でもしてくれりゃいいのさ……」

 相手の意図がそれだけではないことは、捕らえられているサキにも、傍らで聞いているライズにもはっきりとわかった。下劣な意図を隠そうともせずに、マンジェロはサキをどこかへと引きずっていこうとする。

「んーっ!」

 サキも必死に抵抗するが、細く見えても鍛えられた傭兵の腕は小揺るぎもしない。下品な薄ら笑いを浮かべて闘技場の奥へと戻ろうとする。

 しかし、マンジェロが奥へと歩みを進めたその時、それまで彼にはなんの気配も感じられなかった脇の通路からライズが飛び出した。彼女は、今の今までこの機会を待っていたのである。愛用の剣があれば正面からこの男を切り伏せる自信はあった。だが、今は護身用の短剣しか持っていない。この短剣で腰に剣をぶら下げた相手を制圧するには不意を打つのが最適、と冷静に判断したのである。

 ライズの襲撃には気付いたものの、両手にサキを抱えていたマンジェロはそれ以上の反応は出来なかった。無様に背後を取られ、喉元に短剣を突きつけられてしまう。

「……その娘を放しなさい」

「……へっ?」

 聞こえてきた声が押し殺した少女の声だということに意表をつかれたが、相手の放つ殺気は本物だった。このままでは喉元を切り裂かれると判断した彼は、素直にサキを解放する。

「けほっ、けほっ……」

「……こちらに来なさい」

 軽く咳き込みながら涙目で振り返るサキに、ライズは短く指示した。まだ混乱しているのか表情はすぐれなかったが、サキは大人しくその指示に従ってライズの背に回る。その間に、ライズはマンジェロの腰から剣を引き抜き、それを通路の向こうへと投げ捨てた。少女の左手一本だというのに、それは壁にぶつかるまで飛んでいった。

「通路の向こうへ走りなさい。もし私の剣が届くところで振り返れば……、今度は、命の保証はしない」

「チッ……!」

 少女に手玉に取られた悔しさをにじませながらも、マンジェロは大人しく指示に従い、背後からの殺気に押されるように通路の向こうへと走り去った。それを見届けると、ライズも素早くサキの手を引いてその場を後にする。

 充分に離れたと判断したところで、ライズは手近な物陰にサキを連れ込んだ。掃除用具入れと思われるその小部屋は多少カビ臭かったが、今はそれ以上望むことは出来ないだろう。

「……落ち着いた?」

「はい……、ライズさん」

 答えたサキの返事は、ライズが驚くほどしっかりしていた。普通のこの年頃の少女なら、しばらく口を利けなくなってもおかしくないのだが。どうやら兄に似て、この少女の神経も並ではないらしい。

「(……これなら、安心ね……)」

「あの、危ないところを有り難うございました。でも、ライズさんは、今日は確か……」

「……そこまでよ」

 まだ目が潤んでいるにも関わらず律儀に頭を下げるサキを、ライズは言葉少なに遮った。

「話してあげたいけど、私にも事情があるの。あなたはあの男に拉致されかけたところを、見知らぬ誰かに助けてもらった……、いいわね?」

 有無をいわせない迫力をこめて、ライズはサキを見つめた。しかしサキはその視線に怯えることなく、その言葉を反芻するような仕草を見せると、真っ直ぐにライズの目を見返した。

「……はい、それでは何も聞きませんし、何も言いません。もちろん、兄さまにも。私は、見知らぬ黒髪の騎士様に助けていただきました」

「有り難う……」

 サキの答えを聞くと、ライズは安心して小さく微笑んだ。それほど付き合いが長いわけではないが、この娘の性格はそれなりに把握している。兄によく似て、非常に律儀で堅苦しいのだ。一度口にした言葉は、決して違えないだろうという確信があった。

「それじゃ、あなたは応援席に行って、無事な姿を見せて上げなさい。こんな手を使う奴らだもの、貴方の無事と引き替えにエキシビジョンに負けろ、とでも脅迫しているでしょうから」

