第1話『思い出の逆転』第1回法廷(その3)

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綾里 千尋…赤
成歩堂 龍一…黒
星影 宇宙ノ介…黄
裁判長…緑
亜内検事…茶
美柳 ちなみ…紫
呑田 菊三…灰
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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同日 午後12時13分
地方裁判所 第2法廷

裁: それでは、審理を再開しましょう。
亜内検事、証人を呼んでください。
亜: それでは、現場で
事件の瞬間を目撃した証人‥‥
美柳 ちなみさんを
入廷させてください!

亜: ‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥
千: (な、なによ、この
ミョーなチンモクは‥‥)
裁: ‥‥長い裁判人生、さまざまな
証人にダマされてきました。
もう二度と、ダレも信用しない。
‥‥そう決めていたのですが‥‥
この証人のコトバなら!
私、なんでも信じられそうです。
千: (バカなコト言わないでよ!)
亜: あ。では証人。
名前をおねがいできますかな?
ち: ‥‥‥‥あ、あの。わたし‥‥
裁: ああ、大丈夫ですよ。
おびえる必要はありません!
亜: シツレイなことを言うヤツには、
私がカツンと言ってやりますぞ!
裁: 私も、この木槌でカツンと!
千: (ふたりとも、まっすぐ私を
見つめて言い切ったわ‥‥)
ち: あの‥‥わたし、とても
ほっとしておりますの。
みなさん‥‥とっても親切で、
あたたかな方ばかりなんですもの。
亜: いやいや!
裁: なんのなんの!
千: それで‥‥ケッキョク、
名前と職業は?
ち: ‥‥お名前は、美柳 ちなみと
申しますわ。
勇盟大学の、文学部3回生ですの。
ふつつか者ですが‥‥なにとぞ、
よろしくおねがいいたしますね。
亜: こちらこそ!
裁: よろしくおねがいしますぞ!
千: (やれやれ‥‥ね)
ち: ‥‥あの。おじさまがた?
亜: む。オジサマのことですかな?
裁: このオジサマに、なんでも
言ってごらんなさい!
ち: きっと‥‥どこかに、大きな
マチガイがあるのだと思いますわ。
リュウちゃん、ひとごろしなんて
‥‥いたしませんもの。
裁: うむうむ。
そうでしょうそうでしょう。
千: (ホント、やっかいな証人ね‥‥
オジサンたちを、たった12秒で
味方につけちゃったわ)
裁: それでは、証言を
おねがいしましょう。
事件当日、おじょうさんが
目撃したことを。

(目撃したこと)
ち: 『授業が終わって、リュウちゃんの
もとへ参ろうと思いましたの。』(証言1)
『裏庭で、リュウちゃんが‥‥
ノンちゃんと、お話ししてました。』(証言2)
『そうしたら‥‥急に、ノンちゃんが
おヨロめきになって‥‥お倒れに。』(証言3)
『そのとき、リュウちゃんも
わたしに気がついて。』(証言4)
『わたし、学生さんを呼びに行って
‥‥通報していただきました。』(証言5)
裁: ‥‥な‥‥なんですか、これは!
この証言によると‥‥
被告人は、何もしていないでは
ないですか!

(ざわめきが起こる)

(亜内検事「異議あり!」)
亜: ‥‥おじょうさん。
コイビトを想うアツぅい気持ちは
この私にも、おぼえがありますぞ。
しかし‥‥ワレワレは、真実を
見つけなければなりません。
どうか、正直にホントのコトを‥‥
ち: え。え。‥‥でも、
わたし、そんな。ウソなんて‥‥

(綾里千尋「待った!」)
千: ‥‥もうじゅうぶんです。証人。
裁: ど、どういうことですかな?
千: とにかく、尋問をさせてください。
ヤワなウソで、無罪を
勝ち取るつもりはありませんから。
ち: ‥‥‥‥‥‥ふふふ。
あいかわらず、ですのね。
綾里 千尋さん。
千: ‥‥‥‥‥‥
亜: お、オヤ。‥‥おふたりは
知り合いだったのですか‥‥?
千: ええ。
‥‥以前、ちょっと‥‥。
ち: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: とにかく、弁護人。
‥‥あなたにお任せしましょう。
ち: よろしくおねがいしますね。
‥‥おばさま。
千: ダレがオバサマよっ!

