第5話『華麗なる逆転』第2回法廷(その10)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
綾里 春美…黄緑
御剣 怜侍…茶
狩魔 冥…水
糸鋸 圭介…黄土
ゴドー検事…薄橙
裁判長…緑
裁判官…黄
矢張 政志…紺
天龍斎 エリス…桃
毘忌尼…橙
葉桜院 あやめ…藤
美柳 ちなみ…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(「ゴドー」を選択)
ゴ: ‥‥クッ! ナニを
投げつけたか知らねえが‥‥
わざわざ、見るまでもねえさ。
アンタなんぞに、アイツを超える
弁護なんざ、できるワケがねえ!
そうだろう? まるほどう‥‥

(成歩堂に千尋さんがダブる)
ゴ: ‥‥‥!
(な、なんだ‥‥今のは‥‥
‥‥チヒロ?‥‥
う‥‥ウソだッ!
オマエが‥‥アイツの中に
生きている、なんて‥‥)
成: あなたは‥‥
今も<<傷>>をかくしているのです!

(ふたたび二人がダブる)
成: その、マスクの下に!
犯人が発していた<<赤い光>>は
格闘中、突然消えました。
そして‥‥次の瞬間、
悲鳴が上がった‥‥
‥‥そう。あなたのマスクは、
ふっ飛ばされたのです!
ゴドー検事。‥‥マスクを
はずしていただけますか。
そこに、小刀による<<傷>>を
カクニンできれば‥‥
‥‥それで、この事件は
完全に解決します!
ゴ: ぐおおおおおおおおおおおおおッ!


