第3話『逆転のセレナード』第2回法廷(その5)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
マキ・トバーユ…黄土
ラミロア…藤
ローメイン・レタス…青
眉月 大庵…紫
或真敷 バラン…薄橙
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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同日 午後1時40分
地方裁判所 被告人第2控え室

み: オドロキさん!
アレ、ホントなんですか?
事件は、ホントは第2部‥‥
ラミロアさんたちのステージの
ときに起こった、って!
王: ラミロアさんがなぜ、
天井の通気口にいたのか?
そして、あの”スイッチ”と
燃え上がったギター‥‥
すべてをつなげると、そういう
ケツロンになるんじゃないかな。
?: ‥‥さすが、ぼくが見こんだだけの
ことはあるね。
み: あ‥‥パパ!
王: 成歩堂さん!
オレのコト‥‥
見こんでくれていたんですか!
成: いや、どうなんだろ。
王:え。
成: ここは、そう言いながら出てくると
いい感じかなと思ってさ。
王: ‥‥聞くんじゃなかった。
み: もう!
どこ行ってたの? パパ。
最近、ゼンゼン事務所に
来てくれないじゃない!
成: ああ。ゴメンな、みぬき。
パパは今、ゴクヒ任務中でね。
み: ゴクヒ‥‥?
潜入捜査、みたいなヤツ?
王: レタスさんみたいですね。
み: うう‥‥パパ、やだよ。
コロされちゃったりしたら。
成: はっはっはっ。
かなわないなあ、みぬきには。
とにかく。
これからもう一度、出かけるから。
王: え。
行っちゃうんですか!
成: ああ、そうだな。
‥‥ひとつだけ、忠告しておくよ。
王: なんですか?
成: ‥‥‥‥‥‥
がんばれ。
王:はあ。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
あの。
おしまいですか?
それで。
成: ‥‥おそらく。
マキ・トバーユの無罪判決‥‥
それを勝ちとるのは、
そうムズカシイことじゃない。
王:え‥‥
成: だけど。キミは‥‥あの刑事を
狙っているんだろう?
王: 眉月 大庵‥‥
成: 彼の犯行を立証するのは‥‥
かなりムズカシイだろうね。
今の法廷のシステムでは、特にね。
王: ”ほうていのしすてむ”‥‥?
どういうことですか!
成: 法廷で、牙琉検事も
言ってただろう?
キミのスイリは、ただひとつの
仮定の上で成り立っている。
あの歌姫さんの証言が、
<<正しい>>という仮定の上で、ね。
み: え。でも!
証拠もイロイロあったじゃない!
ブローチとか。スイッチとか。
成: ブローチにしろ、
歌詞のマチガイにしろ‥‥
他の説明をつけることが可能だよ。
ギターが燃えたのだってそうだ。
事件とカンケイがあるという
決定的な証拠は、ないんだからね。
み: そんなあ‥‥
成: もし、歌姫さんが”ウソ”を
ついていたとしたら‥‥
キミの主張は、フライパンの上の
バターのように溶けて消えて、
あとに残るのは香ばしいニオイだけ。
‥‥そういうコトだよ。
王: じゃあ‥‥どうすれば!
成: だから。忠告しただろ。
‥‥がんばれ、って。
フツーの手段で、彼の犯行を
立証するのはムリだからね。
王: うううう‥‥
成: ああ‥‥そういえば。
キミにわたすモノがあったな。
あの刑事さんからたのまれたんだ。
王: え‥‥アカネさんから、ですか!
成: ええと。このカリントウ‥‥は、
ぼくがオヤツにもらったんだった。
そうそう。こっちだよ。
み: なに、これ。パパ。
みぬきたちのオヤツには
なりそうもないけど。
成: 現場で発見されたらしいね。
燃えカスを分析したところ‥‥
火薬の痕跡があったそうだ。
み: かやく‥‥
成: いわゆる、バクチク、かな。
パァンと大きな音がする、アレだね。
‥‥現場の、ソファの下の
スミっこで見つけたそうだよ。
王: ソファの下‥‥
み: あ! アレですよ、オドロキさん!
あの、ちっちゃなキカイを
見つけたところ!
王: ああ‥‥コイツ、か。
(さすがに‥‥
アカラサマなハナシだな)