(「証言3」をゆさぶる)
千: 被害者が‥‥自分で勝手に
倒れたというのですか?
ち: え‥‥ええ。
千: 被告人は、被害者に触れてもいない
‥‥そういうことかしら?
ち: わたし‥‥拝見してましたから。
リュウちゃんは、何もしてません!
千: (イミもなくゆさぶったら、
まちがいなく怒られるわね‥‥
‥‥どうかしら? 今の証言は)

(「ムジュンしている」を選択)
千: ‥‥見えすいたウソは
やめてもらおうかしら。
ち: え‥‥! ‥‥そ、
そんな。わたし‥‥

(亜内検事「異議あり!」)
亜: 弁護人! この証人をイジめると、
ショウチしませんぞ!
千: ‥‥‥‥‥‥
亜: い、異議があるのなら、
まず‥‥コンキョをですな。
千: ‥‥‥‥‥‥‥
亜: コンキョを、その‥‥
千: ‥‥‥‥‥‥‥
亜: そそそ、そんなに
見つめないでいただきたいッ!
千: いいかしら、ちなみさん。
呑田さんの革ジャケットには、
被告人の指紋が残っていたのよ。
なるほどくんがつきとばしたのは、
すでに立証されているの。
ち:え‥‥
千: ‥‥ムリに被告人を
かばうことはないわ。
それより‥‥真実を
証言してもらいたいわね。
裁: ふむう‥‥
大丈夫ですから、
真実をぶちまけてごらんなさい。
ち: は、はい‥‥わかりました。
証言を、変えさせていただきます。
千: (これで‥‥どうやら
一歩前進ね、千尋‥‥)
ち: 『あの。わたし‥‥つきとばした
瞬間は、見ておりませんの。』(証言6)
『争っているように見えなかったし、
なんの物音もしませんでしたから。』(証言7)

(「証言7」に「成歩堂の証言書」をつきつける)
千: ”なんの物音もしなかった”‥‥
そう言いましたね?
ち: はい。だから安心して、
よそ見をしておりましたの。
千: ‥‥それはおかしいのよ。
ここに、あなたのコイビト
成歩堂 龍一の証言書があるわ。
彼は、ハッキリ
こう証言しています。
『被害者をつきとばした瞬間、
鋭く大きな音がした』と。
ち: 大きな‥‥”音”‥‥
千: 近くにいたあなたが、なぜ‥‥
この音を聞いていないのかしら?
ち:え‥‥

(亜内検事「異議あり!」)
亜: そ、そんな音など、印象に
残らなかったかもしれませんぞ!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: なるほどくんの証言によれば、
”バチッ”という鋭い音でした。
印象に残らないハズはありません!
亜: ぎゃうッ!

(ざわめきが起こる)
ち: ‥‥あの‥‥
お待ちいただけますかしら。
裁: ム! なんですかな!
ち: わたしが音を聞いていないのは‥‥
ちゃんと、理由がありますの。
じつは、わたし‥‥
ヘッドフォンで
お歌を聞いていたんです。
亜: ヘ、ヘッドフォン‥‥
両耳がふさがっていたワケですか?
ち: あのとき、雨は
やみかけていたんですけれど‥‥
カミナリさまが、お暴れに
なっていたんです。
‥‥ごろごろごろ、って。
千: カミナリさま‥‥?
ち: わたし、カミナリさまが
ニガテなんです。
だから、
それが聞こえないように、って‥‥
亜: うふふふふふ‥‥
いかがですかな、裁判長。
証人の証言には、これで
ムジュンはなくなりましたぞ!
裁: ふむう‥‥
千: (ちょっと待って、千尋!
今の証言には‥‥
事件の流れをひっくり返すような
重大なポイントがあったわ!)

(「カミナリが鳴ったこと」を選択)
千: 裁判長! 証人の証言には
1つ、問題があります!
裁: な、なんですと!
千: 気になりませんか?
‥‥”カミナリ”ですよ?
裁: それが、どうかしましたか?
千: ”カミナリ”って、
じつは電気なんですよ?
裁: それぐらい知っていますッ!
千: 被害者の死因は”感電”。
まず考えられるのが‥‥
”落雷”じゃないですか!
裁: ‥‥あッ!
亜: ‥‥おッ!
ち: ‥‥‥‥!

(ざわめきが起こる)
裁: ううむ‥‥さすがの私も、
そこまでは気づきませんでした!
千: (‥‥どこまでなら
気づけるって言うのよ‥‥)
‥‥呑田 菊三が
”殺害された”‥‥
そもそも、その前提が
まちがっていた!
被害者は‥‥落雷による
”事故”で死んだのですっ!