「はい……。黒髪の騎士様、どうも有り難うございました」

 素っ気なく立ち上がり、去っていこうとするライズの背に向かって、サキは深々と頭を下げた。そして、彼女が通路の向こうに消えるまで、じっとその背中を見つめていた。

 

「第一試合――。第一中隊よりカール・リヒター、第二中隊よりゲティ・ダンコフ、双方出ませい!」

 歓声が闘技場を揺るがせる中、最初の対戦が始まろうとしていた。アルベルトの長身には及ばないものの、ソウシより僅かに高い身長をバランスよく鍛えたカールと対決するのは、筋肉の塊のような巨漢だった。カールとほぼ同じ程度の大きさの体が、おぞましいほど見事な筋肉で覆われている。

 初めての晴れ舞台だというのに、カールには浮ついた様子はない。何故か応援席を見渡したときに、若干残念そうな表情を見せたが。

「良いところを見せられないか。カールも可哀想に」

「……アル、なんのことだ?」

 勝手な感想を漏らす外野を余所に、二人の傭兵は闘技場の中央で向き合った。カールはよく手入れされたバスタードソードに、これまた綺麗に磨かれた傭兵隊制式の軽装板金鎧。対するゲティは、鉄板かと見間違えるほどのグレートソードに、急所だけを覆うプロテクターを着けている。

 距離を置いて対峙する二人の間に緊張感が満ち、応援席が一層エキサイトする。ちなみに、応援の声はカールの勝利を叫ぶものばかりである。この辺り、露骨に第一と第二中隊の人気の差が現れている。

 やがて、緊張感が最高潮まで上り詰めたとき、貴賓席のプリシラが立ち上がり、右手を挙げた。そして、凛としたよく通る声と共にその手を振り下ろす。

「――始め!」

 声と同時に、暴風のような一撃がカールを襲った。振り下ろされたグレートソードが闘技場の地面をえぐり、土の塊をまき散らす。しかし、カールはそれに気圧されることはなく、冷静にそれを避け、ゲティのがら空きの脇へと回った。

「(……隊長やアルベルトさんに比べて全然のろい……。いける!)」

「けっ、ちょろちょろと逃げるのは上手いじゃねぇか……。腰抜けの下にいるやつぁ、逃げるのが上手くなるみてぇだな?」

 大きな向こう傷の走る魁偉な顔に嘲りの表情が浮かぶ。しかし、冷静に相手の剣筋を見極めていたカールと違い、ボーンは状況を把握しきっていない。その瞬間、勝敗は決していたと言っていいだろう。

「ま、勝ったな」

「……だが、内容は落第点だ。最初の一太刀で終わっていたはずだぞ」

「直弟子に対する評価がきついねぇ」

 ソウシとアルベルトはあっさりとそう結論付けた。対面のゴステロも、苦々しくも同じ結論に達したらしい。

「あの、バカが……! 若造だからって侮りやがって……!」

「まあまあ大将。次で俺が挽回してやるよ」

「あたりめぇだ! ったく、あいつは、終わったら気合いを入れてやらねぇとな」

 双方の見守る前で、勝敗は誰の目にも明らかになっていった。嵐のごとくグレートソードを振り回すゲティを、カールはソウシ直伝の見事な剣捌きと体捌きであしらっている。ゲティの体にはいくつもの傷が刻まれ――第二中隊側の意見で、このエキシビジョンは真剣で行われているのである――、そしてついに、カールの正面からの一撃がその胸に大きな傷跡を刻んだ。

「そこまで! 勝者、カール・リヒター!」

 審判の裁定が下り、闘技場が歓声に包まれる。カールは観客の期待通りに、終始圧倒したままゲティを下してみせたのだった。

 

「第二試合――。第一中隊よりアルベルト・エルランゲン、第二中隊よりボーン・エルダール、双方出ませい!」

 審判の呼びかけに答えてアルベルトが闘技場のフィールドへと進み出る。整った顔立ちに飄々とした笑みを浮かべ、カールとは違った意味で全く浮ついていない。多少、真剣味に欠けるところがあるのだが。そして、そのアルベルトと対戦するのはひょろりとした印象のある男だった。但し、その印象は身長が並の高さではないためである。二メートルを越す身長のその男は、実質的にはアルベルトとは比べものにならないごつい体つきをしている。

