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たとえ世界が滅んでも。 この気持ちに変わりは無いと確信できる事が嬉しかった。 「愛してる。」 「・・・・ったく。ばかなんだから。」 腕の中で毒づく少女。 ただその声は暖かいものだった。 闇に染まった栗色の髪が頬をくすぐる。 「なに考えてるのよ。こんなとこで・・・・」 「誰も見てないだろ。」 人通りがさほど多いとも言えない時間帯。つまり夜。 建物の影に溶け込んでいる。 誰も見てないというより見えないというほうが正しいか。 「お前さんの実家に行けばこーゆーことも出来なくなるだろ?」 「やったらぶっ殺ス。」 はは・・・と軽く笑って少女を抱く手に力を込める。 ずっと――長い間求め続けてきた温もり。 「な、リナ。」 「何よ。」 「オレ、リナと結婚したい。」 ふと、人の声が耳にとどいた。 腕の中の少女が身を竦ませる。 こちらには気付かず通り過ぎていった人達を見送って再び問い掛ける。 「リナ?」 「・・・・あたしの実家に行きたいって言ったのあなたよね?」 「おう。そうだったような気がする。」 わざととぼけて見せると予想通り、少女は深いため息をついた。 「最初っからそれが目当てだったわけ?」 「なんだリナ。気付いてなかったのか。」 もぞもぞもぞ。 どうやらこちらを殴ろうとして腕ががっちり固められてる為に失敗したか。 「無駄な抵抗だな。」 「やかましいっ!」 「で、答えは?」 闇の中でもそれとわかるほど赤くなった少女の耳元で囁く。 「ひゃぁうっ!?」 「敏感だな〜」 「ば・・・か・・・・このっ・・・」 口をパクパクさせる少女を見て声をあげて笑う。 答えよりもこの時間が長く続く事を欲するように。 「愛してる――だから結婚しよう。」 「嫌って言ったら?」 「そんなことリナが言うわけないよな?」 「・・・・本気で言ってる?」 「もちろん。」 沈黙。 決して不快ではない、むしろ心地よい静寂。 それを破ったのは少女の声。 「なら――音を上げるんじゃないわよ。」 「もう慣れてるさ。」 少女の体が震える。 笑ったのだろう。前を見て、目をそらさない微笑み。 3度目の挑戦。 「結婚しないか?」 「・・・・うん。」 「それともう一つ。」 「なに?」 「キスしたい。」 「だめ。」 緩んだ腕の隙を逃さず少女の体がするりと離れる。 かわりに吹き込んでくる風。 「おやすみ。ガウリイ。寝坊するんじゃないわよっ!」 「・・・ああ、おやすみ。」 ――ゼフィーリア王都ゼフィール・シティまであと5日。 |
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管理者から一言:
まあガウリイさん自信家だわテクニシャンだわ素敵だわっっっ!!!
リナちゃ〜ん、ワナにハマってしまったのね!?かわいそうに(心にもないことを)
こんだけラブラブしてると、ついついベッドの中のよーな気がしてしまうけど、お外なのね(笑)
ああっっ、ジブンも覗きたいですぅ〜〜(おい)
ガウリイ、これで大人しく寝たんでしょーか?最後のセリフの「…」が気になる♪(笑)
雪畑さん、管理人好みのあまあま話、ありがとうございました〜〜♪♪
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