第二十話


ついに叙勲式当日がやって来た。

ピコ「そう言えば、今日の夕方から叙勲式があるんだよね?」

ゲイル「ああ」

ピコ「これまでの成果が形となって表されるなんてちょっとドキドキかも?」

ゲイル「そうだな」

ピコ「でも明日には出国しなくちゃ……。あんまり浮かれてばかりはいられないね………」

ゲイル「……………」

ピコ「ねえ…明日の出国の事、誰かに知らせておけば?」

ゲイル「手紙?」

ピコ「黙って出て行くよりもさびしいし……。手紙なんかで…ねえ?」

ゲイル「そうだな」

ピコ「どうせだから、明日の夕方、波止場で待ち合わせにしなよ。でも来なかったら大笑いかもね」

ゲイル「ああ……」

俺はソフィア宛てに手紙を書いて出した。

 

そして夕方。

ピコ「それじゃあ、叙勲式にレッツ・ゴー!」

俺はドルファン城へ向かった。

しかし、叙勲式はすでに始まっていた。

メッセニ「おい、東洋人。貴様が最後だ。そこへ控えろ」

ゲイル「はい。まことに申し訳ありません」

俺は国王の前へ進み出た。

国王「汝は外国人ながら、この国の為に良く戦ってくれた」

国王は俺の肩に剣を向け、

国王「ゲイルよ。汝に騎士の最高位である“聖騎士”の称号を与える」

国王の声が響き渡ると、周りから一斉に拍手が起こった。 

メッセニ「貴様は好きになれんが、今日まで、良くやったと思う。それは私も認めよう…」

ゲイル「ありがとうございます」

メッセニ「外国人排斥法については悪く思うな…。陛下とて望まれた事ではない。

     旧家の両翼が揃って法案を押し通したのだ。どうにもならんのさ……」

ゲイル「はい……」

メッセニ「ご苦労だったな……。帰って出国の準備をしてくれ」

そして俺は宿舎へ戻った。

 

ピコ「今日が最後の夜だね……」

ゲイル「ああ………」

ピコ「この国で過ごした時間って短かったな…?長かったかな…?」

ゲイル「さあな。しかし、良い思い出が出来たさ」

ピコ「今日は早めに寝なよ。おやすみ………」

 

そして次の日。

ピコ「おはよう。もう昼だよ」

コンッコンッ!

ピコ「あ、誰か来たみたい」

管理局員が訪ねて来た。

管理局員「おはようございます。出入国管理局の者です。

     3月16日午前0時をもって、貴殿とドルファン軍との契約は終了いたしました」

ゲイル「そうですか……」

管理局員「まことに申し訳ありませんが、速やかなる退去をお願いいたします」

ゲイル「わかりました」

管理局員「それでは……」

彼女は一礼して立ち去った。

ピコ「そろそろ出発しようか…」

ゲイル「そうだな」

ピコ「行こう………」

 

そして波止場に着いた俺は、船の前で何かを言った。

ゲイル「来るわけない、か……」

ピコ「え?」

ゲイル「手紙にこう書いたんだ。『来てくれてもいいが、そうすると、別れが辛くなる』と………」

ピコ「ゲイル………」

そして夕方。

俺が船に乗り出すと、船は数分経って出発した。

ゲイル「さらば、ドルファン」

その時、かすかだが、聞き覚えのある声が聞こえた。

まさかとは思うが、俺は波止場の方へ顔を向けた。すると…

ソフィア「ゲイルさーん!」

ゲイル「ソ、ソフィア……!」

そこにはソフィアの姿があった。

ソフィア「ゲイルさん、行かないで!ゲイルさん!」

ソフィアの叫び声。

その時俺は、双剣の片方を波止場にいるソフィアに向かって投げた。

剣が波止場でカランッと響きのある音を出す。

ゲイル「ソフィア!そいつを、そいつを持っていてくれ!」

ソフィア「ゲイルさん!」

ゲイル「俺は、君を愛している!だから、俺は君に会いに行く!きっと、いつの日か……」

ソフィア「ゲイルさん…。私も、私もあなたを愛しています!」

ゲイル「だから、待っててくれ、ソフィア!」

ソフィア「はい!私、待ちます!あなたを待ち続けます!」

海には、二人の声が響きわたる。そして、俺の目から零れた涙が風に流されていく。

しばらくして、ソフィアの姿は見えなくなった。

 

ゲイル「…なあ、俺ってやっぱり馬鹿だよな。自分の気持ちを抑えて、彼女の幸せの事ばかり考えていた…」

その時、ショウとシュウが、

ショウ「ゲイル、後悔しても知らないと言ったろ?」

ゲイル「ああ………」

シュウ「しかし、彼女はお前の事を愛していると言った。それならば、さっきの約束は守らないとな」

ゲイル「そうだな。俺は信じるしかない。彼女の、俺への想いを………」

ショウ「それよりさ、お前、これからどうするんだ?」

ゲイル「え?」

シュウ「俺たちは、これからどうするか考えててな」

そして俺は、決心して言った。

ゲイル「俺は騎士だ。ドルファンから聖騎士の称号を与えられた騎士だ。俺に待っているのは、次の戦いのみ!」

ショウ「そう言うと思ったぜ!」

シュウ「それじゃあ、俺たちも同行する」

ゲイル「ああ」

 

 

こうして、俺のドルファンでの生活は終わりを告げた。

しかし、これで終わった訳ではない。

俺には、必ずこの国に戻らないといけない理由がある。

そう、彼女との約束を………

 

 

『双剣の翼』〜FIN〜


<後書き>

 

いやー、ついに双剣の翼を書き終えました。

途中、話が飛んだりかなり速いペースでドルファンを去りましたが、

この続編を『ドルファンを後にして』で連載しようと考えています。

では、またゲイル=ラバーバ=ウィナーの新しい戦いを待っていて下さい。

 

それから、またまたメールアドレスを変更いたしましたので、そこのところ、よろしくお願いいたします。


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