第3話『逆転のセレナード』第2回法廷(その4)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
マキ・トバーユ…黄土
ラミロア…藤
ローメイン・レタス…青
眉月 大庵…紫
或真敷 バラン…薄橙
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(天井裏の”事情”)
ラ: 『たしかに‥‥あれを聞いたとき、
わたくしは天井の上におりました。』(証言1)
『そこに”小窓”があることを、
前もって聞いておりましたので。』(証言2)
『ステージの途中でしたので、事件を
お知らせするヒマがなかったのです。』(証言3)
『なぜ、そんなところにいたのか‥‥
それは、申し上げられません。』(証言4)
『もうしわけありませんが、そういう
”契約”をしておりますので。』(証言5)
裁: け‥‥”契約”‥‥ですか‥‥?
ラ: この世界の人間は、さまざまな
しがらみにしばられるものなのです。
裁: しかも‥‥ステージの
”途中”だった、ということは‥‥
やはり。事件が起こったのは、
”第2部”ということになります!
ラ: ‥‥わたくしは、
事件を目撃したわけではありません。
ただ”聞いた”コトを
お話ししているだけです。
裁: しかし! 正確な事情を
話していただかないと‥‥
牙: そのための<<尋問>>だよ。
‥‥そうだろう? おデコくん。
王:‥‥!
牙: この法廷で、
ぼくたちは真実を探り出す。
どんな”契約”も、
それをジャマすることはできないさ。
裁: ふむう‥‥わかりました。
それでは、弁護人。
尋問をおねがいします。
み: ど。どうですか、オドロキさん!
王: ポイントは、ひとつだよ。
(‥‥なぜ、ステージの真っ最中に、
天井裏なんかにいたのか‥‥?)

(「証言4」に「ビデオ」をつきつける)
王: ラミロアさん‥‥
コタエはアキラカです。
あの晩、あなたの”ステージ”‥‥
そこで起こったコトを考えれば、ね。
ラ: ”起こったコト”‥‥?
王: そのコタエは‥‥
このビデオに記録されています。


この身をつつみ 今、 放たれた
Uh... uh...
胸を焦がす Fire...
恋人も 燃える
愛の弾丸よ Fire...
いのちまで 奪って
Guitar, Guitar...
ふたりは 空へ

ラ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: ‥‥そう。モンダイは、
このイリュージョンです!
裁:あ‥‥
王: ユメのないハナシでは
ありますが‥‥
まさか、ラミロアさんがホントに
消えるハズはありません。
つまり。どこかで彼女は
姿をかくし、その間に‥‥
ステージの逆側に
移動したことになります。
み: オドロキさんッ!
王: な。なに。みぬきちゃん。
み: タネ明かしは、魔術師にとって
ルール違反ですよ!
王: い。いや、オレ、弁護士だし。
裁: し。しかし‥‥このとおり。
ラミロアさんが消えてから、
会場の反対側に現れるまで‥‥
ものの20秒もありませんぞ!
そんなに早く、移動できるわけが
ありません!
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: ど。どうしたのですか。
牙琉検事‥‥
王: ‥‥彼は、コンサートの主役です。
ラミロアさんが消えた”シカケ”を、
知らないわけがない。
裁:あ‥‥
王: だから‥‥気づいたのでしょう。
自分の”見落とし”にね!

(ざわめきが起こる)
王: いいですか。
会場の断面図を見てください。
この、天井裏のルートは‥‥
ステージから、楽屋エリアを抜けて
会場の裏側に直結しているのです。
裁: あ‥‥ああああ‥‥
王: ‥‥ここで、きのうの証言を
思い出してください。

ラ: 『あれは、ステージから楽屋エリアの
出口へ向かう途中でした。
小さなマドのようなものから‥‥
そう。”見た”のです。』

裁: ステージから‥‥
楽屋エリアの出口へ‥‥
まさに、この、
天井裏のルートではないですか!
王: そうです。そして、
このルートを知っていたのは‥‥
ラミロアさんだけでは
ありませんでした。
牙:え‥‥
王: さきほど休憩室で、
マキさんはこう言っていました。

