第3話『逆転のレシピ』探偵パート1日目(その1)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
ゴドー検事…薄橙
須々木 マコ…橙
芝九蔵 虎之介…紫
鹿羽 うらみ…灰
本土坊 薫…桃
五十嵐 将兵…紺
小池 けいこ…黄
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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裁: ‥‥そこまで!
本法廷は、これ以上の審議の
必要性を認めません。
これは、きわめて明白な事件です。
疑問の余地はない!

そ‥‥そんな‥‥
アタシじゃない!
裁: 毒入りのコーヒーを飲んだとき、
テーブルにいたのは被害者だけ‥‥
‥‥すべての証言・証拠が、
それを物語っています!

ちがう! アタシ‥‥見たのに!
本当に‥‥見たのに‥‥
そうよ! ‥‥もうひとり、いた!
アイツが‥‥アイツが、犯人!
‥‥どうして‥‥
だれも信じてくれないの!
亜: どうやら‥‥
勝負あったようですな。
‥‥成歩堂くん!
裁: それでは‥‥被告人に、
判決を言い渡します。


(有罪判決)

裁: 本日は、これにて閉廷!


1月6日 午前10時3分
成歩堂法律事務所

真: いやあ。正月気分がぬけないねえ
なるほどくん。
成: そうだなあ。
真: そうだ。今年の成歩堂法律事務所の
抱負はズヴァリ! ”正月気分”。
‥‥コレで行こうよ!
成: どうでもいいけど、
食いすぎじゃないか? おもち。
真: いいのいいの。お正月といえば、
おもち食べながらみかん食べて、
おせちをつつきながらテレビ見て、
さらにトランプでババ抜きだから。
?: コラアッ!
成: い、イトノコ刑事‥‥
真: あけまして
おめでとうございます!
糸: う‥‥お、おめでとうございます。
コラ、アンタ!
真: 今年もよろしくおねがいします!
糸: う‥‥よ、よろしく‥‥。
いいッスか! アンタは‥‥
真: あ。イトノコさんイトノコさん。
お年玉ちょうだい!
糸: う‥‥じゃ、じゃあこれ。
ケンソン抜きで少ないッスけど。
真: やったあ!
糸: 今日はハナシがあるッス!
そこに座るッス!
真: はみちゃんのぶんも。
糸: う‥‥は、はい‥‥って、
ワザとやってないッス?
真: バレちゃいました?
初わらい、ってヤツですね!
糸: ハッ! コレを見ても
笑っていられるッスかッ!
成: ‥‥雑誌‥‥ですか?
真: えー、なになに。
<<毒殺事件に有罪判決。
成歩堂弁護士、惨敗>>
成: ざ、ザンパイ‥‥?
ちょ、ちょっと貸して!
”昨日の裁判での弁護士は、
まさにシロウト以下で‥‥”
‥‥なんだコレ?
糸: アンタのコトッス!
真: ”有罪判決のセキニンのすべては、
成歩堂弁護士にある”だって。
糸: どッス! おぼえがないとは
言わせねッス!
成: お、おぼえがありませんよ!
だいたい、いつの雑誌ですか?
それ。
糸: えーと。‥‥去年の12月ッスね。
真: 古雑誌じゃないですか。
成: 去年の12月に、
毒殺事件なんて扱ってませんよ!
真: ‥‥どういうことなのかな?
糸: これがアンタじゃないとすると
‥‥考えられるのは、1つッス。
真: ま。まさか‥‥‥
に‥‥‥
ニセなるほどくん。
成: (‥‥初わらいだな、たしかに)

