第1話『思い出の逆転』第1回法廷(その1)

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綾里 千尋…赤
成歩堂 龍一…黒
星影 宇宙ノ介…黄
裁判長…緑
亜内検事…茶
美柳 ちなみ…紫
呑田 菊三…灰
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)



‥‥はあ‥‥ はあ‥‥
‥‥くそっ!
なんでぼくがこんな目に‥‥
‥‥あのとき‥‥ぼくは
どうして、あんなコトを‥‥!

『‥‥彼女とは、
もう会わないほうがいい。』

『そんなコト、
きみに言われたくないよ!』

『‥‥アンタのためなんだ。
きっと、よくないことが起こる。』

『う、ウソだッ!』

『いいか、聞くんだ。
‥‥あの女はなぁ‥‥‥‥‥‥‥‥』

『‥‥やめてくれッ!
彼女のコト‥‥
そんなふうに言うなッ!』

ぼ‥‥ぼくじゃないぞ!
こ、こんな‥‥こんな‥‥
‥‥殺人なんて‥‥!


〜5年前〜
綾里千尋・2回目の法廷


4月11日 午前9時40分
地方裁判所 被告人第3控え室

千: (い、いよいよね。
‥‥キンチョーしちゃうな‥‥)
?: ウォッホォン!
千: あ‥‥星影先生!
お、おはようございますっ!
星: ‥‥千尋クン。
とにかく、まずは落ちつくんぢゃ。
そんなキョロキョロしとったら、
挙動不審でタイホされちまうぞ。
千: なな、何を言うんですか星影先生!
わた、私は落ちついてますっ!
星: うぐぐぐぐ。
む、胸ぐらをつかまんでくれ。
‥‥うう‥‥どうもチミはまだ、
そそっかしくてイカン。
千: あ‥‥あの。今日はすみません!
私なんかのために‥‥
星: ‥‥なァに。
他ならぬチミの初舞台ぢゃ。
この星影 宇宙ノ介(ほしかげ
そらのすけ)‥‥力になるぞい!
千: あの。‥‥いちおう、法廷はこれで
2回目なんですけど‥‥。
星: しかし、チミには驚いたぞ。
『この事件を担当させてほしい』
‥‥ゆんべになって言い出すとは。
千: きのう、初めて知ったんです。
この事件のこと‥‥。
星: それで? 事件のデータは、
アタマに入っとるんぢゃろうな?
千: それは‥‥その。
もちろん大丈夫ですよ! たぶん。
星: ヤレヤレ‥‥。
とにかく、そんなカオを
依頼人に見せないことぢゃ。
ホレ。あの、情けなさそうな
ボウヤぢゃろ? 今日の依頼人。
成: う。お。
おはよーございますセンセイッ!
千: おはようございます。
(とりあえずエガオよ、千尋)
成: きょ、今日は‥‥ボク、
がんばりますからッ!
ええもお、やりますとも!
げほ。げほげほ。
千: あ、‥‥そんなにリキまないで。
ええと‥‥なるほどさん!
成: はは、はいッ!
‥‥あ。いえ、あの。
セイカクには”なるほどう”
なんですけど‥‥
千: いいですか、なるほどさん!
シンパイはいりません。
あなたが無実なら‥‥
かならず、助けてみせます!
成: うぐぐぐぐ。む、胸ぐらを
つかまないでください‥‥げほ。
千: (‥‥そうよ。ホントに
おびえてるのは、彼のほう。
私がシッカリしなくちゃね
‥‥千尋!)
私は綾里 千尋(あやさとちひろ)
‥‥新米弁護士。
初めて法廷に立ったのは、
今から1年前のことだった。
二度と立ちなおれないほどの
ダメージを受けた、あの裁判‥‥
あれから1年。私は今、
ふたたび法廷に立とうとしている。
今日こそ‥‥
今度こそ、私は負けない。
‥‥依頼人のために。
そして‥‥私自身のために。