証拠品<<燃えカス>>のデータを
法廷記録にファイルした。
成: じゃ、そんなところだな。
判決のあとに、また会おうか。
‥‥会えたら。
王:はあ‥‥
成: 発火装置‥‥
王:え。
成: 眉月 大庵にとっての
”発火装置”を探すことだよ。
王: (或真敷 バランばりに、
フツーにドアから出ていったな)
み: うううう‥‥
どうしろっていうのかな。パパ。
”フツーの手段じゃダメ”なんて。
王: とにかく‥‥成歩堂さんの忠告を
聞いておくしかないな。
み: ううん。そうですね‥‥
王: (がんばってみるさ‥‥
最後まで、な)


同日 午後1時50分
地方裁判所 第3法廷

裁: ‥‥それでは、審理を再開します。
牙琉検事。眉月 大庵刑事は。
牙: 証人控え室にいる。
いつでも呼ぶことができるよ。
裁: わかりました。
牙: ぼくとしては‥‥
今も、信じていない。
アイツは‥‥ダイアンは、
最初に組んだ刑事だ。
あいつが捜査三課に配属されてから、
組むことはなくなったが‥‥
あいつのギターは、ぼくの想像力を
いつもシゲキしてくれる。
王: でも‥‥オレたちのシゴトに、
そんなことは関係ない。
‥‥そうですね。
牙: わかってるよ。
‥‥おデコくん。
裁: それでは!
最後の証人を入廷させてください!
‥‥眉月 大庵刑事!

牙: ‥‥名前と職業をたのむよ。
大: 眉月 大庵。捜査三課の刑事だ。
”三課”じゃあ、分かりにくいか。
いわゆる”国際課”だな。
それとも‥‥ガリューウエーブの
ギタリスト、のほうがイイかい?
裁: あなたが、なぜ、ここにいるか‥‥
状況はわかっていますね?
大: もちろん、
わかっていますよ、裁判長さん。
‥‥なあ、どういうことだい、相棒。
牙: ‥‥‥‥‥‥
大: オレが証言台に立つことはない‥‥
そう保証してくれてたじゃねえかよ。
牙: 状況が変わったんだ、ダイアン。
今は‥‥
ぼくのことを、
”相棒”と呼ばないでくれ。
大: ふうん‥‥そうかい。
さびしいコト、言ってくれるぜ。
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥
王: (眉月刑事‥‥牙琉検事に
”ゆさぶり”をかけているな)
‥‥裁判長。
審理を始めてください。
裁: わかりました。それでは、
証言していただきましょう。
まずは‥‥そう。先ほどの証人、
ラミロアさんの証言に対して‥‥
あなたの言いぶんを
聞かせてもらえますかな。
大: ああ。
言いたいコトはヤマほどあるぜ。
歌姫さんの証言は、
デタラメもいいトコだ。
アンタのデッチ上げもなァ‥‥
弁護士クンよ。
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥
(”フツーの手段では
追いつめられない”か‥‥
最後の闘いが始まるんだ‥‥!)

