ワシントン ナショナル・ギャラリー展

2011年6月

乃木坂駅にて

 2011年3月11日に起こった東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、海外からの特別展が次々と中止・延期されていく中で、予定通り開催されたワシントン・ナショナル・ギャラリー展。
 当初、“予定通り開催する予定です”とアナウンスされても、正直なところ半信半疑でした。強い心で予定通り開催にご尽力された関係者の皆さまに心から感謝いたします。

 乃木坂駅の改札を出た正面に掲示されたワシントン・ナショナル・ギャラリー展の駅張り広告に、改めて開催していることを実感しました。予定のことが予定通りに開催されるのは、実はとても素晴らしいことだったのですね。
 開館時間の5分前に入口に到着。100人前後の行列ができています。入口付近の混雑緩和のため、何人かずつに区切って入場。ざっくりとした感じでは、20人ずつくらいでしょうか?

 10時5分入場。

 展覧会の展示構成は、

 1 印象派登場まで
 2 印象派
 3 紙の上の印象派
 4 ポスト印象派以降

の4部構成でした。
 最初の展示作品であるコローの「うなぎを獲る人々」のよくありそうな子供の動きと周囲の緑がすっかりお気に入りになり、最初からテンションが上がりました。

 ワシントン・ナショナル・ギャラリー展を見学する何日か前に、BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」で、ワシントン・ナショナル・ギャラリー展が取り上げられていたので、そのときの山田五郎さんの薀蓄や、おぎやはぎのお2人、紗世ちゃんの感想を思い出しつつの見学です。
 よく耳を澄ましていると、「この前、BSでやった…」という声が何回も聞こえて来たので、同じような方が多かったようです。(笑)

 マネの「オペラ座の舞踏会」の黒の輝き・光沢にうっとり。何気にマネが5作品も来ているのですよ〜。

「鉄道」 マネ


「ヴェトゥイユの
画家の庭」 モネ

 ドガの「舞台裏の踊り子」の、紳士に離しかけられているのにツーンと完無視な踊り子が、逆に絵に表情を出しているようでした。

 モネの「揺りかご、カミーユと画家の息子ジャン」のジャンの鼻が顔の肌より少し薄めの色で塗られていてつぶれているように見えるのが何とも愛嬌があって可愛いくて微笑ましいです。手に持ったでんでん太鼓が目を引くのは、日本人だから?
 同じくモネの「日傘の女性、モネ夫人と息子」。同じような日傘をさす女性のモネの作品はオルセー美術館で観たことがありますが、夫人と息子バージョンは始めて。ジャンが可愛いですし、少し離れて見ると雲が輝いていて、真逆光で夫人と息子を描いているのが良く判りました。
 同じくモネ「ヴェトゥイユの画家の庭」も少し離れて見た方が、建物の屋根、坂道の感じなど、印象的で綺麗に見えました。
 さらにモネの「太鼓橋」は、ジヴェルニーで現物を見ているので、親近感抜群!
 展示室の壁2面がそれぞれ3点ずつ計6点のモネの作品という贅沢な空間。普通だったら、それだけでメインがはれるであろう「日傘の女性、モネ夫人と息子」や「太鼓橋」が、「ヴェトゥイユの画家の庭」の脇を固めているのですから、その贅沢さが想像できるというものでしょう。
 
 個人的に大好きなルノワールの「踊り子」が、何気に群舞になっていて、その展示室の主役はカサットの「青いひじ掛け椅子の少女」。カサットが印象派をアメリカに紹介した云々の山田五郎さんの薀蓄を思い出しつつ鑑賞。このモデルのお嬢さんのお孫さんだかひ孫さんだかがいらして、この絵を観たら、「おばあさん、もう少しだけでいいからモデルするやる気を見せて〜!」と悲鳴をあげるのではないかと勝手にストーリーを作ってしまったくらいモデルの女の子のやる気のなさが全開な作品。そこが、ミソで面白くもあるのですが〜。(笑)
 ルノワールの作品もまとめて6作品展示。

「青いひじ掛け椅子の少女」
カサット

 3 紙の上の印象派

 は、印象派といわれる画家さんの版画、エッチング、リトグラフなどの作品が展示されていました。
 印象派の画家さんに版画等の作品がこんなにたくさん作られているのを知らなかったので面白かったです。

 マネの「ベルト・モリゾ」は、「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」のリトグラフ版?ベルト・モリゾの目が点目なのが愛嬌があって笑えました。

 シスレーとクロ(版画家さん)の「川岸」は、そのまま家に飾れそう。

 ルノワールの「田舎の踊り」は、そのままオルセー美術館の「田舎のダンス」のペン版。こういうのを作ってたのですか。びっくり。
 ゴッホのエッチング「ガシュ医師」も油絵で観たことがあります。

「赤いチョッキの少年」
セザンヌ

 ←の「赤いチョッキの少年」は顔色が少しよくなくて、私的にはあまり…。

 ゴッホ3点の中のみならず、今回の全出品作を含めてもゴッホの「薔薇」が最も気に入りました。パステルグリーンの背景と机の上に置かれた壷にいけられた白薔薇がほっとする美しさと清々しさ。部屋に飾るようにマット付の少し大きめの絵はがきを購入しました。

 これで全ての作品の鑑賞終了。

「自画像」 ゴッホ

 サブタイトルで、

 “印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション”
 “これを見ずに、印象派は語れない”

 と豪語するのも頷ける内容だったと思います。

 展示も、作品と作品の間隔が、今まで観てきたどの特別展の作品展示の間隔よりも開いていて、混んでいる割には比較的カニの横ばいになることも少なく、ストレスなく鑑賞することができました。

パン、オリーブオイル、自家製リエット


小海老のフリカッセを詰めた的鯛のスフレ仕立て
ほうれん草のピューレ添え
甲殻類のムースリーヌと共に


鶏胸肉とフォアグラ・マッシュルームのルーロー
カリフラワーのフラン添え
ソース・シュープレーム


ヨーグルトのムース アプリコットのクーリー


アイスコーヒー

 この日のランチは、美術館3Fのブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼの本日のランチセット(2,000円)をいただくことにして待ち行列に並びました。待ち時間30分で、テーブルに着くことができました。

 メインは魚料理と肉料理のどちらか一方をチョイスするものだったので、どんなお料理が出てくるか興味津々で同行者と魚と肉をそれぞれ選んでみました。
 デザートも5種類のケーキ等からチョイス可。選んだヨーグルトのムースがと〜〜ってもおいしくてニッコニコ。次も食べたい!と思えた一品で、待って食べた甲斐のあるランチになりました。

国立新美術館前にて

 おいしいランチを食べた後、六本木ヒルズに寄って少し散歩して帰途につきました。