第3話『逆転のレシピ』第2回法廷(その5)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
ゴドー検事…薄橙
須々木 マコ…橙
芝九蔵 虎之介…紫
鹿羽 うらみ…灰
本土坊 薫…桃
五十嵐 将兵…紺
小池 けいこ…黄
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(ゴドー検事「異議あり!」)
ゴ: じゃあ、ジイさん!
アンタは、立証できるのか?
1ヶ月前の”弁護士”が
このオトコだった、とッ!
証言台に立って
立証できるって言うのかッ!
裁: ‥‥‥‥ぐふッ!
ふ、ふむう‥‥‥‥
虎: ‥‥ちょっと‥‥
おっちゃん‥‥
か、カンベンしてェな。
成:‥‥‥!
虎: ワイ、そんなんチャウで。
やってへん、やってへん。
なァ‥‥、見まちがいやろ?
そう言ってぇな、おっちゃんやァ。

(成歩堂「異議あり!」)
成: ぷ‥‥プライドはないんですか!
あなたには‥‥

(ゴドー検事「異議あり!」)
ゴ: ‥‥コイツは
プライドの問題じゃねえ。
オレたちは法廷にいて‥‥
イノチのやりとりをしているのさ!
成: ぐ‥‥‥ッ!
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥
そのとおりですな。
成: さ、裁判長‥‥!
裁: ”個人”としての私には、
カクシンがあります。
あの弁護士は、この証人だった!
‥‥しかし‥‥!
私は今、判決を下す立場‥‥
”裁判長”として法廷にいます。
証拠のない”記憶”などに
左右されるわけにはいきません!
成: そんなああああああッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 弁護側に証拠がない以上‥‥
この証人の審理は、ここまでです。
きわめて疑わしいが、
‥‥決定的ではない!
真: そ‥‥そんな‥‥
ここまで来たのに!
ゴ: 岡 高夫に変装しようが、
弁護士に変装しようが‥‥
それが”殺人罪”を
立証するワケじゃねえ。
コーヒーに毒を入れた
証拠なんか、どこにもねえぜ!
成: うおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおッ!

(ざわめきが起こる)
虎: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ケッ!
成:‥‥!
虎: ザンネンだったのォ、成歩堂‥‥
このゼニトラァ!
ナメたらメチャ、しょっぱいでェ!
成: (この裁判‥‥アイツを
追いつめるしかなかった‥‥
”自分からツミを認めさせる”
‥‥もう少しだったのに‥‥)
ゴ: クッ‥‥!
どうやら‥‥もう、
おかわりは必要ないようだぜ。
成: (証拠が‥‥あと1つ。
あと1つだけあれば‥‥
マコちゃんを‥‥
助けられるのに‥‥!)
裁: それでは、この証人の
審理は、これで終了します!

(ざわめきが起こる)


(待った!)


‥‥その裁判‥‥
ちょっと、待ったァァァァッ!
裁: あ、あなたは‥‥
成:
イトノコ刑事ィィィィッ!
糸: お待たせしたッス!
この自分が‥‥自分がッ!
消えそうな刑事生命のすべてを
かけて、今ここにッ!
持ってきたッス!
燃えそうなアイのためにッ!
裁: い‥‥いったい、何を‥‥?
糸: ‥‥‥決まってるッス!
モチロン‥‥‥
決定的な証拠ッスゥゥゥッ!
裁: な‥‥‥‥‥
なんですっとォォォォォッ!