(ざわめきが起こる)
裁: た‥‥たしかに、
弁護人の言うとおりのようです!
まさか、この被害者が‥‥
事故死だったとはッ!
千: (や‥‥やったわ! 千尋!
これで、無罪判決はイタダキ‥‥)

(亜内検事「異議あり!」)
亜: ‥‥うふふふふふふふふふ‥‥
ワレワレを
ナメてもらっては困りますなあ。
千:‥‥?
亜: 検察側は、そこまでバカじゃない。
気象報告は調べましたよ。
事件当日‥‥。現場付近に
落雷はありませんでした!
千: ええええッ!
亜: それに‥‥
この送電線が、事件に関係している
という証拠もあるのです。
裁: 亜内検事!
そ、それはいったい‥‥?
亜: ‥‥この、証言書です。
裁: ”証言書”‥‥ですか。
いったい、どなたの?
亜: 事件当時、薬学部の研究室で
実験をしていた学生たちです。
彼らは、こう証言しております。
”あの日の午後3時ごろ”‥‥
”いきなり、すべての実験機器が
停止してしまった”‥‥と!
裁: ‥‥停電、ですか‥‥
亜: 薬学部の実験機器は、高圧電流を
使用するものばかりでした。
千: もしかして‥‥、
それらの実験機器の電力は‥‥?
亜: さよう。この、切れた電線によって
まかなわれていたのですよ。
そして、その実験機器が止まった
時刻は、午後3時ごろ‥‥
裁: 解剖記録の死亡推定時刻と、
ピッタリ一致しますな。
亜: そのとおり! つまり‥‥
被害者は、この切れた送電線に
触れて、ショック死したのです!

(ざわめきが起こる)
亜: 学生たちによれば、この送電線は
そうとう古くなっていて‥‥
近いうちに、改修の工事が
予定されていたそうです。
裁: そうだったのですか‥‥
亜: 何か少しでもショックがあれば、
いつでも切れる状態にあった‥‥
そう考えていいようです。

<<学生たちの証言書>>のデータを
法廷記録にファイルした。
裁: しかし‥‥そうなると、
気になることがあります。
”送電線は、少しのショックで
切れる状態だった”‥‥つまり、
”ショックがなければ、送電線は
切れなかった”ということです。
亜: ま、まあ‥‥たしかに、
それはそうですな。
裁: ‥‥弁護人。いかがですか。
送電線が切れた原因について、
何か、考えはありますかな?
千: は、はい‥‥
(今‥‥こっちの状況は、
かなり不利だわ。
反撃するためには‥‥
ここで何か、しかけないと!)
わかりました。弁護側の
考えを言わせていただきます。
裁: それでは、
提示していただきましょう!
なぜ送電線が切れたか‥‥
”ショック”の原因を作ったのは?

(「成歩堂 龍一」を選択)
千: 裁判長。‥‥なるほどくんの
証言を思い出してください。
裁: 被告人、ですか‥‥?
千: 彼は、被害者をつきとばしたとき、
大きな鋭い音を聞いています。
”バチッ”という音を。
それは、午後3時ごろでした。
裁: たしかに、そうでしたな。
‥‥ま、まさか‥‥!
千: 実験機器が停止した時刻が2時
55分。‥‥証言とも一致します。
送電線を切ったのは‥‥
なるほどくんの一撃だったのです。

(ざわめきが起こる)
亜: さよう!
それは、検察側も同意見ですな。
そして、被告人の一撃で、
呑田くんは感電死した!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: そうはいきません。
亜: な‥‥なんですと?
千: なるほどくんが、呑田さんを
つきとばした”場所”は‥‥
カサが落ちている地点。
‥‥つまり、電柱のあたりです。
‥‥そう。つきとばされた
被害者は、この電柱に激突した。
そのときのショックで‥‥
送電線が切れたのです。
裁: ふむう‥‥。それならば、
カンゼンにスジはとおりますな。
千: おコトバですが‥‥
まったく、スジはとおりません。
被害者が、奥の電柱に向かって
つきとばされたのならば‥‥
この切れた送電線で、被害者が
感電できるハズがありません!
亜: なぎゃあああああああああああッ!
千: ‥‥つまり!
被害者を感電死させたのは、
別の人物ということになるのです!