同日 午前10時
地方裁判所 第2法廷

裁: では、成歩堂 龍一(なるほどう
りゅういち)の法廷を開廷します。
千: 弁護側、準備完了しております!
亜: 検察側、準備完了しております。
裁: ‥‥弁護人。
綾里 千尋さん‥‥でしたな?
千: は、はい。なんでしょうか。
裁: 本件の担当弁護士は、たしか
星影氏だったのでは?
千: え! あ。それがその。
星影弁護士はちょっと、
急用ができてしまって‥‥
裁: 急用? あなたのお隣で
ボンヤリしているではないですか!
千: はい、まあ‥‥。
裁: あなた‥‥たしか、新人でしたな。
本当に大丈夫なのですか?
千: (‥‥こ、ここで負けちゃダメ。
ニラみつけてやるの、千尋!)
モチロン大丈夫ですわ!
‥‥たぶん。
裁: ふむう‥‥
‥‥では、亜内検事。
冒頭弁論をおねがいします。
亜: ふう、やれやれ‥‥。
私ほどのベテラン検事が、
おじょうさんの子守とはねえ。
千:‥‥!
亜: まあ、今日は勝ち負けは気にせず、
ムネを借りるつもりで来なさい!
千: (ナニよそれ‥‥)
亜: では、事件のあらましを
説明させていただきましょう。
事件があったのは、私立・勇盟
(ゆうめい)大学のキャンパス。
殺害されたのは、呑田 菊三
(のんだきくぞう)くん。
薬学部の4回生だったそうです。
裁: ふむう‥‥いわゆる、
インテリゲンチャですな。
亜: さて。‥‥これが、現場にて
撮影された写真です。
事件は、その発生直後、学生に
よって発見、通報されました。
現場には、被害者の死体と‥‥
逃げおくれた被告人がいたのです。
裁: ふむう‥‥。それは、
すこぶるアヤシイですな。
‥‥わかりました。
その写真を証拠として受理します。

証拠品<<現場写真・1>>のデータを
法廷記録にファイルした。
裁: ‥‥ところで。
この写真を見るかぎり、
被害者の死因がわかりませんな。
亜: ふっふっふっ‥‥
さすが、裁判長どの。
なかなかスルドイ‥‥
ジッサイこの被害者は、ちょっと
変わった死にかたをしとるのです。
千: ”変わった死にかた”‥‥!
裁: いったい、どんな!
亜: それは‥‥弁護人に
お答えねがいましょうかな。
千: え‥‥!
亜: カンタンな質問で、キンチョーを
ほぐしてさしあげる‥‥
これぞ、ゼントルメンのヤサシサ
‥‥というヤツですな。
千: ぜ、ぜんとるめん‥‥
(ナメられちゃダメよ千尋!
ここは一発、カマしておくの!)
星: そうぢゃ! パシッと
答えてやるんぢゃ! 死因を!
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥って、なんぢゃ!
わからんのかいッ!
千: ご、ごめんなさいっ!
私‥‥資料まで手が回らなくて。
星: むぐぐ‥‥シリが痛みだしたワイ。
‥‥いいかの。
事件に関する資料は、すべて
<<法廷記録>>にファイルされとる。
‥‥それぐらいは
知っとるぢゃろうな?
千: (法廷記録! たしか、Rボタン
で見ることができるはずね‥‥)
星: ワシらが法廷で闘うための武器は、
<<法廷記録>>の中に必ずある。
まずはそのデータをよく見て、
よーく考えるんぢゃ!
千: は、はいっ!
よーく考えてみますっ!
(とにかく‥‥あわてちゃダメ!
検事さんの思うツボだもんね。
法廷記録‥‥見てみよう!
Rボタンで‥‥)
裁: では、弁護人に
答えていただきましょう。
この事件の被害者の死因は
なんですかな?

(「感電死」を選択)
千: 法廷記録によると、感電‥‥
そのショックで亡くなっています。
裁: か、感電‥‥ですか。
しかし、いったいどうやって!
大型のスタンガンでも
使ったのですかな?
亜: それは‥‥審理が進むにつれて
アキラカになるでしょう。
その前に。重要なポイントが
もう1つ、あるのですよ。
千: そ、それは‥‥?
亜: ”動機”ですよ、モチロン。
被告と被害者のあいだには、
あるトラブルがあったのです。
裁: とらぶる‥‥?
千: そ、それはいったい‥‥
亜: おっと‥‥!
あなたも弁護士なら、それぐらい
トーゼン、押さえているはず。
‥‥そうでしょうな?
千: (イヤにカラんでくるわね
‥‥この検事さん)
星: それが、あの男‥‥
亜内検事のやりかたなんぢゃ。
”新人つぶし”の異名を
とっておる。
裁: ‥‥それでは、弁護人に
お聞きしましょう。
被告人と被害者のあいだに、
どんなトラブルがあったか?
それを示す<<証拠品>>を
提示していただきます!
千: しょ、”証拠品”‥‥?
星: あわてることはない。
ワシらの武器はつねに、
法廷記録の中にある。
正しいデータを、ヒゲのジイさんに
たたきつけてやるんぢゃ!
千: は、はいっ!
ヒゲのおジイさんですね!
裁: ちょ、ちょっと星影さん。
新人教育には、
もっと気をつかうように!
星: 法廷記録には、<<証拠品>>の他に
<<関係者>>のデータもある。
Rボタンで切り替えられるから、
ゼンブ目を通して考えるのぢゃぞ!
裁: ‥‥それでは
示していただきましょう。
成歩堂くんと被害者のトラブル。
‥‥その原因と考えられるのは?