マ: 『知ってた‥‥
天井のパネル、開ければ‥‥
ステージと、楽屋エリア、
逃げられる‥‥』

牙: な。なんだって‥‥
王: どうやら‥‥牙琉検事。あなたは
知らされていなかったようですね!
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥たしかに。
”消失”のトリックは聞いていた。
‥‥でも。
そんなルートを使うなんてことは、
聞いていなかったね。
あの、魔術師‥‥
そんな、ダイジなコトを!
み: まあ‥‥魔術師は、関係者にも、
最小限のタネしか教えませんからね。
なにせ、タネは”イノチ”だし。
王: (だから‥‥”契約”でしばって、
証言させないようにしたのか)
‥‥いかがですか、ラミロアさん。
ラ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
さすが、ですわね。弁護士さん‥‥
マキが見こんだだけのコトは
あります。
裁: ‥‥! そ。それでは‥‥やはり!
あなたは、弁護人の主張どおり‥‥
このルートで、移動したのですか?
ラ: ‥‥‥‥‥‥そのとおり‥‥です。
裁: ふむう‥‥しかし。
やはり、気になりますな。
王: な。なにがですか?
裁: いや。先ほども言いましたが‥‥
消えたラミロアさんが、
ふたたび現れるまでのあいだは‥‥
20秒ほどしかありません。
こんなハヤワザでは‥‥
ハンニンの声を”聞いている”
時間などないではないですか!
王: た‥‥たしかに‥‥そうですね。
裁: いかがですか、証人!
ラ: それは‥‥その。
わたくしのクチからは‥‥
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥
どうやら、弁護人。
王:はい。
裁: やはり。あなたにお任せした方が
いいようですな。
王: あの。何をですか‥‥?
裁: ラミロアさんの”瞬間移動”‥‥
そのシカケが解明できないかぎり、
あなたの主張は蹴りますので、
そのつもりで。
王: うううう‥‥
(話してくれないラミロアさんが
ワルいと思うんだけど‥‥)
ラ: 先ほども申し上げたとおり‥‥
わたくしのクチから、そのシカケを
暴くことはできないのです。
裁: それでは、もう一度、
証言をおねがいします。
あなたの行った、
”大魔術”について!
弁護人は、よく聞いて見破るように。
ラ: わたくしからも、
おねがいいたしますね。
王: ‥‥はあ。
(なんか、テストを受ける
小学生の気分だぞ‥‥)
み: がんばってくださいね!
オドロキさん!

(大魔術のトリックは)
ラ: 『わたくしは、教えられたルートを
移動しただけです。』(証言1)
『楽屋エリアの出口に非常口があり、
そこにスタッフの方がいて。』(証言2)
『そのまま、ステージの反対側に
入ることができるのです。』(証言3)
『段取りでは、そこまで2分で
移動することになっていました。』(証言4)
『その途中で、
あの”声”を聞いたのです。』(証言5)
裁: ふむう‥‥2分‥‥ですか。
ナゾは深まるばかり、ですな。
王: (裁判長‥‥まるで考える気は
なさそうだな)
裁: 私の興味も、深まるばかりです!
弁護人。
よろしくおねがいしますぞ。
王: ‥‥わかりました。
(ラミロアさんの証言と
このビデオの映像から‥‥
ムジュンを暴けばいいんだな)
み: みぬき。もうわかっちゃいました!
魔術師だし。
王: だったら、教えてくれよ。
み: ダメですよー。
タネ明かし、できませんから。
魔術師としては。
王: (やれやれ‥‥
みんなイジワルだな‥‥)

(「証言4」をゆさぶる)
王: 2分‥‥ですか。
ラ: ええ。
走れば1分ほどでつきますわね。
王: 走る‥‥って。天井裏じゃあ、
セマくて暗いんじゃあ‥‥?
ラ: ふふ‥‥お忘れかしら?
わたくしにとっては、
明るさは関係ないのですよ。
王: あ‥‥す。すみません。
裁: それでは‥‥事件当夜も、
やはり2分で‥‥?
ラ: ええ‥‥でも、少し
あぶなかったですわね。
途中で足を
止めましたものですから‥‥
王: (ラミロアさんが映像に写ってない
時間は、ものの20秒だ‥‥
この”時間差”を
解くカギは‥‥)
み: やっぱり。そのビデオの中に
あると思いますよ。魔術師としては。
裁: いかがですかな? 弁護人。
ラミロアさんの証言と、
このビデオの映像‥‥
そのムジュンを解く証拠品でも、
ありますかな?
王: そ。それは‥‥
(証言とビデオのムジュン‥‥
それを解く証拠品があるか?)