ゴ: 今‥‥‥
アンタに、アイツの姿が
重なって見えたよ。
成:‥‥‥?
ゴ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
アンタが、気に入らなかった。
‥‥今から、6年前‥‥
アンタは‥‥オレを”眠らせた”
女に協力して、<<毒>>をかくした。
そして‥‥
オレが眠っているあいだに、
彼女を‥‥死なせた。
そのくせ、テメエ自身は
平気なカオで生きながらえて‥‥
あろうことか、彼女の後継者を
キドっていやがる。
そんなアンタを、ユルせねえ。
‥‥そう思っていた。
真: 検事さん‥‥‥
ゴ: だが‥‥そうじゃなかった。
最初から、わかっていたのさ。
‥‥なんのコトはねえ。オレが
本当にユルせなかったのは‥‥
この、オレ自身だったんだ。
裁: あなた‥‥自身‥‥
ゴ: チヒロを守れなかったのは、
他のダレでもねえ。
‥‥このオレだ。
そのジジツから目をそらして‥‥
オレは、逃げ出しちまった。
チヒロの死に、真正面から
向かい合うことから、逃げた!
‥‥冷たい仮面でカオをかくして、
本当の名前まで、ほうり投げて‥‥
弁護士であることすら、
やめちまった。
成: でも‥‥! あなたは、
真宵ちゃんを救ってくれました!
ゴ: ‥‥ああ。
オレも、そのつもりだったさ。
ついさっきまでは、な。
真: ど‥‥どういうことですか?
ゴ: いいか、おじょうちゃん。
もし‥‥オレが純粋に、アンタを
助けようと思っていたのならば‥‥
まっ先に、相談するべき
人物がいたんじゃねえか‥‥?
真: ‥‥それ、って‥‥
なるほどくん‥‥ですか?
ゴ: ‥‥だが、オレはそうしなかった。
あやめさんと、アンタのおかあさん
には、協力を求めたのに‥‥
イチバン重要な男には、
あえて目をつぶった。
わかるかい? ‥‥その理由が。
真: どうして、ですか‥‥?
ゴ: オレは‥‥たぶん、アンタを
救おうとしたんじゃねえのさ。
真: え‥‥‥!
ゴ: ただ‥‥カラッポな、自分の
ココロを救いたかっただけ‥‥
チヒロを守れなかった自分に、
<<言いワケ>>したかったのさ!
だから‥‥アンタを、あんなに
あぶない目にあわせちまった。
‥‥すまなかった。
成: ち‥‥ちがう!
あなたは、真宵ちゃんのために‥‥
命をかけて、戦ってくれたんです!
ゴ: どうだったんだろうな‥‥?
自分でも、よくわからねえんだ。
裁: ど‥‥どういうことですか‥‥?
ゴ: ‥‥あの夜。中庭の闇の中に
アイツの影が見えたとき‥‥
‥‥ココロの片スミで、オレには
わかっていたハズなんだ。
『コイツは<<美柳 ちなみ>>
じゃねえ』‥‥ってな。
真:‥‥‥!
ゴ: 綾里 舞子か‥‥もしかしたら、
あの少女(春美ちゃん)だったかもしれねえ。
だが‥‥オレは、ムチュウで
仕込みヅエをふり上げた!
あの一瞬、オレのココロに‥‥
本当は、何があった‥‥?
綾里 真宵を守ろうとする、
純粋なキモチだったのか?
それとも‥‥
6年前。オレのすべてを
奪った、あのオンナに対する‥‥
決してむくわれることのない
<<復讐>>だったのか‥‥?
今となっては‥‥
もう、わからねえのさ!
だが‥‥今日。
やっと、わかったことがある。
思い上がってたのは‥‥
オレのほうだった、ってな。
オレは‥‥ただ、
マボロシを追っていたんだ。
‥‥アンタに勝つという、
ありもしないマボロシを‥‥
成: ‥‥‥‥‥‥‥
ゴ: 教えてくれたのは、アンタさ。
アンタは、逃げなかった。
彼女の‥‥チヒロの死から。
そして‥‥彼女の<<弁護>>を、
シッカリ受け継いでいた。
‥‥あの、一瞬‥‥。
それが、ハッキリわかったのさ!
成: ゴドー‥‥検事‥‥
ゴ: よかったら‥‥
おぼえておいてくれるかい?
オレの名前は‥‥
神乃木 荘龍、だぜ。
真: か‥‥神乃木さん!
あたし‥‥あたしは、
信じてますから。
あなたは‥‥
あたしを助けてくれたんだ、って!
神: ‥‥‥ああ。ありがとうよ。
成: き‥‥傷口から‥‥血が!
神: ‥‥クッ! 忘れたのかい。
‥‥オレの世界に、
<<赤>>は存在しねえんだぜ。
成:‥‥‥!
神: こいつは、きっと‥‥
オレの<<涙>>なのさ。
裁: ‥‥なみだ‥‥
神: 長い眠りからさめた、
あの日から‥‥
‥‥オレはずっと、このときを
待っていたのかもしれねえ。
真: か‥‥神乃木さん‥‥
神: ‥‥おぼえておくといい、
おじょうちゃん。
オトコが泣くのは‥‥
すべてを終えたときだけ、だぜ。


