第十五話


ドルファンを訪れて早くも三年目の秋が来た。

その時俺はアンという女性と知り合った。

 

戦争が無いのは良い事だが、それは終わってはいないのだった。

九月に入って、再び双剣が血に汚れる時が来た。

八騎将も残るはあと四人。そして、戦火が響きわたる。

マクラウド「ゲイル、今だ!」

ゲイル「わかった!騎馬隊、突撃だ!」

ドルファンを訪れて四回目の戦争。死者が多く出たものの、俺たちの部隊は勝利を収めた。

 

男A「もはや、これまでですな」

男B「すまぬ。キリング……」

キリング「デュノス様。ここはお引き下さい」

デュノス「しかし………」

キリング「今はまだ、勝利を収める事は出来ません」

デュノス「わかった……。キリング。死ぬ時は一緒だ」

そう言ってデュノスは撤退していく。

 

キリング「さあ、この老いぼれの首を仕留める者はおらぬか?」

マクラウド「ゲイル、奴は今までの八騎将より強いはずだ」

ゲイル「ああ、わかっている。俺もそう感じている」

そして、俺は双剣を引き抜き、

ゲイル「我が名はゲイル=ラバーバ=ウィナー。八騎将の一人、お相手願う!」

キリング「貴方が双剣の翼か………。我が名は『幽鬼のミーヒルビス』!」

ゲイル「出来れば戦いたくはないが、これも役目でな………」

キリング「では、こちらから参りますぞ」

キリングの振りかざした鎌が、俺の頭上に降りてくる。

ゲイル「くっ!もう少し遅れていたら死んでいたな」

何とか双剣で止めたのだが、

キリング「では、これでは?」

キリングの鎌から何かが現われ、俺は重傷を負った。

ゲイル「な、何だ、今の攻撃は!?防ぐ事ができなかった?」

キリング「双剣の翼と言えど、この攻撃は受け止められぬか」

ゲイル「こうなれば、三本の剣を使うしかないか」

キリング「では、これで終わりです」

ゲイル「エクスカリバーよ、頼む!俺に力を貸してくれ!」

するとエクスカリバーは、俺に応えてくれたかのように突然光り出した。

キリング「何!?この光は!?」

ゲイル「今だ!必殺、双剣影撃剣!」

双剣が、油断したキリングを完全に捕らえた。

キリング「デュノス様……、約束は守れませぬ………」

俺はキリングを倒した。

だが、八騎将はまだ三人生きている。そう考えると、この勝利を喜ぶ事は出来なかった。

 

 

それから数日後、

いつものようにドルファンで生活している時に、悲劇が再び始まった。

俺は、当日、ソフィアの手紙で『劇に出演する』と言う事でシアターに行ったのだが、

ショウ「あ、ゲイル!」

ゲイル「一体、何が起きているんだ?」

ショウ「爆弾テロだ!」

ゲイル「テロだと!?それじゃあ、ソフィア達は?」

ショウ「今、シアターにいたほとんどの人達が病院に運ばれている」

ゲイル「と言う事は、死者もいるのか?」

ショウ「ああ………」

テロによってシアターが爆破され、死者もいると聞いて、俺は何か嫌な予感がした。

その時、

ピコ「あ、ゲイル!」

ゲイル『ピコ!?お前、何で?』

ピコ「話はあと!それよりソフィアだけど、病院に運ばれたらしいよ」

ゲイル『そうか、ならば病院に向かうまでだ』

ショウ「ゲイル、どうしたんだ?独り言なんか言って?」

ゲイル「悪い!俺は病院へ向かう!」

ショウ「お、おい、ゲイル!?」

俺は、急いで病院へ向かった。

 

看護婦「あら、どうしたんですか?そんなに慌てて……」

ゲイル「ソフィア、ソフィア=ロベリンゲはどこに?」

看護婦「ロベリンゲさんですか?怪我はあまり無かったのですが…」

ゲイル「ですが?」

看護婦「こちらへ…」

俺は、看護婦と共にソフィアのいる病室へと向かった。

看護婦「ここです」

ゲイル「ソフィア!」

俺はソフィアの元へ駆け寄り、

ゲイル「ソフィア、大丈夫だったか?」

ソフィア「……………」

ゲイル「…ソフィア?」

看護婦「彼女、声が出なくなっているんです」

ゲイル「そんな…嘘だろ………?」

ソフィア「……………」

ソフィアは悲しそうな顔をしている。

ゲイル「…大丈夫。必ず、また元通りに声が出て、歌えるようになるよ」

俺は、とりあえずソフィアを励ました。ソフィアはそれに応えるかのように笑顔を作る。

看護婦「優しくしてあげて下さいね」

ソフィアは看護婦を呼び、何かを伝えようとしている。

看護婦「ゲイルさん。ロベリンゲさんは、来週またお見舞いに来て欲しいと願っています」

ゲイル「ああ。来週も、いや、ずっとお見舞いに来るよ」

そう言うと、ソフィアは顔を少し赤くしていた。

看護婦「すみません、少し休ませてあげないと…」

ゲイル「そう…ですね。ソフィア、また来週来るよ」

そう言って病室を出た後、

看護婦「私、メネシス先生に相談してみます」

ゲイル「はい、お願いします」

看護婦「では………」

看護婦はそう言って立ち去り、俺はとりあえず宿舎に戻った。

 

ピコ「おかえり。どうだった、ソフィアは?」

ゲイル「……彼女、声が出なくなっている」

ピコ「え?」

ゲイル「爆発のショックか何かで声が出なくなっているんだ」

ピコ「それで、どうするの?」

ゲイル「どうするって、何が?」

ピコ「犯人を探すの?」

ゲイル「探したくても情報が無い。それに今は、ソフィアの側にいてあげたい」

ピコとそんな会話をしている途中、ショウとシュウが訪ねてきた。

ショウ「ゲイル、俺たちと一緒に犯人を探さないか?」

ゲイル「探したいのは当然だが、俺は、ソフィアの側にいてあげないと…」

シュウ「そうか。なら、俺たちで情報を集める。お前は、ソフィアの側にいてあげろ」

ゲイル「……いいのか?」

ショウ「ああ。マクラウドも協力してくれるしな。俺たちだけで探してみせる」

ゲイル「そうか、すまないな」

シュウ「お前が謝ってどうする。お前は、犯人が八騎将だった時に頼む」

ゲイル「やはり、八騎将が犯人かもしれないか?」

ショウ「ああ。だから、その時は頼むぞ」

そう言って、二人は去っていった。

ピコ「良い友達を持ったね」

ゲイル「ああ。俺は、それにちゃんと応えられるようにする」

ピコ「やっと元気が出たね?」

ゲイル「俺が元気じゃないと、ソフィアが心配するからな」

ピコ「あんた、変わったね」

ゲイル「そうか?」

 

 

そして、次の日から俺は剣術を修行し、週末はソフィアの病室にいる事にした。

ソフィアはすっかり元気になっているが、まだ声が出ない。

 

 

それから数日後。俺の真の力が目覚める事など、俺自身、まだ知る由も無かった。

 

続く……


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