(「証拠を提示する」を選択)
王: 証言とビデオのムジュンを解く
証拠品‥‥それは、これです!

(「ブローチ」を選択)
王: ‥‥ラミロアさん。
このブローチ‥‥おぼえてますね?
裁: それは‥‥たしか。きのうも
モンダイになりましたな。
王: 現場‥‥あの楽屋で拾ったものです。
牙: それが、どうかしたかい?
そいつを”いつ”落としたか‥‥
それはもう、
解決したはずだと思っていたけどね。
王: オレもそう思っていました。
だけど‥‥そうじゃなかった。
牙:‥‥‥!
王: このビデオ‥‥もう一度、
よく見てください。
この時点では‥‥ムネに、
<<ブローチ>>がついていますね。
裁: ふむう‥‥たしかに。
王: それでは、少し先を見てみましょう。
裁: あ‥‥ぶ。ブローチが‥‥
ブローチが、ありません!
牙: な。なんだって‥‥!
王: そう‥‥たった20秒のあいだに、
ブローチが消えてしまった‥‥
ステージから、楽屋エリアまで‥‥
走っても1分かかる。
それならば‥‥ケツロンは、
ただ1つです。
この、消える前のラミロアさんと、
ふたたび現れたラミロアさんは‥‥
”ベツジン”だったのです!
裁: え‥‥
えええええええええええッ!
王: ブローチは、
現場の床から発見されました。
どこに落ちていたか‥‥?
‥‥そう。ちょうど
通気口の下の辺りに落ちていました。
ラミロアさん。あなたが
ブローチを落としたのは‥‥
ステージから楽屋エリアへ
移動する途中‥‥
そう。事件に”出くわした”‥‥
あのときだったのではないですか?
ラ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
そう、だったのかもしれません。

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛にッ! が‥‥牙琉検事!
牙: ‥‥ああ。
そんなカオしなくてもいいさ。
そのとおり。ぼくは知っていた。
裁: な。なんですって‥‥
牙: かくしていたわけじゃないよ。
‥‥思いもしなかったんだ。
まさか‥‥あの入れ替わりのときに
事件が起きていた、なんてね‥‥
王: じゃあ、やっぱり‥‥
牙: そうだね。
ステージがせり上がる直前に‥‥
ラミロアさんは入れ替わっていた。
裁: ちなみに‥‥この。
ニセラミロアさんは、ダレが‥‥?
牙: このトリックを考えた本人だよ。
”或真敷 バラン”だったかな。
王: (バランさん‥‥か‥‥)
でも‥‥
ちょっと気になるんですけど。
ラ: なんでしょうか‥‥
王: ‥‥つまり、このとき。
ラミロアさんは”いなかった”
ワケですよね?
ラ: そうですわね。
王: でも‥‥このニセラミロアさん‥‥
歌ってますよね。
キモチよさそうに。
裁: あ。たしかに‥‥
み: オドロキさん。そんなの、
考えるまでもありませんよ。
あらかじめ録音した声を流してたに
決まってるじゃないですか!
牙: ふっふっふっ‥‥
ナメられたもんだね。
ぼくのガリューウエーブも。
み: あれ。ち。ちがうんですか?
牙: ぼくたちは、”ライブ”‥‥
ナマ演奏にこだわるバンドだ。
‥‥ラミロアさん。
教えてやってもらえますか?
ラ: わかりましたわ‥‥
裁: それでは、証人。
証言を追加していただきましょう。
ラ: 『わたくし‥‥移動中もキチンと
歌っておりましたのよ。』(証言6)

(「証言6」をゆさぶる)
王: な。なんですって‥‥
”歌っていた”‥‥?
ラ: ええ。
ミスタ・ガリュウが、録音はイヤだ、
とおっしゃったので‥‥
これを使って。
王: じゃあ‥‥ラミロアさん。
‥‥まさか。
天井裏を伝って、楽屋エリアを
移動しながら歌っていたんですか!
ラ: わたくしは常に闇の中にいます。
どこで歌おうと、同じことですわね。

(ざわめきが起こる)
裁: し。しかし‥‥歌いながら
歩いていたとなると‥‥
み: そうですよ! ハンニンと、
被害者にもラミロアさんの声が‥‥
聞こえたはずじゃないですか!
王: あ‥‥た。たしかに‥‥
牙: ‥‥そうだろうか。
王: いやいや。天井裏で歌ってるヒトが
いたら、ダレだって‥‥
牙: 現場の状況を思い出してみようよ。
王: 現場の状況‥‥?
み: あ‥‥思い出した!
ホラ‥‥あのスピーカーですよ!
王: すぴーかー‥‥