<<雑誌の記事>>を
法廷記録にファイルした。
糸: さー、どうしてくれるッス!
成: どうする、って言われましても‥‥
真: でも。でも。なるほどくんのせいで
有罪になっちゃったんだよ!
成: ぼ、ぼくのせい‥‥?
真: なるほどくん、最近ちょっと
有名になってきたからねー。
糸: チョーシに乗るから、
こういうコトになるッス!
成: (ううう‥‥
ぼくがワルいのか‥‥)
糸: キチンとオワビに行くッス!
今からッス! すぐにッス!
そして、裁判をやりなおすッス!
真: ”正月気分”で引き受ける、
今年最初の事件になりそうだね!
成: でも‥‥この事件、一度は
有罪判決を受けてるんだぞ。
カンタンにひっくり返せるワケ、
ないじゃないか。
真: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ザンネンだけど、”正月気分”は
来年の抱負にしようか。
糸: じゃッ! 自分はこれから、
裁判所のほうに行くッスから!
なんかあったら、ケーサツの
自分のところへ来るッス!
成: (たしかに”成歩堂 龍一”の名前
も、少しは知られてきたようだ。
依頼人が、その名前を信頼して
ぼくに弁護を頼んだのなら‥‥
ぼくにも、セキニンが
あるのかもしれない。
‥‥それにしても‥‥
ぼくの”ニセモノ”なんて‥‥
いったい、どんなヤツなんだ?)

(「相談する」を聞く)
真: さて。どうしようか、これから。
成: どうする、って。
留置所に行って、話を聞いたり‥‥
真: でもさ。相手は、なるほどくんの
せいで有罪になったヒトだよ。
どんなカオして会えばいいの?
成: いやいや! でも、それは
ニセモノだったワケだろ?
真: やっぱり、カオもソックリなのかな
‥‥なるほどくんのニセモノ。
成: (ブキミな話だな‥‥)
真: あ。もしかして、なるほどくん!
成: 双子の兄弟なら、いないぞ。
真: ‥‥つまんないの。

(「気づいたこと」を聞く)
真: 今日のイトノコさん、
なんかヘンだったよねー。
成: ‥‥なにが?
真: ものスゴく
あたふたしてたじゃない。
初めてムスコさんが生まれた
パパさながらに。
成: そういえば‥‥たしかに。
真: 強い思い入れがあるのかな。
なるほどくんに。
成: ‥‥きもちわるいコト
言うなよ。
真: なるほどくんのせいで
コーフンしてたんじゃなければ‥‥
成: その原因は、
有罪になった依頼人‥‥かな。

(「留置所」に移動する)


同日 某時刻
留置所 面会室

真: うう。ドキドキするねー。
どんなヒトだったんだろ?
なるほどくんにダマされて
有罪にされちゃったの。
成: ひ、ヒト聞きの悪いこと
言わないでほしいな。
?: ああああああッ!
成歩堂さん、ヒドいです!
このアタシを見捨てるなんて!
今も独房でひとり、
すすり泣いていたッス!
成: き、きみは‥‥たしか‥‥
?: もースズキ、
人間不信になりそうッス!
真: あっ! も、もしかして、
あなた‥‥
?: ”もしかして”じゃないッスよ!
マコです。須々木 マコ!
成: 須々木 マコって‥‥ああ!
(須々木 マコ‥‥。以前、
弁護した婦人警官だ‥‥
たしか、コイビトの警察官を
殺害した容疑だった)
ど、どうしてこんなところに!
無罪になったはずじゃあ‥‥
マ: うわあ! よくそんな
コトが言えますね!
あれだけザツな弁護で
ヒトに有罪、カッ食らわしといて!
真: ダメだよなるほどくん。
ちゃんと事情を説明しないと!

マ: そ、そうだったんですか‥‥
成: そ、そうだったのか‥‥
真: ‥‥また、事件に
巻きこまれちゃったんだ‥‥
マ: スズキの人生は、まさに不運と
敗北と大番狂わせの見本市ッス。
成: (この前も、たしか
そんなコト言ってたな‥‥)
マ: ヘーキッス! また1つ、デッカイ
不幸をしょいこんだだけッス。
こうして、ホンモノの成歩堂さんも
来てくれたことだし‥‥
スズキ、ヘコたれません!