(ラミロアの証言について)
大: 『歌姫さんの言ってるコトは、ウソだ。
何も裏づけがねえだろ?』(証言1)
『そもそも彼女は、オレの声を
聞いたことはなかったんだぜ。』(証言2)
『銃声でおどろいて、歌詞を忘れた?
そんなの、信じられるか!』(証言3)
『宝月刑事が銃声を聞いたのは、
第3部だったハズだろう?』(証言4)
『事件はオレがステージにいるときに
起こったんだ!』(証言5)
裁: ふむう‥‥ラミロアさんの証言を
”ウソ”とキメつけましたか‥‥
大: あのオトコの子を守るため、
ってのはリカイできるけどな。
目が見えないおかげで、アイマイな
証言でもみんな信じてくれちまうし。
牙: ‥‥それは言いすぎだ、ダイアン。
大: とにかく。
オレは信頼のおける証人‥‥
刑事の証言をちゃんと聞いてくれ、
と言いたいね。
裁: 宝月刑事‥‥ですか。
わかりました。
それでは、弁護人。
尋問をおねがいしましょうか。
王: (思ったとおり‥‥
こっちの弱点をついてきたな。
たしかに今は、ラミロアさんの
証言にたよっている状態だ。
”事件がいつ起こったか”‥‥?
別の方法で、立証してやる!)

(「証言4」に「燃えカス」をつきつける)
王: きのうの法廷が終わってから、
現場であるものが発見されました。
裁: あるもの‥‥?
王: 1つは、この小さなキカイ‥‥
牙: ‥‥そいつは‥‥リモコン式の、
発火装置‥‥
王: そうです。そして‥‥
もうひとつ。
裁: なんですかな?
何かが燃えたアトのようですが‥‥
牙: 火薬の反応が見つかっている。
バクチクのようなものではないか、
と報告が来ているね。
王: え‥‥
(牙琉検事‥‥知ってたのか)
牙: なんだい? 宝月刑事は
キミの部下じゃないんだよ。
今朝‥‥開廷の前に、
ぼくのところにも報告が届いた。
じつは‥‥そのときなんだよ。
裁: 何がですかな?
牙: ‥‥念のために、ダイアン‥‥
キミを証人として、今日の法廷に
登録しておこう、と思ったのは。
大: ‥‥‥‥‥‥‥‥
王: つまり‥‥こういうことです。
コンサートの第3部に楽屋でなった
”銃声のような音”は‥‥
リモートコントロールで破裂した、
バクチクだった可能性がある!

(ざわめきが起こる)
大: はっはァ!
いろんなコトを考えるねェ、
アンタも。
でも‥‥いいかい?
いくらなんでも、
それはツゴウがよすぎないか?
王: なにが、ですか?
大: その”バクチク”とやらが
破裂した瞬間‥‥
ちょうど、おあつらえ向きに
証人がいた、なんてさ。
王:‥‥!
み: そうですよ!
ダイアンさん、そのときは
ステージにいたんですよ!
楽屋の前にダレかいるかなんて‥‥
わからないじゃないですか!
大: ダレもいないときにバクチクを
鳴らしても、イミがない‥‥
わざわざそんなシカケを用意する
なんて、ムジュンしてると思うぜ!
王: ぐ‥‥ッ!
(たしかに‥‥そうか)
牙: ‥‥ダイアンはこう見えて、
優秀な刑事だよ。
スキを見せたら、こうなる。
大: ”こう見えて”はよけいだけどな。
相棒。
牙: ‥‥ああ。そういえば。
あの日は、ぼくもあのろうかを
何度かとおったのだが‥‥
第3部の始まる前に、
妙なモノを見たな。
王: 妙なもの‥‥?
牙: ぼくたちメンバーとスタッフが
つけていた、ヘッドセットだよ。
王: ‥‥!
(たしかに‥‥
現場の楽屋の前で、
コイツを拾ったっけ‥‥)
牙: そのヘッドセットの電源が、
もしONになっていたら‥‥?
王: ステージの上にいても、
ろうかの状況を‥‥
ヘッドセットを通じて、
聞くことができる‥‥!