王: 『そういえば‥‥事件が起こったとき、
うるさく鳴っていたなあ‥‥』
茜: 『こういう楽屋はね。ステージの音を
モニターしているものなの。』
み: 『もにたー?』
茜: 『ステージ上の音を、リアルタイムで
そのまま流しているワケ。
自分の出番とか、
チェックするためじゃないかな。』

牙: ‥‥そう。
あの部屋は、大音量でステージの
演奏がモニターされていたんだ。
‥‥まあ、ぼくの注文なんだけどさ。
王: そうか、だから‥‥
ラミロアさんの歌は‥‥
彼らの耳に、
”そのまま”聞こえていたんだ!
裁: なんという‥‥コトでしょう‥‥
ラ:あの‥‥
王: なんですか? ラミロアさん。
ラ: そういえば‥‥
思い出したことがあるのですが‥‥
裁: なんでしょうかな。
ラ: わたくし、例の大きな音‥‥
銃声ですか?
あれを聞いたとき。思わず‥‥
王: 思わず‥‥?
ラ: 歌が止まってしまったんです。
裁:え‥‥
ラ: おどろいて‥‥
歌詞を忘れてしまって。
王: (歌が‥‥止まった‥‥!)
ラ: ぐうぜん、2番の歌い出しの
タイミングだったので、
それほど不自然では
なかったようですが‥‥
牙: おデコくん! きみにわたした
ミキサーを貸してくれ!
王: みきさー‥‥ですか?
み: アレですよ!
音楽を分析するキカイ!
王: ああ‥‥アレか。忘れてたよ。
よし! 聞いてみよう!


Sugar, Sugar...
腕に 抱かれて
こころのカギは 今、 盗まれた
...Pleasure...
いとしの メロディー

王: たしかに!
声が途切れている!
裁: そうですか? わたしには、
イマイチ分からなかったのですが。
王: 歌詞カードを見てください。
2番のアタマ‥‥
”Pleasure,
Pleasure...”の部分。
もう一度聞いてみましょう!


こころのカギは 今、 盗まれた
...Pleasure...
いとしの メロディー

裁: ‥‥どうやら。
これでハッキリしたようです。
ワレワレは、大きなカンちがいを
していた可能性が出てきました。
王: 事件が起こったのは‥‥
第2部。ラミロアさんの、
バラードタイムだった‥‥
裁: もし、それがジジツならば‥‥
第2部にステージにいた被告人
には、犯行は不可能だった‥‥
王: そして、そのときステージを
下りていた眉月刑事には‥‥
犯行のチャンスが
あったことになる!
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥
王: どうですか! 牙琉検事ッ!
牙: ‥‥おもしろいね。
王:
牙: ここまでミゴトに、事件の見え方が
ひっくり返ったのは、初めてさ。
‥‥しかし。たったひとつ。
モンダイが残っている。
裁: なんですかな?
牙: おデコくんの提示した”仮説”‥‥
そのすべてのコンキョが、
ラミロアさんの証言だけに
たよっていることさ。
裁: なんですって‥‥
牙: カンタンなコトだよ。
こんなコトは言いたくないが‥‥
もし、彼女が被告人をかばうために
ウソをついていたとしたら‥‥?

(王泥喜「異議あり!」)
王: そんな証拠は、どこにも‥‥
牙: わかってる。ただ‥‥真実は
まだわからない、と言いたいのさ。
‥‥‥あのオトコの証言を
聞くまでは、ね。
裁: ”あのオトコ”‥‥まさか。
牙: ‥‥そう。
ここまで来たら、身内といっても、
証言させないわけには行かない。
眉月 大庵刑事にね。
裁: ‥‥この事件の‥‥
重要な参考人として、ですか‥‥
牙: ひらたく言えば‥‥
容疑者として、ね。

(ざわめきが起こる)
王: (‥‥ついに、
引きずりだしてやったぞ‥‥
眉月 大庵!
今日こそ‥‥決着をつける!)
裁: ここで一度、
休憩をとりたいと思います。
牙琉検事。‥‥眉月刑事を
証人として喚問します。
手続きをすませておくように。
牙: ‥‥ワザワザどうも。
裁: それでは。これより、
15分間の休憩に入ります!


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