裁: 今度こそ‥‥
すべてが終わったのですね。
‥‥被告人。
あ:はい。
裁: あなたは、殺人には直接
カンケイしていませんが‥‥
遺体の移動や現場の工作は、
リッパな罪になります。
あ: もちろん、わかっています。
‥‥神乃木さまから、すでに
何度もうかがっておりますから‥‥
すべて、カクゴの上で
協力させていただきました。
裁: ‥‥わかりました。
判決の前に‥‥‥何か
言っておくことはありますか?
あ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
それでは‥‥ひとつだけ。
成歩堂さんに。
成:‥‥‥!
あ: あなたに‥‥おわびしなければ
ならないことがあります。
成: お‥‥おわび‥‥
ぼくに、ですか?
あ: もちろん‥‥
6年前の、あの事件です。
裁: ‥‥思い出しました。
たしか‥‥交際していた恋人に、
あなたが毒殺されたのでしたな?
成: ‥‥セイカクではありませんが、
おおむね、そんな感じです。
じつは‥‥6年たった今でも、
まだ信じられないんです。
彼女が‥‥ぼくに、
あんなことをした、なんて‥‥
あ: ‥‥‥‥‥‥‥‥
ムリもありませんね。
おふたりは‥‥お互いのことを
よく知らなかったのですから。
成: ど‥‥‥どういうことですか?
あ: あなたと、お姉さまは‥‥
たった2回しか
会ったことがないのです。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
え。
に‥‥”2回しか”
会ったことがない‥‥?
あ: お姉さまとあなたが初めて
会ったのは、あの運命の日‥‥
裁判所で、神乃木弁護士さまに
毒を飲ませた、あのときでした。
そして、次におふたりが会ったのは
‥‥それから、半年後のこと。
お姉さまが、あなたを殺害する
ために、カゼ薬を盗みだして‥‥
呑田 菊三さんが亡くなった、
あの日だったのです。
成: い、いやいや!
そんな‥‥そんなハズはない!
‥‥だって、その半年のあいだ、
ぼくたちは、ずっと‥‥
あ: ‥‥‥‥‥‥‥‥
その、半年のあいだ‥‥
あなたが<<美柳 ちなみ>>だと
思っていたのは‥‥
お姉さまではなかったのです。
成: (み、<<美柳 ちなみ>>が‥‥
彼女じゃなかった‥‥?)
あ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
申しわけありませんでした。
リュウ‥‥ちゃん。
成: も‥‥‥もしかして‥‥‥?
あ: ‥‥そのとおり、です。
半年間‥‥あなたを
あざむいておりました。

(ざわめきが起こる)
裁: い‥‥‥いったい、なぜ!
そんな、入れ替わりを!
あ: あの日、あの小ビンが
成歩堂さんの手にわたってから‥‥
お姉さまは、一刻も早く
それを取り戻したかったのです。
でも‥‥警察の取り調べや
監視などもあったようで‥‥
お姉さまは、しばらく
自由に動けませんでした。
成: だから‥‥あなたが?
あ: お姉さまは‥‥最初から、
サイアクの場合を考えていました。
成: さ、”サイアクの場合”‥‥?
あ: どんなキッカケで、あなたが
真相を知ってしまうかもしれない。
‥‥だから、危険な存在である
あなたを、すぐにでも‥‥
成: (殺そうと考えた、ワケか‥‥)
あ: 私‥‥これ以上、お姉さまに
罪を重ねてほしくなかった。
必死におねがいして、
待っていただきました。
成: それで‥‥あなたが
ぼくの前にあらわれた。
彼女のかわりに、あの
ペンダントを取り戻すために‥‥
あ: ‥‥でも、やっぱり‥‥。
私は、ダメだったんです。
<<ペンダントを取り戻す>>‥‥
たったそれだけのことだったのに。
どうしても‥‥それができないまま
半年がすぎてしまいました。
そして、お姉さまは‥‥
ついに、待てなくなったのですね。
あの日のことは‥‥何も私に
相談してくださいませんでした。
‥‥そんなことは、
初めてだったのですが。
成: たしかに‥‥
それは、ちょっと妙ですね。
それまでの犯行計画は、すべて
あなたも聞かされていたのに‥‥
あ: おそらく‥‥お姉さまは、
気づいていたのでしょう。
成: ‥‥?
あの。”何に”‥‥ですか?
あ: 私の気持ちに、です。
もし‥‥あなたの殺害計画を
知ってしまったら‥‥私。
何があっても、それだけは
止めようとしたでしょうから。
たとえ‥‥そのせいで、私や
お姉さまが、死ぬことになっても。
成: あ、あやめさん‥‥
あ: ‥‥半年のあいだ、あなたと
いっしょにいて‥‥
私の気持ちは‥‥
変わっていったのです。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1つだけ、言わせてください。
あ: は、はい‥‥
成: あなたは、やっぱり‥‥
ぼくの思ったとおりのひとでした。
<<美柳 ちなみ>>が
有罪判決を受けてからも‥‥
それだけは、信じていました。
あ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ありがとう‥‥