同日 午後2時48分
地方裁判所 被告人第1控え室

糸: おそくなってすまないッス!
検査結果が出たッス!
成: け‥‥”検査結果”‥‥?
糸: 指紋ッスよ!
この、クスリビンの‥‥!
真: あ‥‥ッ! どうでした?
わかりましたか、指紋のヌシ!
糸: もちろんッス!
自分をナメちゃダメッス!
真: で? で? ‥‥やっぱり、
ゼニトラだったんでしょ? ヌシ。
糸: ふっふっふっ‥‥
モチロンッス!
この小ビンには‥‥
ハッキリ残っていたッス!
芝九蔵 虎ノ助の指紋がァッ!
真: よおし! やったぜ、
なるほどくん!
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
真: どーしたの、さっきから!
ダマりこんじゃって!
せっかく、イトノコさんが
がんばってくれたのに‥‥
成: ‥‥ゴメン。
言いにくいんだけど‥‥
今さら、このビンにダレの指紋が
ついていても‥‥イミがないんだ。
糸: え‥‥!
ど、どういうコトッス?
成: 今、ぼくたちが提示しなければ
ならないのは‥‥
”芝九蔵がコーヒーに毒を入れた、
決定的な証拠”‥‥です。
芝九蔵は、被害者と会ったことは
もう、とっくに認めています。
この小ビンにアイツの
指紋がついていても‥‥
今となっては‥‥
まったく、イミがないんです。
糸: ‥‥‥‥!!
‥‥‥‥やっぱり。
こんなときでも‥‥
自分は、役に立たないッスね。
真: イトノコさん‥‥
糸: これが‥‥マコクンを助けられる、
最後のチャンスだったのに‥‥
自分は‥‥なんのイミもないコトに
必死になって‥‥
ただのバカッスね、やっぱり。
?: ‥‥‥あの‥‥‥
イトノコ‥‥センパイ‥‥
真: あ‥‥
ま‥‥マコちゃん!
マ: センパイ‥‥アタシのために、
今まで‥‥?
糸: ‥‥‥‥‥‥‥‥
ダメなセンパイッス。
マコクンが犯人じゃないコトは、
自分には、よくわかっているッス。
‥‥それなのに‥‥
自分は‥‥刑事なのに‥‥
すまねッス! もー、
合わせるカオがないッス!
マ: い、イトノコセンパイ!
成: (行っちまった、か‥‥)
真: なるほどくん!
なんとかならないの?
成: (‥‥なんとかしたいさ、
ぼくだって‥‥!
イトノコ刑事が‥‥必死で
持ってきてくれた、証拠品‥‥
何か‥‥使い道はないのか!
‥‥何か‥‥!)

証拠品<<小ビン>>を
ポケットにしまった。


同日 午後3時4分
地方裁判所 第4法廷

裁: ‥‥弁護人。
成: ‥‥はい。
裁: ”決定的な証拠品が発見された”
ということで休廷しましたが‥‥?
成: は‥‥はい‥‥。
ゴ: さっそく、提示してもらおうぜ。
その、<<証拠品>>とやらを。
‥‥当然‥‥
完全な立証能力を持つ
証拠品‥‥なんだろうなあ。
成: (考えるんだ‥‥成歩堂 龍一!
イトノコ刑事の努力を
ムダにしないためにも‥‥!)
虎: フン! アホらしいワ。
初めて裁判ってモンを見たケド‥‥
やっぱり、大したコトないのォ。
‥‥弁護士なんて連中は!
裁: それが<<決定的>>である以上、
多くを語る必要はないはず。
ただ、一度だけ‥‥
証拠品の提示を認めましょう!
成: (‥‥証拠品での立証は、
まず不可能だ‥‥
この絶体絶命のピンチ‥‥
つけいるスキがあるとすれば
勝利をカクシンした
アイツの、気のゆるみ‥‥か!)
裁: それでは、弁護人。
‥‥提示してください。
証人の犯行を立証する、
最後の証拠品を‥‥!

(「小ビン」を選択)
成: ‥‥これが、弁護側の提出する
最後の証拠品です!
裁: こ、これは。
たしか、被害者の‥‥
成: ‥‥裁判長。
こいつの中身は、法廷中の
だれもが知っています。
モンダイなのは‥‥
この小ビンに、ハッキリと
指紋が残っていることです!
芝九蔵 虎ノ助‥‥証人!
あなたの指紋が!
虎: な‥‥なんやて‥‥?
ゴ: ‥‥‥‥‥‥
裁: し‥‥しかし、成歩堂くん。
今さら、その小ビンの指紋が
どうしたと言うのですか‥‥?
成: (‥‥この法廷にいた人間は、
当然、ビンの中身を知っている。
しかし‥‥たったひとりだけ!
知らないはずの人物がいる‥‥)
虎: そのチンケなビンに、ワイの
指紋がついている、やてェ‥‥?
それがいったい、なんやァッ!
成: (ニセモノの裁判、ニセモノの弁護
‥‥そしてニセモノの手がかり。
すべてがニセモノだった、この
事件のカタをつけるのは‥‥
やはり<<ニセモノの証拠>>こそが
ふさわしい!)
芝九蔵さん。‥‥これは、
致命的な証拠品なのです!
なぜなら!
この小ビンに入っているのは‥‥