(「美柳 ちなみ」を選択)
千: トラブルの原因として
考えられるのは、この人物です。
裁: 美柳(みやなぎ) ちなみさん
‥‥ですか。
亜: ‥‥さすがに、それぐらいは
心得ているようですな‥‥弁護人。
彼女は現在、
被告人・成歩堂くんの恋人です。
しかし。半年前までは、被害者の
呑田くんとつきあっていた。
今回の事件に、彼女の存在が
カラんでいるのは明白でしょう‥‥

(ざわめきが起こる)
裁: ふむむう‥‥
星: ‥‥さすが、亜内検事ぢゃな。
証人の尋問に入る前に、裁判長の
印象を決定づけようとしておる。
裁: それでは、亜内検事!
最初の証人を呼んでください。
亜: ‥‥成歩堂 龍一くんを
おねがいいたしましょうか。
裁: ひ‥‥被告人自身、ですか‥‥
いかがですかな? 弁護人。
千: (大丈夫! なるほどさんは
無実なんだから‥‥)
‥‥異議はありません。
裁: わかりました。
それでは‥‥
成歩堂 龍一を証人席へ!

亜: では、証人。職業と名前を。
成: は、はい。
名前は‥‥成歩堂 龍一です。
職業‥‥今は、その。
容疑者、やってますけど。
裁: いやいや。タイホされる前の
職業をおねがいします。
成: あ。‥‥げほげほ。
だ、大学生です。
亜: さて、成歩堂くん。
きみの容疑は、同じ大学の学友・
呑田 菊三くんの殺害‥‥
成: あ‥‥ボク!
アヤしいモノじゃないんです!
だって、ボクはげほ。
げほげほげほ。げほげほげほげほげ
裁: 被告人。
‥‥カゼをうつさないように。
亜: どうやら証人は、よっぽど
証言したいコトがあるようですな。
裁: ふむう‥‥では、被告人。
被害者・呑田 菊三くんとの
カンケイを証言してください。
成: はいッ!

(被害者との関係)
成: 『あの、ボク‥‥。たしかに
あそこにいましたけど‥‥』(証言1)
『殺したなんて、とんでもない!
死体を見つけただけなんです!』(証言2)
『そもそもアイツのコト、
よく知らなかったし‥‥。』(証言3)
『あんなキザなイギリスかぶれ、
ボク、話したこともないですよ!』(証言4)
裁: ふむう‥‥。被害者のことは、
よく知らなかった‥‥なるほど。
成: ええ! だってボク、
アヤしいモノじゃないですからね!
千: (よかった‥‥。裁判長さん、
わかってくれたみたいね)
星: むうう‥‥。
やはりアマいのお、千尋クン。
千: え‥‥?
亜: うふふふふふふ‥‥おじょうさん。
1つ、忘れていることが
あるようですな。
千: な、なんですか?
亜: この証人に、<<尋問>>を
してもらわないとねえ‥‥。
千: じんもん‥‥?
星: そのとおり。弁護士には、
尋問のギムがあるのぢゃ。
証人の発言にムジュンがないか
どうか、たしかめるために‥‥な。
千: ”ムジュン”ですって‥‥
星: 証人がウソをついていれば、当然
法廷記録と食いちがいが生まれる。
千: でも‥‥なるほどさんは
私の依頼人なんですよ!
星: たとえそれが依頼人であっても‥‥
ムジュンは暴かなくてはならん。
それが弁護士のギム、なのぢゃ。
千: (どういうコト?
もしかして、今の証言には‥‥
ウソが‥‥
”ムジュン”があると言うの?)
裁: それでは‥‥
弁護人に、尋問を命じます!
千: (そんなハズ、ないわよね‥‥
なるほどさん!
あなたが、
この私にウソをつくなんて‥‥)

