「リナ、これやるよ」
「へ?」
ある日ガウリイがぽいっと放ってよこしたもの。
それはでっかいクマのぬいぐるみ。
「ガウリイ‥‥あんた、こーゆーシュミあったの?」
「ばか言えっ! くじ引きで当たったんだ、くじで。
オレが持ってたってしょーがないだろ? だからお前にやるよ。
それともリナ、こーゆーのはキライか?」
「キライってことはないわ。 うん、一応もらっとく。
‥‥ありがとね、ガウリイ」
「おう♪」
受け取って、
リナはおもむろにクマの口の中をのぞいたり、お腹をぽよぽよつつきだした。
「‥‥なにしてんだ、お前?」
「いや〜、物騒なご時世だし〜。
なんか仕込んでないかな〜とか思って、念のため」
「なんかって、何がだ?」
「例えば‥‥盗聴器とか隠しカメラとか♪」
「リ〜ナっ!!」
「あはは☆ じょーだんよ、じょーだん!
クラゲのあんたにそんな知恵あるはずないもんね〜〜♪♪」
「クラゲって‥‥ 知恵って‥‥」
「気にしない気にしない♪
ほんとにありがと、ガウリイ。 絶対大事にするから!」
リナは嬉しそうにクマの手でバイバイすると、ガウリイにくるり背を向けた。
遠ざかる後ろ姿を見送りながら、
ガウリイは独り静かに微笑んでいた。
クラゲで良かった、と‥‥‥‥
・・・・・・・・おしまい(くすっ)