神: 今まで、いったい何杯の<<闇>>を
あおったか、おぼえていねえ‥‥
しかし‥‥
今日、この1杯こそは‥‥
何よりも、すばらしい。
アンタも、そう思うだろう?
‥‥成歩堂 龍一。

(成歩堂もコーヒーを飲む)
成: ええ。
‥‥そうかもしれません。
裁: この法廷で裁かれていたのは、
あくまで被害者の<<殺害>>です。
これから先、被告人は再び、
他の罪状で審理を受けるでしょう。
あ: ‥‥わかっております。
裁: それでは! 罪状を<<殺人>>に
かぎって、今。判決を下します!


(無罪判決)

裁: ‥‥では、本日はこれにて閉廷!


同日 午後4時51分
地方裁判所 被告人第1控え室

成: (‥‥これで、
すべて終わったわけか‥‥
本当に‥‥本当に、
これでよかったのか‥‥?
真宵ちゃんのために命を
かけてくれた人を、ぼくは‥‥)
千: もちろん‥‥
これでよかったのよ。
成: ち‥‥千尋さん!
千: ‥‥さすが、なるほどくんね。
今日の弁護‥‥
まさに、最高だったわ。
成: で、でも! ‥‥ぼくは
神乃木さんを救えなかった!
千尋さんのことを、あんなに
想ってくれていた人なのに‥‥
千: ‥‥いいえ。それはちがうわ、
なるほどくん。
あなたは、神乃木さんを
救ってくれたの。
‥‥彼を救うことのできる、
ただ1つの方法で。
成: それが‥‥
あの<<判決>>だったんですか?
千: ‥‥‥‥‥‥‥‥
あなたにも‥‥
いつか、わかる日が来るわ。
ただ、これだけは忘れないで。
あなたは今日、弁護士として
最高のシゴトをしたのよ。
もう‥‥私から言うことは、
何もないわ。
成: ち、千尋さん‥‥!
千: あなたは‥‥私にできなかった
ことを、やりとげてくれたの。
お礼を言うわ。
‥‥本当に、ありがとう。
成: 千尋さん‥‥
千: また‥‥いつか、会いましょう。
なるほどくん。
成: (‥‥いろんな事件があった‥‥
そのたびに‥‥ぼくは、
自分自身に問いかけてきた。
本当の<<弁護>>とは
いったい、なんなのか‥‥?
‥‥今日の判決が、ひとつの
<<答え>>だったのだろうか‥‥)
真: ‥‥なるほどくん‥‥
成: ま、真宵ちゃん‥‥
真: やっぱり‥‥お姉ちゃんの
言ったとおりだったよ。
成: 千尋さん‥‥?
真: ‥‥あの夜、修験堂で
お姉ちゃんに相談したとき‥‥
お姉ちゃん、メモに
こう書いてくれたの。
なるほどくんなら、きっと
みんなを助けてくれる‥‥って!
成: で、でも‥‥‥
真: もう! なんで暗いカオ、
してるかなあ。
あたしも、お姉ちゃんも‥‥
きっと、あやめさんも。
こーんなに、なるほどくんに
カンシャしてるんだよ!
成: (真宵ちゃん‥‥
どうして‥‥きみは、
そんなに明るいんだろう‥‥?
ヒドい目にあって‥‥
おかあさんまで、亡くしたのに)
いてててェ!
か‥‥‥狩魔 冥ッ!
冥: ‥‥まだまだアマいわね、
成歩堂 龍一‥‥
御: よくやったな‥‥成歩堂。
真: あれ! みつるぎ検事!
いつ、帰ってきたんですか?
成: (そうか‥‥真宵ちゃんは
知らないんだっけ)
‥‥御剣と狩魔検事はね。
ぼくを助けてくれたんだ。
真: なるほどくんを‥‥?
成: 1日目の、審理‥‥
このふたりがいなければ‥‥
‥‥たぶん、
どうにもならなかったよ。
真: ‥‥ふーん。
