その5


物語の最後は意外とそんなものかもしれない………。

 

世界各地を三つ編みの少女が旅をしているのを聞く。

しかし彼女の旅は、いつも東の大陸の辺境の村アンダビで終わるのだ。

彼女は、初めて心を開けた旅路を、今はもう帰らない思い人との旅の記憶をたどって。

 

少女は空を仰ぐ。

あの人に会う前、自分がなんのために生きていたか、なにを目指して生きていたか、もう思い出せない。

 

もう何回も訪れたドリフの森の大きな木。

木陰に一緒に座ったのは、今はもういない、もうあえない人。

 

かつての少女は大人になって、大切な『時』は思い出の1ページになる。

 

クスッ

アレから何年経ったんだろうね。

私はどうしてあきらめないんだろう?

あの人といれた時間を、もう戻らない時のいたずらを…。

 

そうして物語は幕を閉じて………

思い出は風に消えて………


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