(「証言4」をゆさぶる)
千: なるほどさん。
あなた、こう証言しましたね。
”被害者のことはよく知らない”
‥‥って。
成: そ、そうです! だってボク、
アイツなんか‥‥
千: でも‥‥それはちょっと、
ヘンじゃないかしら。
それならなぜ‥‥
あなたは知っているのですか?
被害者が
”イギリスかぶれ”だったコトを!
成:‥‥‥
千: ‥‥‥‥‥
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥げほ。
千: なんでそこでダマるの!
成: あ! いや! ボク、決して
アヤしいモノじゃないですからッ!
裁: 被告人。それならば、
証言に加えていただきましょう。
なぜ、被害者が”イギリスかぶれ”
だと知っていたか‥‥?
成: は、はい‥‥
『シャツの背中に描かれてたんです。
バカでかいユニオン・ジャックが。』(証言5)

(「証言5」に「現場写真・1」をつきつける)
千: たしかに見たのですか?
‥‥ユニオン・ジャックを。
成: は‥‥はい。背中にでっかく
描いてありましたから。
裁: 弁護人。
それがどうかしましたかな?
千: 裁判長。
この、現場写真を見てください。
‥‥ごらんのとおりです。
背中には、何も描かれていません!
成: でも! これ、
革のジャケットじゃないですか!
ユニオン・ジャックが描いて
あったのは、シャツの背中‥‥
千: あなたは、通りすがりに
グーゼン、死体を見つけたはずよ。
もし‥‥それが本当ならば、
知ってるはずがないでしょう?
被害者が、このジャケットの下に
何を着ていたか、なんて!
なるほどさん。あなた‥‥
この私に、ウソをついたのねっ!
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ごめんなさわわあああああああん!

(ざわめきが起こる)
星: こ、コラコラ!
依頼人を泣かせてどうするんぢゃ!
千: いいんですっ!
わ‥‥私‥‥信じていたのに!
なるほどさんのコト‥‥
亜: うふふふふふ‥‥
ここまでうまく行くとはねえ‥‥
千:‥‥!
亜: これで弁護人は、ミゴトに立証
してくれたワケですな。
被告人が”現場を通りかかった”
だけではないことを!
成: ううううう‥‥
千: (しまった‥‥
強く言いすぎたかしら‥‥)
亜: ところで、被告人。
カゼをひいておるようだが‥‥
薬は飲まれないのかな?
成: あ、あの。
飲んでいるんですけど‥‥
亜: 被告人が飲んでいる薬とは‥‥
市販の<<カゼゴロシ・Z>>ですな?
成: そうなんですよ!
カゼ薬のケッ作ですからね!
‥‥って、あれ。
どうして知ってるんですか?
ボクが<<カゼゴロシ・Z>>の
大ファンだ、ってコト‥‥
亜: うふふふふふ‥‥ところで、
その薬は‥‥今、持ってますかな?
成: それが‥‥じつは、
どこかに落としちゃって‥‥
千: (カゼ薬を落とした‥‥?
事件に関係あるのかしら‥‥)
亜: ‥‥成歩堂くん。
きみの薬が今、どこにあるか‥‥
教えてあげよう。
成:‥‥?
亜: 裁判長! 現場の写真を
もう1枚、ごらんいただきたいッ!
裁: こ‥‥これは!
‥‥被害者の手の中に‥‥
<<カゼゴロシ・Z>>‥‥!

(綾里千尋「異議あり!」)
千: か、<<カゼゴロシ・Z>>ぐらい、
私の部屋にだってありますっ!

(亜内検事「異議あり!」)
亜: ザンネンながら
そうは行かないのですよ。
この<<カゼゴロシ・Z>>には‥‥
ハッキリ残っていたのです。
被告人・成歩堂 龍一の
指紋がね!
千: な‥‥なんですって!

(ざわめきが起こる)
亜: おそらく‥‥殺意を
感じた呑田 菊三くんは‥‥
被告人が落とした薬ビンをそっと
拾って、手にかくしたのです。
真犯人・成歩堂 龍一を
告発するためにッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に!
亜: 裁判長! この写真と薬ビンを
証拠として提出いたします!
裁: わかりました。
‥‥受理しましょう。

証拠品<<現場写真・2>>のデータを
法廷記録にファイルした。

証拠品<<カゼゴロシ・Z>>のデータ
を法廷記録にファイルした。
亜: ちなみに、被害者の腕時計は、
コショウしておりました。
裁: コショウ‥‥ですか。
亜: 感電の際、強い電気のショックで
止まってしまったのです。
さあ、被告人!
セツメイしてもらえますかな!
成: ううううう‥‥
千: (サ、サイアクの事態ね‥‥)
星: ‥‥ううう‥‥シリが。
シリがああああ‥‥


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