 アルベルトは右手にサーベル、左手にマン=ゴーシュ(攻撃を受け流すための短剣)を持つ二刀流の構えだった。そして、カールと同じ制式の軽装板金鎧に、なんと洒落たマントを纏ったまま出てきた。中央まで進み出ると、目の前の対戦相手を無視し、マントを翻して貴賓席のプリシラに向かって一礼する。この伊達男の見事に決まったパフォーマンスに、観客席は大いに湧いた。

 無視された形になった対戦相手のボーンは、一旦怒りで顔を歪めたが、気を取り直して携えたヘビー・メイスを構える。ボーンの手の中にあるそれは、一見彼には不釣り合いなほど小さく見える。しかし、それは常人には両手でならどうにか扱えるという重量級の武器であり、鎧越しでも一撃喰らえば衝撃で骨と内臓を砕く必殺の武器である。おまけに、ボーンはゲティと違って肌の露出が少ない、アルベルトと同じタイプの軽装板金鎧を身につけていた。

「アルベルトさん、あんな剣で大丈夫なんでしょうか? いくらなんでもサーベルなんかじゃ、鎧は貫けませんよ」

「……まあ見ていろ。戦い方によっては、鎧などなんの障害にもならないという実例だ」

 カールは多少不安げな表情を見せていたが、ソウシはまるで動じた様子はなかった。対面の席からソウシたちを伺っていたゴステロはその落ち着き払った様子が気にくわないのか、ボーンに檄を飛ばす。

「そのすかした優男の面、叩き潰してやれ!」

 一方は飄々と、一方は殺気をみなぎらせながら対峙する。そして、開始の合図と同時に、二人は動いた。

「おぉあ!」

 ボーンの得物が、前の一戦のゲティのグレートソードと同様に地面にめり込む。先程もそうだったが、手加減の全くない一撃だった。第二中隊の面々は、本気で殺すつもりで戦っている。

「ひゅう、こりゃ当たったらひとたまりもないねぇ。ま、当たればだけど」

「――余裕かましてんじゃねぇ!」

 再び、凄まじい一撃がアルベルトを襲う。ゲティと似たような戦闘スタイルだが、鋭さがまるで違う。もしカールが対戦していれば、ただでは済まなかっただろう。しかし、アルベルトは余裕の表情を崩さない。

「そんじゃま、そろそろ行きますか」

「けぇっ!」

 三度襲った一撃をアルベルトはぎりぎりまで引きつけた。観客が、カールまでもが避け損なったのかと息をのんだその瞬間、アルベルトは紙一重で一撃を避けると同時に、身に纏っていたマントを外し、それをボーンにかぶせる。

「んな!? ――ぐほっ!」

 そして、マント越しに狙い澄ましたサーベルの突きを見舞う。どこに入ったのか、マントの下でボーンはくぐもったうめき声を上げる。そして、アルベルトはその動きを止めることなくボーンの背後に回ると、鎧の背面部の隙間に左手のマン=ゴーシュを突きつけた。

「悪ぃけど、俺って卑怯なんだよね」

 そして、審判の制止がかかる間もなく、容赦なくそれを背中に押し込んだ。ボーンはびくりと一瞬痙攣すると、ゆっくりと前のめりに倒れ込んだ。重い響きをたてて巨体が地面に横たわり、その姿を隠すようにかぶせられたマントの下から血溜まりが広がっていく。

「そ、そこまで! 勝者、アルベルト・エルランゲン! ――救護班!」

 慌てる審判の声と、観客の歓声を背に受けながら、アルベルトは再び貴賓席に向かって一礼していた。

 

「やはり実績があるだけあって、第一の方々は強いですわね、エリータス夫人?」

 貴賓席の上では、プリシラがこのエキシビジョンの原因となったエリータス夫人相手に皮肉の効いたセリフを投げつけていた。この場に他人がいなかったら、彼女は思い切り歓声を上げていただろう。それが出来ない鬱憤をぶつけているとも言える。