で。そのとき、なるほどくんは?
冥: 川に落っこちておぼれた上、
カゼで寝こんだと聞いているわ。
御: 熱にうなされて、あやめさんの
ずきんをかぶってフルえていたな。
真: かー。情けないね、なるほどくん。
まだまだ、修行が足りないよ!
本当に、ありがとう!
みつるぎ検事に‥‥冥さん!
矢: ‥‥‥どうせ‥‥‥
オレの居場所なんて、
どこにもないんだ‥‥
真: あ! ヤッパリさん!
成: なんでおまえが
そんなカオしてるんだよ!
矢: オレ‥‥生まれたときに
もう、気づいてたんだよなァ。
‥‥ヤハリさんちのマサシくんは、
ココロの底から役立たずだ、って。
真: そ、そんなコトないですよ!
ね。なるほどくん!
成: え! ‥‥ぼ、ぼくかよ!
矢: ほ‥‥ホントか! 成歩堂ォォ!
オレ‥‥役に立ったのかな!
成: え? ええと‥‥そうだな。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
矢: やっぱり、オレ‥‥死ぬわ。
成: いやいやいや!
えーと、その‥‥アレだよ!
おまえが描いてくれた、似顔絵!
‥‥あれは、なかなか似てたな。
‥‥な、御剣!
御: え! ‥‥わ、私かッ!
矢: そ、そうなのかオイ!
‥‥御剣よォォ!
御: ま、まあ‥‥あれは、たしかに‥‥
ソックリと言えなくもない。
矢: ほ‥‥ホントか!
ホントかい、メイちゃん!
‥‥ぎゃはアッ!
冥: 私の美しさを、クレヨンごときで
表現できるわけが‥‥
真: ‥‥じろ。
冥: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
まあ、そのドリョクは
認めてやらないでもないわ。
矢: じゃ、じゃあ‥‥メイちゃん!
あのヤクソク、ホンキにするぜ!
<<メイちゃんのムチムチ大冒険>>の
モデルになってくれるって‥‥
ぎゃははアッ!
冥: ‥‥調子に乗るなッ!
矢: いやー、オレ。似顔絵だけは
自信あるんだよなァ。
ハルミちゃんの絵も、
なかなかのデキだったんだぜ!
あれ‥‥?
御: そういえば‥‥あの少女の
姿が見あたらないな。
成: 春美ちゃん‥‥
(どこへ行ったんだろう‥‥
いつもなら、まっ先に真宵ちゃん
のところへ飛んでくるのに‥‥)
真: あ‥‥。あたし、
ちょっと探してくるね!
おーい! はみちゃあん‥‥
御: ‥‥成歩堂。
キミは‥‥フシギに
思っているようだな。
真宵くんが‥‥なぜ、
あんなに元気なのか‥‥?
成: あ‥‥‥ああ。
冥: 正直なトコロ‥‥
私にも、リカイできないわ。
成: (そういえば‥‥
狩魔 冥も‥‥お父さんを
亡くしているんだよな‥‥)
御: 私には‥‥‥
わかるような気がする。
‥‥おそらく、真宵くんは
知っているのだと思う。
今こそ‥‥彼女は、強くなければ
ならないのだ、と。
冥: ど、どういうこと?
”今こそ”‥‥
御: この事件で傷ついたのは、
真宵くんだけではない。
むしろ‥‥もっと、ひどく
ココロを痛めた人物がいる。
その<<人物>>のために‥‥
彼女は、決して泣かないのだろう。
成: (真宵ちゃんよりも
深く傷ついた<<人物>>‥‥)
‥‥御剣‥‥。ぼくにも、
わかるような気がするよ。
いててててェ!
冥: 成歩堂 龍一! 教えなさいッ!
綾里 真宵は‥‥だれのために
強くなれるのか‥‥?

