第3話『逆転のセレナード』第2回法廷(その1)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
マキ・トバーユ…黄土
ラミロア…藤
ローメイン・レタス…青
眉月 大庵…紫
或真敷 バラン…薄橙
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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7月10日 午前9時49分
地方裁判所 被告人第2控え室

み: いよいよ、って感じですね!
王: うん。今日の法廷が、
勝負になるだろうね。
(昨日‥‥)

大: 『面会は中止だ。
‥‥すまないがね。』
王: 『あと、5分で終わりますから。
デンワなら、かけなおせば‥‥』
大: 『ダメだ。‥‥さ。
行くぜ、ピアニストさん。』
み: 『ダイアンさん! 待ってください!』
大: 『‥‥目ざわりなんだよ。』
王: 『え‥‥』
み: 『もう! あと少しで、
ダイジなコトが聞けたのになあ。
ね、オドロキさん。』
王: 『(オレたちに、あれ以上ハナシを
させたくなかったのか‥‥)』

王: (ターゲットは決まっている‥‥
今日こそ、決着をつけてやる!)

‥‥バアン‥‥!
み: きゃあああッ!
王: なな。なんだなんだ。
?: 音はすれども、姿は見えず‥‥
み: こ。この声は‥‥
王: ‥‥或真敷 バランッ!
(フツーにドアから入ってきたぞ)
み: あの。もしかして‥‥今日の証人、
なんですか? バランさん。
バ: はっはっはっはっは。
めっそうもない。
このバランが
証言台に立てば‥‥
大魔術のタネ明かしと、サインを
求められるのは、逃れられない!
‥‥しかし。
それは困りますからな。
私は今日いちにち、姿をくらます
つもりなのですよ、みぬき嬢。
み: 魔術で姿を消しちゃうワケですね!
バ: さよう! 急行に飛び乗って、
となり街までひとっ飛び!
その前に‥‥ひとつだけ。
忠告しておきましょう。
み: え。なんですか?
バ: ‥‥この事件の中心には‥‥
或真敷の大魔術あり。
その”真実”を忘れないことです。
王: だいまじゅつ‥‥?
バ: さよう。
かのイリュージョンですな。
‥‥それでは、みぬき嬢。
なごりは尽きませんが‥‥
このバラン。そろそろ、
キップ売り場に並ばねばならぬゆえ。
いざ、さらばッ!
み: はああ。行っちゃいましたね。
バランさん。
王: なんなんだよ。
”いりゅーじょん”って。
み: ああ‥‥
<<大魔術>>のコトですよ!
みぬきたちの世界では、
そうよぶんです。
大がかりで、ハデなマジックの
コトですね。
人体をちょん切ったり、
ゾウさんをちょん切ったり、
エッフェル塔をちょん切ったり。
なんでもちょん切りますよ。
王: 事件当夜、あの会場で起こった
”イリュージョン”といえば‥‥
み: ラミロアさんの”消失”‥‥
王: そして、
牙琉検事のギターの”焼失”か。
み: 事件の中心‥‥いったい、
どういうコトなんでしょうね!
王: さて‥‥そろそろ時間だ。
行こうか。
係: あ。ちょっと待ってください。
王: な。なんですか。
係: 開廷時間が変わりました。
本日は10時30分からになります。
今しばらく、おくつろぎください。
王: え! 何かあったんですか?
そんなの、初めて聞きましたよ。
係: 裁判長のごツゴウです。何か、
それなりに重要な私用だとか。
王: (やれやれ。ナニゴトだよ‥‥)
係: なんでも‥‥お見舞い、とか。
王: おみまい‥‥?
係: 聞いておられるかも
しれませんが‥‥
司法長官のムスコさんが、今朝から
キトク状態になられまして。
王: 司法長官‥‥
み: あ。そういえば‥‥裁判長さん。
きのうも、いってましたね!
”お見舞いに行く”って!
係: こちらの新聞に、
記事がのっています。
よろしければ、どうぞ。

証拠品<<新聞記事>>のデータを
法廷記録にファイルした。
王: (”チリョーレス症候群”‥‥か。
どこかで聞いたような‥‥)
み: 記事のチェック、
おねがいしますね!
こっちの、テレビのページは
みぬきが見ておきますから!
王: 4コマまんが、なくさないでくれよ。