 ところが、当のエリータス夫人はそれを平然と受け流しつつ、無言で次の試合が始まろうとしているフィールドを見下ろしていた。さすがに年季と格が違うらしく、プリシラ程度の皮肉では全く動じていない。

 一方、その傍らのジョアンとソフィアは平静ではいられなかった。もちろん、内心はまるで違っていたが。

 ソフィアはもちろん彼らの勝利を喜んでいた。呼び出されて上等なドレスを着せられ、貴賓席のジョアンの隣りに座らされた手前、大っぴらにはしゃぐことは出来なかったが、熱心な拍手と嬉しさを隠しきれない表情が彼女の内心を物語っていた。ジョアン達の後ろに控えていた侍女のアニスは、間近でゴステロ達を見たことがあるために、この結果に目を丸くしていた。

「はーっ、凄いですねぇ、第一中隊の人達。あんなに怖い第二中隊の人達にあっさり勝っちゃうなんて」

「そうね……? アニスちゃん、あの人達のこと知ってるの?」

「は、はい。ちょっと……」

 そしてジョアンは、そんなソフィアの表情と、簡単に返り討ちにあっているゴステロの部下達に苛立ちを隠しきれずにいた。

「(全く! これだから傭兵風情は役にたたんのだ! ……だがまあ、ゴステロならばあの東洋人ごときに遅れはとらないだろう。なにせやつは……)」

 以前、ゴステロを雇うに当たって調べたその経歴の凄まじさから、これからソウシが見舞われる運命を想像してジョアンはほくそ笑んだ。

「(ソフィアにちょっかいを出す野蛮人が! まともな姿で終われると思うなよ!)」

 視線の先では、審判に呼び出された二人がフィールドの中央で今まさに戦いを始めようとしていた。

 

 凄まじい一撃が紙一重で振り下ろされる。だが、それは地面にめり込むことなく引き戻され、即座に横殴りの一撃が襲ってくる。ソウシはこれもまた紙一重で避け、バルムンクを構えて距離をとった。観客達は、それをソウシの危機と見て悲鳴を上げる。

「どうした、サガラさんよ? もっと本気を出しても良いんだぜぇ?」

「……下衆が!」

 滅多に見せない侮蔑の表情を浮かべて、ソウシはゴステロを睨み付けた。その顔には、同時に焦りの表情が浮かんでいる。

 ソウシはバルムンクを中段に構え、すり足で間合いを計る。着慣れない全身を覆う板金鎧が耳障りな音を立てる。

 余裕の薄ら笑いを浮かべるゴステロは、ボーンより大きく、ゲティより厚みのある巨体に相応しい特大のモール(身長ほどもある柄の先に無数の棘のある鉄塊を付けた竿状武器)を構える。その筋肉の発達した体躯は、分厚い特注の板金鎧で覆われ、生半可な攻撃では傷一つ付けられそうにない。

 二人ともエキシビジョンということで兜は付けていない。そのために観客からも二人の表情はよく見えた。

「さすがの英雄さんも、心配事があっちゃあ思い切り戦えねぇよな?」

「サキは無事なのだろうな?」

「ああ、命は無事のはずだぜ、命はよ。だが、お前が俺に万一勝ったりしたら、それもどうなるかはわからねぇけどな!」

 襲いかかってくるモールを、ソウシはまたも紙一重で避ける。いつもならここで反撃に転じる彼だったが、今日はそうはいかなかった。

 ――貴様の妹の命は、俺達が握っている。

 試合開始前にゴステロに囁かれたその一言が、ソウシの動きを制限する見えない鎖となっていた。だが、それがわかるはずもない観客席と貴賓席には、ゴステロが一方的に押しまくっているように見える。観客席からはモールが唸る度に悲鳴に似た歓声がわき起こり、貴賓席ではプリシラとソフィアが顔を青ざめさせていた。貴賓席の一角を占めるのエリータス親子は、目論見通りだとほくそ笑んでいたが。