(「綾里 春美」を選択)
冥: ‥‥綾里 春美‥‥
成: 春美ちゃんが、一生懸命
指示書にしたがおうとしたのは‥‥
おかあさん‥‥綾里 キミ子を
信じていたからだ。
<<綾里家のため>>‥‥
そのコトバを、あの子は信じた。
真宵ちゃんのためになる‥‥って、
あんなにうれしそうだった。
‥‥それほど、真宵ちゃんが
大好きだったんだ‥‥。
御: しかし‥‥あの子の行動が
生んだのは、悲劇だった。
綾里 真宵は、母親を失い‥‥
みずからも、危機におちいった。
成: (だからこそ‥‥、真宵ちゃんは
泣かないのだろう。
あの子が‥‥エガオを
取り戻す、その日まで‥‥)
糸: ‥‥おッ、いたいた!
みんな、おそろいッスね!
いやー、今日の裁判は、
いつにも増して
ぎゃあああああッス!
‥‥なな、ナニするッスか
いきなり!
冥: 悪いわね、ヒゲ。
‥‥考えるより先に、
このムチが走っていたわ。
成: ‥‥どうしたんですか?
イトノコ刑事。
糸: どうしたも、こうしたも‥‥
勝訴ッス! お祝いッス!
今夜は、パーッとやるッス!
自分がゴチソウするッス!
今月も、給料がちょっぴり
下がったッスけど、気にしねッス!
一流フランス料理のレストランに、
キッチリ予約を入れといたッス!
ぎゃああああああッス!
冥: ヒゲにしては、よくやったわ。
‥‥ねぎらいのムチよ。
成: あの‥‥イトノコ刑事。
”一流フランス料理のレストラン”
って、もしかして‥‥?
糸: モチロン‥‥<<吐麗美庵>>ッス!
成: (やっぱり‥‥)
糸: さ。さ。みんなで行くッス!
マコクンも待ってるッス!
そこのショボくれてる
アンタも行くッス!
矢: ああ‥‥オレはいいや。
負け犬たちの山小屋で、
ハルミちゃんとイモ食うから。
成: (そういえば‥‥
おそいな、真宵ちゃん。
‥‥春美ちゃんを
探しにいったままだぞ‥‥)
あ‥‥真宵ちゃん‥‥
真: なるほどくん‥‥
どうしよう‥‥
はみちゃん‥‥
どこにもいないの!
成:え‥‥‥
糸: き、きっと‥‥
おウチに帰ったッスよ!
真: ‥‥倉院の里に
電話してみたんだけど‥‥
なんの連絡もない、って。
そんなこと、今までなかったのに!
御: やはり‥‥
深く傷ついているのだろう。
キミに対して‥‥セキニンを
感じているのかもしれない。
真: そ、そんな‥‥
はみちゃんのせいじゃないのに!
‥‥あたし‥‥
どうすればいいの‥‥?
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
イトノコ刑事。
糸: え! ‥‥な、なんスか!
成: みんなを連れて、先に
行っててもらえますか。
糸: し‥‥しかし、アンタは!
成: ぼくと、真宵ちゃんは‥‥
春美ちゃんをむかえに
行ってきます。
真: なるほどくん‥‥!
成: 大丈夫ですよ、イトノコ刑事。
少し遅れるけど‥‥
かならず、行きますから。
‥‥なんと言っても
今夜は、お祝いですからね。
糸: し、しかし‥‥その。アンタは‥
ぎゃあああああああッス!
冥: いいわ、成歩堂 龍一。
‥‥先に行ってる。
御: 待っているぞ‥‥成歩堂。
成: ‥‥ああ。
真: で‥‥でも! はみちゃん、
行くところなんて‥‥
成: 行こう、真宵ちゃん。
ココロ当たりがあるんだ。
‥‥1カ所だけ、ね。


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