同日 午前10時30分
地方裁判所 第3法廷

裁: ええと。
‥‥お待たせしてしまいました。
これより。ええと‥‥
なんと読むのでしたっけかな。
牙: マキ・トバーユ‥‥
シンコペーションのいたずらっ子さ。
裁: はい。
その、彼の法廷を開廷します。
王: 弁護側、準備完了しています。
牙: 検察側‥‥オーケイだ。
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: ど。どうかしましたか? 裁判長。
裁: いや、その‥‥
司法長官とは、学生時代からの
つきあいでしてね。
ココロを痛めているしだいなのです。
み: ”チリョーレス症候群”でしたっけ。
記事に書いてありましたよね。
『フジのヤマイ』って。
牙: そのキモチ‥‥
わかるよ、おジイさん。
でも‥‥今は、
悲しんでいるときじゃない。
やるべきコトをやらないとね。
裁: ‥‥そうですな。
きのうの審理は、トンでもない
場面で中断されましたからな‥‥

大: 『国際警察に、
さっきのナンバーを照会したよ。
<<IPXX314206>>‥‥
このナンバーで登録されていた
捜査官の名前は‥‥
ローメイン・レタスだ。』
裁: 『‥‥ごくろうさまでした、眉月刑事。
たいへん、参考になりました。』
大: 『いやいや。
かまいませんよ、裁判長さん。
‥‥それじゃ、オレはこれで‥‥』

(待った!)
ラ: 『待ってください‥‥!
今の、その声‥‥
‥‥‥‥‥‥彼、です。
まちがいありません。』
裁: 『”彼”‥‥なにが、ですかな‥‥?』
ラ: 『2発の銃声を聞いたとき‥‥
レタスさんと話していた声‥‥
そう。今の方です!
ミスター・ダイアン!』
大: 『‥‥ウソ‥‥だろ‥‥』

牙: たしかに‥‥あの場面は
センセーショナルだった。
さすが、ぼくたちのステージの
ゲストスター、といったところだね。
裁: 検察側には、
さらなる捜査を要請しておきました。
‥‥その結果をうかがいましょうか。
牙: 眉月 大庵は‥‥ぼくのバンド、
ガリューウエーブのメンバーであり、
‥‥さらに、刑事だ。
この告発は、あまりに重い。
だけど。捜査の結果‥‥
検察側の主張を変える必要はない。
王: ‥‥その理由は‥‥?
牙: わかるだろう? おデコくん。
彼には‥‥マチガイのない
”アリバイ”があるから、さ。
裁: アリバイ‥‥
牙: ジジツ関係を、
もう一度‥‥整理してみよう。
事件当夜‥‥コンサートは、
3部構成で行われた。
第1部は、ぼくたち
ガリューウエーブのステージ。
そして、第2部は、
ゲストステージ‥‥
ステージにいたのは、ぼくと、
ラミロアさんと、マキさん‥‥
そして、ゲストのドラムと
ベースの5人だった。
楽屋で事件が起こったのは、
そのあと‥‥第3部だった。
ラミロアさんと被告人、
マキ・トバーユはステージを下り、
ふたたびガリューウエーブの
ステージが始まった。そのとき。
現場に銃声が鳴り響き、
事件が起こった。
その”銃声”は、
宝月 茜刑事が聞いている。
み: オドロキさんも
聞いているんですよね?
王: うん‥‥たしかにね。
牙: そして、その”犯行の瞬間”を、
ラミロアさんは目撃した‥‥
いや、シツレイ。”聞いた”と
証言しているわけだね。
現場で、レタス氏と眉月刑事が
”話している”ところを。
裁: し。しかし!
そのとき、眉月刑事は‥‥
牙: そのとおり。ステージの上で、
グループの中にいた‥‥
つまり‥‥眉月 大庵には‥‥
カンペキなアリバイがあるのさ!
裁: ふむう‥‥
いかがですか? 弁護人。
王: (たしかに‥‥
オレが銃声を聞いたとき、
眉月 大庵はステージにいた。
しかし‥‥)
裁: ‥‥どうやら。弁護人にも、
反論の余地はないようです。
眉月 大庵刑事のアリバイは、
立証されたと言っていいでしょう。
牙: つまり。ラミロアさんの証言は、
ザンネンながら‥‥
なにかのマチガイ、
というコトになるね。
裁: ‥‥わかりました。
ラミロアさんの発言がなければ‥‥
判決をさまたげる証拠は、
他にはありません。
‥‥どうやら。
判決を下すことができそうです。
み: マズいですよ、オドロキさん!
このままじゃ、裁判が‥‥
王: (くそ! でも‥‥
検察の主張をくずせるか‥‥?
ラミロアさんが、マキさんを
かばうためウソをついたなら、
その証言をアテにするのは、
逆効果だけど‥‥
そうだ‥‥
昨日‥‥留置所で‥‥)