 そのソウシの不調は、アルベルト達にもはっきりと見て取れた。

「変だな……。いつものあいつの動きじゃない」

「新しい剣と普段は着ない鎧になれてないせいじゃないですか? でも、隊長ならすぐに勘を取り戻しますよ」

「だから変なのさ。あいつなら、いくら勝手が違っていても、もうそれになれてなきゃおかしいぞ」

 その間にもソウシは猛攻にさらされ続けている。全て紙一重で避け、野太刀で受け流してはいるが、このままではいずれ捉えられてしまう、と観客の目にはそう映った。まれにソウシから仕掛けもするが、それらは全て分厚い鎧に弾き返されてしまう。

「(くそっ……)」

 ソウシはジレンマに陥っていた。今は亡きヤング大尉にその生き様を持って教えられた誇りにかけて、人質のような下衆な手段を使うゴステロに負けたくはない。しかし、本気を出して戦えばサキの命が危ない。今の時点でも十分すぎるほどの危険が迫っているはずなのだから。――もう、既に手遅れかもしれないが。

 せめてこの状況をアルベルトとカールに伝えられれば何とかなるかもしれない。だが、その手段はない。目の前のゴステロが楽しくてたまらない、という笑い声を上げた。弱者をいたぶる事が何より楽しい人間の笑い声である。

「さぁて……、客も十分楽しんだろうし、そろそろ終わりにしようじゃねぇか。なぁに、死ねとは言わねぇよ。ただ一撃喰らって、しばらくおねんねしてくれればいいだけさ」

 ゴステロは楽しそうにモールの柄をしごいた。

「……それを受けて、それだけで済むとは思えないがな」

「運がよけりゃあ、命は助かるだろうさ。ただし……」

 モールを振り上げ、ゴステロは叫ぶ。

「もう傭兵は廃業だがな!」

 左肩を狙って、唸りを上げてモールが振り下ろされる。確かに、これなら運良く命を拾っても左腕はもう一生使い物にならないだろう。

「(くっ……)」

 一瞬、ソウシの脳裏に幾人かの友人達の顔が浮かんだ。

『避けて! サキちゃんは無事だよ!』

「ピコ!?」

 反射的に体が動いていた。鎧の肩当てを持って行かれたが、肩自体に大きな損傷はない。転がって間合いを取りながら、ソウシはそう判断した。

「なんだ、てめぇ! 妹の命が惜しくないってのか!?」

 ゴステロが叫ぶが、ソウシは聞いていなかった。いつの間にか視界の端に浮かんでいたピコが、観客席の一隅を指し示す。

「兄さまーっ!」

 第一中隊が陣取っているの応援席の中で、サキはソウシの部下達に混じって声を張り上げていた。一見して傷一つ付いていない。ソウシは思わず安堵のため息を付いた。

「……ピコ、何故ここに来た? 野蛮な見せ物は嫌いじゃなかったのか?」

『べ、別にいいじゃない、そんなこと! とにかく、サキちゃんはあいつの仲間に襲われたみたいだけど、間一髪で通りすがりの人に助けてもらったんだって。私はそれをキミに伝えてくれって、あの娘に頼まれたの』

「そうか……、ならば!」

 膝立ちの姿勢から一気に立ち上がると、ソウシは油断無くバルムンクを構える。その時には、ゴステロもソウシの視線から応援席のサキに気付いたらしく、顔を歪めて舌打ちをしていた。

「あの野郎! しくじりやがったな!」

「……下衆な奴でも、共にドルファンのために戦う仲間……。だが、ゴステロ隊長、もう遠慮はしない。この公衆の面前で叩きのめす」

「けっ! 人質が無くたって、俺がてめぇに負けるかよ!」

 二人は弾かれたように動き始めた。それまでの一方的な展開が一変して、めまぐるしく攻守を入れ替えながらの撃ち合いになる。一合、二合と撃ち合いが重ねられるにつれて、観客もソウシが形勢を立て直したことを感じ取り、その勝利を期待する歓声を張り上げる。

