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ある少年の思い出


米国・住宅街。
今ここに一つの家族が一時滞在のため滞在していた。
これから起こるひとときの悪夢を知らずに・・・

庭で遊ぶ5才の男の子。手にはテディ・ベアのぬいぐるみを友人のように持っている。
”友人”なのだろう。遠くからみていると2つのぬいぐるみが動いているようだ。
そんな平和な午後のひととき・・・

突然、男の子の体が持ち上がる。持ち上げたのはどうやら父親ではないらしい。
やけにたばこ臭い。と男の子は思った。
そして駆けつけてくる警官をみてやっと気づく。
ぼくは悪いやつに捕まってしまったんだと・・・・

4時間。その男は男の子を人質に立てこもった。
その長い時の間、男の子は考える・・・ぼくは何か悪いことをしたんじゃないか、と。
・・・いやなにも悪いことはしていないはずだ。もしあったとしてもきちんと許してもらっている。では、なぜぼくはここにいるのだろう?

5時間。悪いやつは男の子を持ち上げ警察に向かって何か叫んでいる。
男の子と違う言葉をしゃべっているから、何をいっているのかわからないが怒っているようだ。
5時間の間に体力を使い果たしぐったりと悪いやつに持ち上げられる男の子。
・・・なぜぼくはここにいるのだろう?

6時間。悪いやつは男の子を持ち上げ警察に向かってまた叫んでいる。
その時だ・・・”ダン”そう男の子には聞こえた。
そして、視界が真っ赤に染まっていくのをみた。
急にどすんと地面に落ちる。
ふと上を向くと・・・悪いやつの上半身から大量の血が出ていた。

ふと横を見る。
真っ赤にそまり、銃弾を受けぼろぼろになった”友人”があった。
僕もそうなるのかな・・・・



『またこの夢ですか・・・』
朝日義正はベットから体を起こす。
”幼少期”、”家族旅行をかねた父親の学会”、”近くで起きた強盗”
このキーワードがそろったとき、偶然と名のる女神が男の子に送った”贈り物”。 左目横を銃弾がすぎ、残ってしまった傷跡。

『いい加減なれたと思ったんですがねぇ・・・』
このとき、父親は病院で手当を受けた男の子に大きな黒曜石を送った。異国の地 でのお守り代わりだったのだろう。
”「これがおまえを守ってくれる」”
そんなことを言われたような気がする。

男の子が少年となるころ、この経験は一つの信念となっていった。
「先制攻撃・敵の殲滅・低被害」
そう、悪いやつがこなければ、くるのを知っていれば逃げられたのだ。
そう、悪いやつは動かなくまでやっつけられたのだ。そうでなければやられていたのだ。そう、被害は避けられないのだ………たとえば自分のように。
そして…生と死は紙一重なのだ・・・
 

学校は人命尊重をうったえる。
仲間はもっと慎重にという。
だが、被害はでてしまうし、人命も危険にさらされる。
それならば、そうなってしまうのならば

「先制攻撃・敵の殲滅・低被害」

この信念の元、少年は今日も生きている……


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