(「マコのこと」を聞く)
真: マコちゃん。どうしたの?
そのカッコウ‥‥
去年は、婦人警官の
制服でパリッとキメてたのに。
マ: あの事件のおかげで、スズキ、
ケーサツをクビになっちゃって。
真: そ、そうなんだ‥‥
マ: ゼーンゼン、かまいません!
ケーサツのフンイキはまあ、
じゅうぶん楽しみましたから。
真: それで‥‥今は?
マ: スズキの人生の第2章は、
ウエイトレスさんだったッス!
真: うえいとれす‥‥
マ: フランス料理のレストランです!
ちっちゃいけど、カワイイお店で。
この愛くるしいスマイルと、なやま
しいボディラインのおかげで、
サッソク、採用されたッス!
成: ‥‥で、サッソク事件に
巻きこまれたわけだ。
マ: う。まあ‥‥。

(「事件について」を聞く)
マ: あのオソロシイ事件は、
先月の3日‥‥
吐麗美庵(とれびあん)で
発生したッス!
真: とれびあん‥‥?
マ: このスズキが、エガオとメシを
運んでいたレストランです!
真:はあ‥‥
マ: テーブルで、2人の男が
コーヒーを飲んでいたッス。
そして‥‥
男は、相手のコーヒーに
毒を入れたんです!
被害者は、コーヒーをヒトクチ飲む
なり『ぎゃあ』ってなモンでした!
アタシ‥‥あまりのコトに、キゼツ
して、ぶっ倒れちゃったッス。
真: ‥‥ちょっと待って、マコちゃん。
マ: なんですか?
真: さっきから”被害者””被害者”
って言ってるけど‥‥
知ってるヒトじゃないの?
コロされちゃったヒト。
マ: し、知らないッス!
初めて見るカオだったッス!
真: そうなんだ‥‥
成: (じゃあ、殺害する
動機もないワケだよな‥‥)
犯人はその、もう1人の男だ。
‥‥見たんだよね? 現場を。
マ: そのとおりッス!
ウエイトレスは見ていたッス!
成: ‥‥なのにどうして、
きみが有罪になってるの?
マ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
成歩堂さんに言われたくないッス!
成: ううう‥‥
(ぼくの”ニセモノ”か‥‥
彼女は、そいつを見ている。
‥‥できれば、情報がほしいな)

(「有罪判決」を聞く)
真: ハンニンを目撃したのに‥‥
どうして、有罪に?
マ: それが‥‥
ダレも見ていないッス。
真: 見ていない‥‥?
マ: 毒を入れた、もう1人の男。
‥‥店長も、レストランのお客も、
みーんな、こう証言したッス。
『被害者のテーブルには、
ずっと1人しかいなかった』‥‥
成: な‥‥なんだって!
マ: ダレも‥‥。ダレひとり、スズキの
言うことを信じてくれなくて。
最後の望みをたくした成歩堂さん
にも、キレイにウラ切られて。
あの弁護はないッス! うちの
おばあちゃんのほうがマシッス。
成: い、いや! だからそれは、
ぼくじゃなかったんだから‥‥
マ: ‥‥それに。
スズキのエプロンのポッケから、
トンでもないモノが出てきたッス。
真: な‥‥なに?
マ: 毒薬の小ビン‥‥ッス。
真: ええええええええええッ!
ど、毒が‥‥ポケットから?
マ: ‥‥被害者が倒れたとき、
スズキもキゼツしちゃったッス。
きっと‥‥そのとき、ハンニンが
ポッケに‥‥
成: だれも、見ていないのか‥‥
その”もう1人の男”を。
マ: そッス。『見てない』って。
そんなハズ、ないのに‥‥。