「アルベルトさん! 隊長、これなら勝ちますよ!」

「……何があったか知らねぇが、とにかく立ち直ったみたいだな」

 カールも観客と声を揃えて歓声を上げ、アルベルトは額の汗を拭って一息ついた。

 貴賓席のプリシラも青ざめた顔を一転して紅潮させ、叫びだしそうな自分を必死に抑えてソウシを凝視していた。ソフィアも同様で、その両手はソウシの勝利を願うように胸元で固く握りしめられている。

 しかしジョアンは、変わってしまった状況と隣のソフィアの態度に、苦虫をまとめてかみつぶしたような苦々しい表情を浮かべていた。

 その間にもソウシは鬼神の勢いでバルムンクを振るっていた。踏み込んで袈裟懸け、間髪入れずに横薙ぎ、突き、ゴステロの打ち込みをいなして切り返し。一振りごとに分厚い鎧がいやな音を立て、簡単に切り裂かれ、或いは断ち割られてる。モールには及ばずとも、充分に重いバルムンクを手足のように操ってソウシはゴステロを追いつめていく。

「こ、こいつ……!」

「……終わりだ」

 壁際に追いつめられて焦ったゴステロが大きくモールを振り上げた瞬間、ソウシは一気に野太刀の間合いに踏み込んだ。真っ直ぐに伸ばされたバルムンクの切っ先が一瞬だけ隙を見せた喉元に迫り――。

「そこまでっ! 勝者、ソウシ・サガラ!」

 喉を貫こうという姿勢で動きを止めたソウシに、審判は勝利の判定を下した。遅れて闘技場が歓声で沸き返る。ソウシは突きつけていたバルムンクをゴステロの喉元から外すと、ゆっくりとそれを背負った鞘に収め、貴賓席に向かって一礼する。

「ゴステロ隊長。妹に対する無法、今日の所はこれ以上の追求はしない。だが、二度目は無いぞ。無益なことを企むのは止めて、心を入れ替えてドルファンのために働け」

 屈辱に肩を震わせるゴステロにそれだけ言い放つと、ソウシは足早にフィールドの出口に向かった。そこには、アルベルトとカール、第一中隊の部下達、レズリー、ハンナ、ロリィ、そしてサキが待っていた。

 ソウシは、しっかりとした足取りでそこへと帰っていった。狂気に似た視線をその背中に注ぐ、ゴステロをその場に残して。
 

 貴賓席のプリシラ達も、ソウシの勝利に惜しみない拍手を贈っていた。闘技場の観客全員が打ち鳴らす拍手の音は、ソウシ達が控え室に戻るまで消える事はなかった。

 だがそんな中で、目論見の外れたジョアンは、忌々しさを隠そうともせずにおざなりな拍手をしているだけだった。

 

 

 その夜、シーエアー地区の繁華街のその裏道。ゴミと汚物で汚れた裏通りを、マンジェロはふらふらと歩いていた。危うい足取りは、先程まで浴びるように飲んでいた安酒と、ゴステロから受けた暴行のためである。

 サキを拉致する事に失敗した彼は、ソウシに負けたゴステロの苛立ちを一身に受けることになったのである。

「ちっくしょう……。あの野郎……。自分が負けたことを棚に上げやがって……。何が“万が一の保険”だ! 結局てめぇが弱いだけじゃねぇか!」

 ひとしきり喚き、手近な壁を思い切り殴りつける。もう痛覚が麻痺しているのか、血がにじむほど壁を殴ったというのにまるで痛みを感じている様子を見せない。そこで落ち着いたのか酒が本格的に足に来たのか、壁に背中を預けてずるずると崩れ落ちる。