マ: 『■■■■‥‥‥‥』
ラ: 『『事件のこと‥‥』?
事件が、どうしたの?』
王: 『(!‥‥
レタスさんの事件のことか!)』
マ: 『■■■■■、■■■‥‥』
?: 『面会は、そこまでだ。』
み: 『ダイアン‥‥さん‥‥』

王: (あのとき‥‥たしかに‥‥
マキさんは何か言おうとした!
こうなったら‥‥マキさんに
直接尋問するしかない!)
裁: それでは‥‥さっさと判決を‥‥

(王泥喜「異議あり!」)
王:裁判長!
裁: な、何ですかな。弁護人。
王: 判決を下す前に、話を聞いて
いただきたい証人がいます!
牙: いまさら、
ダレの話を聞けというんだい?
王: その証人は、今まで法廷で証言する
機会を与えられませんでした‥‥
なぜならば‥‥
ニホンゴが話せないからです。
牙: まさか‥‥
キミのいう証人っていうのは‥‥
王: 弁護側は‥‥
被告人‥‥マキ・トバーユさんの
尋問を要求しますッ!
裁: な、なんですとッ!
しかし、彼はニホンゴが‥‥
王: コトバのカベは、通訳を立てれば、
モンダイになりません!
牙: 通訳だって?
‥‥ぼくはゴメンだぜ。
ボルジニア語は、
カタコトしか話せないんでね。
王: 弁護側は‥‥ラミロアさんに通訳を
お願いしたいと思っています。
裁: ら、ラミロアさんですか!
しかし、彼女は被告人を
かばっている可能性が‥‥
王: 通訳だけならば、
ウソをつくイミはありません!
裁: し、しかし‥‥
牙: クックック‥‥‥‥
面白いね。おデコくん。
裁判長。ぼくからもお願いするよ。
どうか、許可してあげて欲しい。
ラミロアさんがウソをついたら、
ぼくが指摘するよ。
それぐらいなら、ぼくでも分かるさ。
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥わかりました。
そこまで言うなら、許可しましょう。
王: (よし! これで、とりあえずは、
一歩前進したぞ!)
裁: 係官!
被告人とラミロアさんを証言台へ!

牙: これは‥‥
なかなか新鮮なカンジだね。
とりあえず。名前を聞いておこうか。
ラミロアさん‥‥お願いしますよ。
ラ: はい‥‥わかりましたわ‥‥
『マキ・トバーユ‥‥この事件の
被告人です』と申しております。
裁: ふむう。
なんともフシギなカンジですな。
まあ。今のは、通訳するまでも
なかった気がしますが。
王: (なんとか、
うまく行きそうだな‥‥)
裁: それでは、弁護人。
さっそく、お願いします。
王: え。
な、何でしょう?
裁: ”何でしょう”はないでしょう!
あなたが、被告人を呼んだのですよ。
何を証言させるつもりなのですか?
王: 何を証言させるか‥‥
(そこまで‥‥
考えてなかったな‥‥)
み: オドロキさん!
昨日、マキさんが言いかけたこと、
聞くんじゃないんですか!
王: でも‥‥彼が何を言いかけたのか
なんて、分からないよ‥‥
ラ: ‥‥あの。皆様‥‥
ちょっとよろしいでしょうか。
裁: なんですかな?
ラ: さきほどから、マキが‥‥
『証言したいことがある‥‥』と。
王: (マキさんが証言したいこと‥‥
一体‥‥?)
裁: ラミロアさん。それは、どのような
証言なのですか?
ラ: ‥‥少々、お待ちください。
王: (この間‥‥じれったいよな‥‥)
ラ:え‥‥!
王: (ううう‥‥何話してるんだ?)
裁: ど、どうですかな‥‥
ラ: ‥‥‥‥‥‥‥‥
この子が申しますには‥‥
『ぼくの無実を示す証拠がある』と。
裁: な‥‥なんですとおおおおおおお!