(ざわめきが起こる)
大: ふーん‥‥
アンタはオレの味方だと
思っていたんだけどねえ‥‥
牙: 言っておくよ、ダイアン。
この法廷には、敵も味方もない。
大: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
牙: 敵も味方もないからこそ、
おデコくん。
キミに、聞いておかないとね。
王: え! オレですか?
牙: 現場から見つかった、
この発火装置と、火薬のアト‥‥
たしかに、銃声が”偽装”だった
可能性はあるね。
ろうかのヘッドセットと合わせれば、
アリバイを作ることはできただろう。
しかし‥‥何度も言うけど、
ケッキョク。
”偽装”だったという証拠は、ない。
王:う‥‥
牙: キミは、第3部の銃声が
”偽装”である可能性を示した。
ならば‥‥もうひとつ。
立証しなければならないことがある。
王: それは‥‥?
大: カンタンなコトさ。
王:‥‥!
大: いまいましい事件が、第2部‥‥
あのピアノ弾きがステージに
いたときに起こった‥‥
そいつを立証することだ。
そうだろ? ガリュウ。
牙: そのとおりだ。
それが立証できないかぎり‥‥
この尋問をつづけるイミはない。
裁: ふむう‥‥
いかがですかな? 弁護人。
犯行が第2部に起こった‥‥
立証できるのですかな?
王: えー‥‥それはモチロン‥‥
み: できなきゃ、終わっちゃう
みたいですよ。尋問。
王: できるに‥‥ちがいありません!
牙: ‥‥他人ゴトみたいな言い方だね。
裁: それでは、
尋問をつづけましょうか。
証人。証言に戻ってください。
王: (さすがに、ムズカシイな‥‥
もっと、
決定的な証拠を探さないと‥‥)
大: フン‥‥いいかい? アンタに、
ハッキリ挑戦しようじゃねえか。
『事件が、第2部に起こった‥‥?
証拠があるなら見せてみろよ。』(証言6)

(「証言6」に「ミキサー」をつきつける)
王: ‥‥どうやら‥‥証拠はハッキリ、
残っていたみたいですね。
ラミロアさんの”歌”に。
大: ”歌”‥‥だと?
裁: あの‥‥このキカイは、
いったいなんなのですか?
蓄音機の一種、みたいですが。
王: (おいおい。
さっきも使っただろ‥‥)
このキカイには‥‥あの日の演奏が、
パートごとに録音されているのです。
裁: ぱーと‥‥
牙: このレバーを操作することで、
ギターやピアノなど‥‥
楽器ごとの音量を調整できる。
モチロン、ラミロアさんの歌も。
裁: ほほお。‥‥しかし。
それが、どのような証拠に?
王: ラミロアさんの証言によると‥‥
銃声が起こった瞬間、
歌が途切れたということでした。
牙: そうか‥‥
そのときの録音を調べれば‥‥
銃声が、
録音されているかもしれない!
王: ‥‥そのとおりです。
大: ば。バカを言うなよ。
楽屋で起こった銃声が、どうして
ステージに聞こえるんだよ!
牙: 忘れたのか? ダイアン。
ぼくたちは全員、
コイツをつけていただろう。
大:あ‥‥
牙: ぼくたちは演奏に夢中だったが、
このヘッドセットには‥‥
ラミロアさんのマイクに入った音が、
そのまま届いていたハズだ。
裁: とにかく!
その録音を分析してみるのです。
‥‥今、すぐにッ!
王: (ラミロアさんは、銃声を聞いて、
歌が途切れた。
そのとき‥‥銃声がしたはずだ。
探してみよう‥‥!)

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王: 裁判長! このパート!
よく聞いてみてください!
ラミロアさんの、
ボーカルのパートです!


こころのカギは 今、 盗まれた
...Pleasure...

裁: ‥‥こ。これは‥‥たしかに。
小さく聞こえます!
銃声のような音が‥‥ッ!
大: な。なんだと! バカな‥‥ッ!
牙: どうやら‥‥
立証されてしまったようだよ。
第2部に、銃声が起こったこと‥‥
つまり。
ラミロアさんの証言は、
ホンモノだった、とね。
大: ‥‥くそがッ!

(ざわめきが起こる)


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