(ざわめきが起こる)
裁: せ‥‥静粛に! 静粛にいいッ!
千: (ああ。敵の悲鳴って‥‥なんて
心地よく、ムネにヒビくの!)
裁: た、たしかに‥‥弁護人の主張は、
反論の余地がありません!
被告人が、呑田 菊三くんを
殺害できるはずが‥‥
ち: あの‥‥おじさま?
よろしいかしら。
今の、おばさまの説明‥‥
わたしが拝見しましたものと
少々、ちがっているのですけれど。
裁:な‥‥
亜:な‥‥
千: なんですってぇぇっ!

(ざわめきが起こる)
ち: ‥‥もう一度だけ。
証言させていただけませんの?
‥‥おじさま‥‥
裁: モチロン、けっこうです!
サッソクもう一度、
証言していただきましょう!
千: (‥‥どうやら‥‥
本性をあらわしてきたようね!)

(目撃したこと・2)
ち: 『リュウちゃんは‥‥2回、
おつきとばしになったのです。』(証言1)
『1回目、電柱にぶつけられて‥‥
送電線が、お切れになりました。』(証言2)
『それで、ノンちゃんは必死に
お逃げになろうとしたのですが‥‥』(証言3)
『リュウちゃんは、すぐに追いかけて
背中から、そっと体当たりを。』(証言4)
『送電線が切れてから、お感電まで、
1分もたっておりませんでしたわ。』(証言5)
裁: ふむう‥‥。被告人に
つきとばされた被害者は‥‥
起き上がって、送電線のほうへ
逃げたわけですか。
亜: ‥‥そこを、ふたたび
被告人に倒された。
ち: リュウちゃんには悪いけど‥‥
ホントのコトを言わなきゃ、って。
これでよろしいのですよね?
‥‥おじさま。
裁: いやはや。マッタクもって、
そのとおりです!
それでは、弁護人。
尋問をおねがいしましょう!

(「証言3」をゆさぶる)
千: そんな光景を
目にしていながら‥‥
あなたは、ヘッドフォンで
お歌を聞いていたワケですか?
ち: え‥‥‥‥

(亜内検事「異議あり!」)
亜: 弁護人! あてこすりは
やめていただきたいですな!
ち: あの‥‥わたし、コワくて
すくんでしまったんです。
ココロの中で、おふたりを
応援することしかできなくて。
千: お、おうえん‥‥?
ち: ‥‥はい。
”どちらもファイト!”‥‥って。
裁: ふむう‥‥。いじらしい
おとめゴコロ、というヤツですな。
亜: それで‥‥そのあと、
どうなりましたかな?

(「証言5」に「現場写真・2」をつきつける)
千: ‥‥もうケッコウです、証人。
ち:え‥‥
千: ‥‥この写真を
見てもらえるかしら。
ち: あ。このおクスリ、
リュウちゃんがご愛飲していた‥‥
千: ここで重要なのは、
薬ビンではありません。
‥‥ダイジなのは、
腕時計のほうなんです。
この時計は、被害者が感電死した
時間に止まりました。
つまり‥‥3時5分。
それが、感電の時間になります。
裁: そのとおりですが‥‥
千: しかし! 思い出してください。
”送電線が切れた”のは‥‥
いったい、何時だったか‥‥?
亜: それは‥‥学生たちの証言で
アキラカです。
午後2時55分‥‥
あああああッ!
千: ‥‥説明してもらえるかしら、
美柳 ちなみさん‥‥
この、10分間の<<空白の時間>>は
いったい、なんなのか!
ち: ‥‥‥‥‥‥‥!
千: ‥‥弁護側は主張します!
被害者を死に追いやった
真犯人は、他にいたのです!

(ざわめきが起こる)
裁: せ、静粛に! 静粛に!
これはいったい‥‥

(亜内検事「異議あり!」)
亜: で‥‥デタラメだッ!
し、”真犯人”などと‥‥!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: 送電線が切れてから、被害者が
殺害されるまで、約10分間!
‥‥空白の時間が存在するのは
ジジツです!

(亜内検事「異議あり!」)
亜: いったい、ダレが! 被告人の
他に、ダレにできたと言うのです!
千: たったひとりだけ‥‥
存在するじゃないですか。
被告人が呑田さんをつきとばして
現場を立ち去ったあと‥‥
彼を殺害できた人物が!
裁: ‥‥弁護人。あなたは、
だれかを告発するつもりですか?
‥‥真犯人として!


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