(「猛毒の青酸カリ」を選択)
成: これは‥‥青酸カリが
入っていたビンなのです。
裁: せ‥‥せいさんかり‥‥?
成: 岡 高夫さんの殺害に
使用された、猛毒です。
犯行に使われたのは‥‥
この小ビンだった!
虎: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
成: その、猛毒の小ビンから
あなたの指紋が発見された。
いかがですか、証人ッ!
虎: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ハァッハッハッハッハッハッハァ!
‥‥ケッサクやなァ、アンタ‥‥
成: な‥‥なんですか?
虎: いくらニラんでもムダや、ムダァ!
ホンマ、笑わせてくれるワ‥‥
そんな安ぅいハッタリで‥‥
ゼニトラをダマせると思ォたか?
成: は、<<ハッタリ>>ですって‥‥?
虎: ミエミエのシバイ、打つなやァ!
成歩堂 龍一ィィッ!
そいつは、青酸カリが入っていた
ビンやないでェッ!
成: し、しかし! たしかに
このビンには、猛毒が‥‥
虎: このゼニトラァ!
ナメたらメチャ、しょっぱいでェ!
青酸カリの入ったビンは、
茶色い、ガラスビンや!
そォんなセコい小ビン‥‥、
ゼンゼンちがうやないかアァッ!


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

成: (これで‥‥終わった‥‥)
虎: な‥‥なんや?
なんで‥‥みんなダマっとるんや!
そ、その小ビンは‥‥
成: あなたの言っているビン‥‥
これのことですか?
虎: そうや! それやッ!
青酸カリが入っていたのはッ!
その茶色のビンに‥‥
ワイの指紋はついとらんハズや!
み‥‥みんな、この弁護士に
ダマされたら、アカンで!
検事さんよォ! アンタも
なんか言うてくれやッ!
ゴ: ‥‥‥まだ‥‥‥
わからねえのか?
自分が今、何を言ったのか‥‥
虎: ど‥‥‥どういうコト、や‥‥?
成: あなたは、さっき初めて、
この法廷に召喚されてきました。
もし、この殺人事件に
関係がないのならば‥‥
知っているハズがないんですよ。
青酸カリが、どんなビンに
入っていたか、なんて‥‥ね。
虎: あ‥‥ああああ‥‥!
成: あなたは、たった今
認めたんです!
自分自身が犯行に使用した、
猛毒の小ビンを!
虎: う‥‥ううう‥‥ッ!
そんな、アホな!
‥‥この、ゼニトラが‥‥
億単位のカネを動かす、闇金融の
プリンスがァァァ‥‥
こんな、ワカゾウに‥‥ッ!
成: たしかに‥‥最後の証拠品は
ニセモノでした。
しかし! あなたには
ニセモノの証拠こそ、ふさわしい!
‥‥ニセモノの裁判、
ニセモノの弁護士‥‥
そして、あなた自身!
すべてがニセモノだったのです!
虎: ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ウオガァアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアアア
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アアアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアア

裁: な‥‥‥ナニゴトですかッ!
係: どうやら‥‥停電のようです!
ゴ: やってくれたな‥‥まるほどう‥‥

(停電 復旧)
ゴ: ‥‥17杯目のコーヒーは、
アンタにおごっておくぜ。

(成歩堂 コーヒーまみれ)
ゴ: ゆっくり、味わうがいいさ‥‥
‥‥アンタのエモノを
ながめながら、な‥‥。

(ざわめきが起こる)

裁: ‥‥今度こそ‥‥
終わったのですね。
ゴドー検事。
芝九蔵 虎ノ助は?
ゴ: ‥‥緊急逮捕した。
岡 高夫・殺害容疑、だ‥‥。
裁: どうやら、ワレワレは‥‥
恐るべきあやまちを、ただすことが
できたようですね。
弁護士不在のまま、
判決を下してしまった、という‥‥
成: ‥‥そうですね。
ゴ: 証拠は‥‥なかった。
ヤツの、たったヒトコトさえ
なければ‥‥
裁: ‥‥そのとおり。
芝九蔵 虎ノ助は‥‥
ツミを逃れていたかもしれません。
恐ろしい‥‥犯人でしたな。
ゴ: クッ‥‥!
本当に恐ろしかったのは‥‥
そこの弁護人だった‥‥のかも、
しれねえな‥‥
成: (‥‥ゴドー検事‥‥)
裁: 何はともあれ‥‥
決着は今、つきました。
被告人・須々木 マコに、
改めて判決を言いわたします!