(「もう1人の男」を聞く)
マ: モンダイのあの2人にコーヒーを
運んだの、アタシだったッス。
成: お、そうなんだ。‥‥その人たち、
どんな感じだった?
マ: うーん。最初2人を見たときは、
音楽カンケイの人たちかな、って。
真: おんがく‥‥?
マ: 1人はイヤホンをつけて
ムズカシイ顔をしていたし、
テーブルの上には、見本のCDが
置いてあったッス。
真: イヤホンに‥‥見本のCD、かあ。
どんなCDだったんですか?
マ: サインペンで、ウラ面に
バンドの名前が書いてあったッス。
<<クリ>>なんとか‥‥って。
きっと、デビュー前ッスね。
成: ふうん‥‥バンドねえ。
売りこみ、だったのかな。
真: <<くりきんとん>>かあ‥‥。
成: 勝手に名前つけるなよ。
マ: あのバンド名、なんだっけな。
‥‥”クリ”‥‥
真: で? で? ケッキョク、どんな
ヤツだったんですか! ハンニン。
マ: そ‥‥それが。
よくおぼえてないッス。
被害者と同じく、体格のいい
おニイさんだった、ぐらいしか‥‥

(「雑誌の記事」をつきつける)
成: そうだ! コイツのことを
聞いとかないと!
マ: あ! スズキ惨敗の記事ッスね!
成: この、ぼくのニセモノの
話を聞かせてくれないかな。
マ: リョーカイッス!
あれは、アタシがタイホされた
翌朝のことでした。
いつものスーツでビシッとキメて、
面会室に来てくれたッス。
成: ‥‥ぼくが?
マ: ええ。成歩堂さんが。
成: ううう‥‥
真: ね。ね。あたしのニセモノも
いました?
マ: そういえば、ニセ真宵さんは
いなかったなあ‥‥。
真: ‥‥ちぇ。
ちょっと、ザンネン。
マ: アットー的なハクリョクで
このスズキを、かきクドいたッス。
『かならずアンタを
ムザイにしたるわ!』‥‥って。
成: それはいいけど‥‥そもそも、
ぼくと初対面じゃないのに‥‥
どうして、ニセモノだって
気がつかなかったの?
マ: ‥‥‥‥‥‥‥‥
たしかに、今、思うと
ちょっとヘンだったッス。
成: ちょっと‥‥?
マ: いつもよりちょっと背が高かったし
ちょっと目つきがワルかったし、
ちょっと声も割れてたし、
ちょっと関西弁でしゃべってたし、
成: ‥‥ゼンゼンちがうじゃないか!
マ: でも。アタマはギザギザだったし、
ブルーのスーツだったし。
成: (やれやれ‥‥)
真: 法廷のヒトたちも‥‥
気がつかなかったの?
‥‥裁判長さんとか。
マ: みんな、カオに”?”マークが
うかんでましたけど。
なーんか、言い出せない
フンイキだったッス。
真: ビミョーな話だなあ‥‥
マ: 成歩堂さん‥‥。もう一度、
できるんですか? ‥‥裁判。
成: たぶんね。弁護士がいないまま
判決が下されたんだから。
再審理はできると思うよ。
マ: あの‥‥成歩堂さん。
成:
マ: 今度は‥‥勝てますか?
成:‥‥!
マ: たしかにスズキ、不幸のフルコース
に敗北のデザートつきの人生ッス。
生後6ヶ月のとき、マンションの
9階から落っこちたのを皮切りに、
ひととおりの乗り物にはひかれ、
ひととおりの食べ物にはあたり、
だいたいの試験には落第して、
ほとんどの災害をも経験して、
殺人の罪を着せられれば、弁護士の
ニセモノをつかまされる始末。
‥‥でも!
それでも、このスズキは
生きているッス! 今も!
だから! いつか
見つけられるハズッス!
‥‥ヒトなみのシアワセをッ!
真: くっそー、
ニセなるほどくんめぇ‥‥
成: な、なんでぼくを
ニラむんだよ‥‥
(とはいえ‥‥
ぼくの名前を使って、
殺人の罪を着せるなんて‥‥
‥‥ユルせるわけがない!)
真: ゼッタイに見つけだそうね!
なるほどくんのニセモノ‥‥
マ: じゃあ、吐麗美庵の場所を
教えますねッ!
成: とれび‥‥ああ、事件が
起こったレストランか。
マ: はい! 店長によろしく
言っといてください!
真: よし! なるほどくん。
さっそく行ってみようか!

(「吐麗美庵」に移動する)


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