(ざわめきが起こる)
牙: ‥‥これは、おどろいたね。
み: やったあ! 大成功ですよ!
オドロキさん!
王: (こ、こんな都合良い話‥‥
信じられない‥‥!)
裁: これは、重要な証言ですぞ!
ラミロアさん! いや、マキさん!
さっそく証言してください!
ラ: 『かしこまりました』と
申しております。

(ムジツの証拠)
ラ: 『レタスさんのことは、
ショックだった‥‥と。』(証言1)
『でも、わたくしの曲の歌詞の通りに、
事件が起こったならば‥‥』(証言2)
『自分‥‥マキには、
事件を起こせない、と言っています。』(証言3)
『ニホンゴの歌詞ですから‥‥
歌詞の意味までは分からない‥‥と。』(証言4)
裁: ふむう。なるほど‥‥
ニホンゴの歌詞の意味を知らない
‥‥と。
たしかにそれでは、今回の事件を
起こすことはできませんな‥‥
牙: どんな証言が出てくるのかと思ったら‥‥
そんなの、ラミロアさんに説明して
もらえばすむことだと思うけどね。
王: ラミロアさん!
歌詞の内容を、マキさんに
説明したことがありますか?
ラ: 曲のイメージを伝えることは
しましたが、そこまで詳しくは‥‥
マキから質問されたことも
ありませんでしたので‥‥
牙: おデコくん。忘れたのかい。
何度も、指摘しているはずだよ。
ラミロアさんは、被告人を
かばっている可能性がある‥‥と。
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: とにかく‥‥まずは弁護人に
尋問をしていただきましょう。
弁護人、お願いします。
王: はい‥‥
(昨日も、そうだった‥‥
マキさんの証言に、
何かが隠されていること‥‥
この腕輪が、教えてくれている!
真実を見つけ出すんだ‥‥!)

(「ニホンゴの歌詞」で目をみぬく)
王: マキさん‥‥
オレの目は、ごまかせませんよ‥‥
マ: ‥‥‥‥!
王: ラミロアさんが、”ニホンゴ”
という言葉をクチにしたとき‥‥
どうして、あなたは、
”目をそらした”のですか?
通訳の必要はありませんよ!
ラミロアさん!
ラ:‥‥!
王: マキさん‥‥本当は、オレたちの
言葉が分かるのではないですか?
ラ: な、何を!
そんなことあるわけがありません!
■■■■■■■■■■■■■■‥‥
マ: ■■■■■■■■■■■■■■‥‥
王: (ここにきて、まだ芝居を
続けるつもりなのか?)
ラ: 弁護士さん‥‥
マキは、こう言っています。
”ニホンゴ”という単語を
知っていただけです、と。
王:え?
ラ: マキは、この国に来る少し前から、
私が話すニホンゴを聞いていました。
”ニホンゴ”というコトバぐらい
覚えていてもフシギはありませんわ。
王: そ。そんな、ゴーインな!
ラ: あら。
弁護士さんは‥‥
”イングリッシュ”というコトバ、
‥‥ご存知ないのですか?
王: (うう。たしかに‥‥
さすがに、知ってるもんな‥‥)
ラ: 残念ですが‥‥マキがニホンゴを
分かるはずがありませんわ‥‥
王: じゃ、じゃあ!
そもそも‥‥
どうして歌詞の通りに、殺人が
起こったことを知ってるんですか!
ラ: ‥‥‥‥‥‥ホントに
疑り深いカタですわね‥‥
カンタンなことですわ‥‥
わざわざ説明する必要ないほどに。
‥‥新聞で読んだということです。
王: ”新聞”‥‥?
ラ: ボルジニアの新聞ですわね。
今は、日本でも手に入るのですよ。
この事件のことは、向こうでも
報道されているみたいですから‥‥
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥
(やっぱり‥‥思った通りだ!)
ラ: 弁護士さん、どうされました?
目がジューケツして真っ赤ですが。
王: (‥‥マキさんは、
ウソをついている!
マキさんのウソを示す証拠‥‥
つきつけてやるか!)

(「ボルジニアの新聞」を選択)
王: ここに、<<ボルジニアの新聞>>が
あります‥‥
マ:
王: たしかに、
この事件の記事が載っています。
マキさん、どうぞ。
読んでみてください‥‥
マ:‥‥!
王: そう‥‥どこにも、歌詞のことは
載っていないんですよ。
ラ: こ、これは!
どういうことなのですか?
王: マキさん‥‥
あなたに、できるはずがないんです。
<<ボルジニアの新聞>>で、
歌詞について知ることなんかね!
マ: ! ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■■■■■■■■■■■■■■■
裁: まさか! 被告人、あなたは‥‥!
マ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ラ: で、でも‥‥
そんなことがあるはずが‥‥
あ! そうです!
きっと、警察の取調べのときに
聞いたのです! それならば‥‥
牙: 警察の取調べでも、歌詞については、
取り上げていないみたいだね。
ぼくのところにも、
調書があがってきているよ。
王: そう。<<ボルジニアの新聞>>で
報道されていない以上‥‥
あなたが、歌詞のことを知る
チャンスは、この法廷しかなかった。
もちろん、それは。”ニホンゴ”が
分からなければ、不可能なのです!
マ:


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