 誰もいない路地裏で恨み言を言い続けるマンジェロだったが、ふと、誰かが自分を見下ろしていることに気付いた。

「何だぁ、てめぇ……? 見せ物じゃねぇんだ、痛い目見たくなかったら消えな!」

「おうおう、立てもしないのに威勢がいいねぇ」

「お前……アルベルト! 何だ、何しに来やがった!」

 ろれつも怪しくなり始めた口で、マンジェロは精一杯の啖呵を切った。彼を見下ろしていたのが、彼らが一方的に敵視している第一中隊の幹部の一人だったからである。そのわめき声を全く気にすることなく、アルベルトは薄く笑った。

「お前、その怪我、ゴステロにやられたんだろ? 我が侭な隊長を持つと大変だねぇ」

「……うるせぇよ。東洋人に尻尾を振るよりよっぽどましだ」

「とは言っても、そろそろヤツにも愛想が尽き始めたんじゃないか? 腕っ節だけが自慢だってのに、ああ見事に負けたんじゃあなぁ?」

「何が言いてぇんだ……」

 アルベルトの持って回ったセリフに酔った頭で何かを感じ取ったのか、マンジェロは不審そうな視線を向ける。そして、当のアルベルトは我が意を得たりとばかりに手を鳴らした。

「話が早くて助かるよ。なぁに、簡単なことさ。ちょっとばかし、頼まれてくれないかな……?」

 アルベルトは、にやりとしか表現しようのない人の悪い笑みを浮かべた。

 

 

次回第九幕 陰謀は暗闇の中で

目次


コメント

ふう……、疲れた……。イベントを詰め込みすぎたかなぁ……?

まあともかく、戦闘シーンをいっぱい書けて楽しかったです。……って、ますます「みつめてナイト」の趣旨から外れているような(苦笑)

ですがまあ、血生臭い(?)展開はもう少し続いたりしてしまいます。もうちょっとだけお付き合いください。
 

それでは今回のキャラ紹介

マンジェロ・ガッシュラン ?歳 男

ボーン・エルダール ?歳 男

ゲティ・ダンコフ ?歳 男

 元ネタ、バレバレ(爆笑) 性格も元ネタに準じたりしますが、ご存知ない方に解説。

 マンジェロは小柄で意外に整った顔立ちをしています。ですが、性格は最悪。悪知恵が働くサディストです。描写はありませんでしたが、メインの武器は長剣……に見せかけた隠し武器。主に投げナイフです。

 ボーンはひょろ長い印象がありますが、それは身長が異常に高いためです。こいつもサディストの気がありますが、マンジェロと違って非常に単純な頭をしています(笑) 武器は作中の通り両手持ちのヘビー・メイス。牛の頭くらいなら叩き潰します。

 ゲティはその巨体と、顔面の向こう傷が印象的です。怪力に任せた戦い方をするバカ……と言うと本人はキれます、気を付けましょう(笑) 武器は両手持ちのグレートソード。某黒い剣士の「鉄塊」や、「四角い」会社の「Z」の主人公が振り回していたような剣です。

ゴステロ・ダルジャン

 とりあえず武器だけ解説。使っているのはモールという竿状武器です。作中の説明の通り、竿の先に鉄の塊を付けたような武器でして、これをまともに振り回すような怪力の持ち主が使うと、洒落にならない威力を発揮します。これを使いこなせるゴステロは、一応(戦闘に関しては)一流の傭兵なんですね。

マリエル・エリータス ?歳 女 ?型

 一言も喋っていませんが(苦笑)、貴族の顔の一人、エリータス夫人です。本人が非常に切れ者な上に、名門エリータス家の影響力と、聖騎士であった亡き夫の名声を利用して確固たる地位を築いた……、というのがこのお話の彼女です。

 そんな彼女ですが、末っ子のジョアンには甘いようで……。ジョアンの恋の成就のために(笑)、色々と手を打ったりしています。今回のエキシビジョンも彼女の計画だったんですが、ソウシ達の予想外の強さのために、試合にかこつけて彼らを葬り去るという計画は水泡に帰しました。

 最も、彼女の狙いはそれだけではないようですが……。

*マリエル・エリータスに関する記述は、「Dolphan Station」の管理人、TWIさんの情報提供を元に作成しました。この場を借りて、改めてお礼をさせていただきます。
 

それではこの辺で。

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