(無罪判決)

裁: ‥‥では、本日はこれにて閉廷!


同日 午後4時10分
地方裁判所 被告人第1控え室

マ: な、成歩堂さん!
アタシは‥‥スズキは‥‥‥
もー、なんと言っていいかッ!
ありがとうございましたッ!
真: おめでとう! マコちゃん!
マ: 1ヶ月前の裁判で、成歩堂さんに
こっぴどくハメられたのも‥‥
今じゃ、ちょっぴり
ユルせるキモチになりましたっ!
成: い、いやいや! だから、アレは
芝九蔵だったんだから‥‥
真: あ‥‥! なるほどくん!
‥‥あの、ドアのところ‥‥
成: (‥‥い、イトノコ刑事‥‥!)
糸: あ‥‥じゃッ!
そういうコトで‥‥!
成: ま、待ってくださいよ!
糸: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
マ: イトノコセンパイ‥‥
糸: あー、その。
マコクン、おめでとうッス!
マ: ‥‥ありがとうございます。
糸: ‥‥‥‥‥‥
マ: ‥‥‥‥‥‥
糸: じ、自分は信じていたッス!
マコクンの無実を‥‥
マ: ‥‥‥‥‥‥
そのコトバ、
証言の時に聞きたかったッス。
糸: むぐぎゅ!
あー‥‥と。その‥‥
なんッスねえ‥‥。
‥‥‥‥‥‥
じゃッ!
そういうコトで‥‥!
成: ‥‥ちょっと! イトノコ刑事!
(走っていっちまった‥‥)
真: ま、マコちゃん! いいの‥‥?
イトノコさん、マコちゃんのために
がんばったんだよ!
このクスリビンだって、
イトノコさんが‥‥
マ: そんなの、ケッキョク
役に立たなかったッス!
真:え‥‥‥
マ: 成歩堂さんが、うまく
使ってくれたから‥‥
センパイは、ただひたすら、
カラ回りしてただけッス!
成: (‥‥やれやれ)
イトノコ刑事のコト‥‥
まだ、ユルせないみたいだね。
真: ね。なるほどくん‥‥。
なんとかしてあげられないの?
成: (そうだなあ‥‥)
‥‥ねえ、マコちゃん。
イトノコ刑事は、いつもきみの
コトをシンパイしてたんだよ。
マ: 自分も、そう信じて
いたかったッス。‥‥でも!
1日目の裁判‥‥
センパイの証言で、スズキ‥‥
あやうく、死にかけたッス!
成: ‥‥それは、しかたないよ。
彼は<<刑事>>だからね。
マ: 自分を‥‥スズキのコトを、
ウタガってたに決まってるッス!
成: (イトノコ刑事のキモチを、
彼女に伝えてあげよう。
マコちゃんへの、無罪判決の
<<お祝い>>だな‥‥)

(「イトノコのベントウ」を選択)
成: ‥‥はい、これ。
無罪判決の、お祝い。
マ: こここ、これは‥‥!
成: イトノコ刑事、入魂の
プレゼントだよ。
真: マコちゃん、ちょっと
ヤセたみたいだから、って。
マ: せ‥‥センパイ‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
アタシ‥‥
じつは、ウインナー‥‥
そんなにキライじゃないッス。

‥ぐぎゅるるぐぐ‥‥ぅぅ‥‥う‥
真: そういえば‥‥
おなかへったよねえ。
成: ‥‥今日の裁判、ずいぶん
長くかかったからなあ。
マ: ‥‥あの‥‥。
食べてもいいッスか? これ‥‥。
真:
‥‥どう? マコちゃん!
マ:
‥‥‥おいしいッス‥‥‥

成: ニセモノだらけの物語は、
これでおしまいだ。
マコちゃんをとり巻いていた
いつわりは姿を消して‥‥
‥‥本当の物語が、これから
始まるのかもしれない‥‥


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