このインタビューは2006年11月2日から11月24日まで
ARTMANORGよりメールマガジンとして発行されたものです。

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2006.11.17.発行
この間まで暑いと思っていたのに、すっかり秋ですね。あったかい飲み物が美味しい季節です。秋の夜長の深夜アニメも見やすくなって参りました。みなさん、楽しんでらっしゃいますか? 今回のゲスト「shuzilow.HA」さんがキャラクターデザインをされた「ソルティレイ」で作画監督をされていた日下部さんがキャラクターデザインをされている「パンプキンシザーズ」も今期のアニメでは見逃せません! 濱川さんもそのうち作画をされる……カモ! 今回はそんなキャラクターづくりのお話です。
Shuzilow.HA(シュウジロウ・ハ) (全四回、第三回)
本名:濱川 修二郎(はまかわ しゅうじろう)1966年7月7日生。兵庫県神戸市出身。1982年、16歳の時に大阪のアニメスタジオ「アニメアール」で谷口守泰氏に教えを請う。同期は黄瀬和哉、沖浦啓之、逢坂浩司、後輩に木村貴宏など。1989年コナミに入社。「ツインビー」「パロディウス」シリーズの企画・キャラクターデザインを務める。当時、テロップに本名を出すことを禁じられていたため、Shuzilow.HAという名前を使用。以後、本人が特に申請しないため、その時々の制作会社、担当によって濱川修二郎だったり浜川修二郎だったりShuzilow.HAだったりで表記されている。2005年秋〜2006年春に放映された「SoltyRei」では企画・原案・キャラクターデザイン・総作画監督とテンコ盛りの仕事をこなした40歳。

5.キャラクターづくり
村濱 ロイはどうしてシャツにサスペンダーなんですか?
濱川 オッサン臭くしたかっただけ……です。昔見た映画の影響だと思うんです。そういうキャラだったかどうか、ちょっとウロ覚えなんですけど。「スペースハンター」っていう昔のSF映画があって、その主人公がオッサンで賞金稼ぎかなんかなんです。で、ある星に宇宙船が不時着しちゃったんですが、生存者がいると思うんで助けに行って欲しいという依頼を受けて主人公がその星に行くんです。そこに、もっと昔に不時着した人の生き残りでちっちゃい女の子がいるんです。物語は、そのオッサンと女の子の冒険モノなんです。たぶん、その雰囲気が自分の頭の中にあったんだと思います。よく、「レオン」みたい……とか言われてるようですけど、もちろん中間地点には「レオン」もあったかもしれませんが、僕としては「スペースハンター」なんじゃないかな、と。今考えると思います。

村濱 刺青はどういう意味があるんですか?
濱川 あ、それは「ジオン公国」のマークです。嘘です。

村濱 (爆笑)それはマズイ!
濱川 アメリカの警官って刺青をしてる人が多いんです。チームに所属したらみんな一緒の刺青を入れたりするみたいなんですね。それと同じでロイが警官だった時に入れた刺青ですね。


「ソルティレイ」宣伝用ポスターより

村濱 「ソルティ」っていうのは濱川さんにとってはどんなキャラですか?
濱川 自分で特記して「これがオレが一生描いていくキャラだ!」と思ったわけではないです。「パロディウス」しかり「ツインビー」しかり、同じくらいのスタンスで作ったキャラです。ただ作品として完成させるまでに8年かかってしまったので、つきあいが長くなってしまった分、愛着はあるかもしれません。

村濱 キャラクターを作る時のスタンスっていうのはどういうものなんですか?

濱川 僕は基本的に何かワンアクセントを用意するっていうことと、真っ黒に塗りつぶしてもどのキャラかわかる、シルエットで判別できるようにするっていう、いかにもゲームのキャラの作り方をしています。ソルティでもローズでも「何よ!? その髪型!」って言われるほうがいいんです。その髪型をしていれば他の誰でもない「ソルティ」に見えるということが大事なんです。ゲームの中では実際大事なことだと思います。

村濱 ゲームの企画の時から「ソルティ」はサイボーグっていう設定だったんですか?
濱川
 ロボットはロボットです。「人造人間」が好きなんです。

村濱
 「キカイダー」ですか?
濱川
 そうです! キカイダー、ハカイダー、大好きなんですよ! 実写より原作のほうが好きです。キカイダー」「キカイダーゼロワン」「キカイダーダブルオー」と展開が面白かったんです。「その人間関係もロボットなのに語られていたりして、面白かったですね。

「ソルティレイ」第1話より ロイを見つめる「ソルティ」

村濱 ソルティは「キカイダー」で言えば誰に近いんですか?ダブルオーですか?

濱川 難しいですねぇ。ソルティは馬鹿がつくほど純真無垢な部分で物語の大部分に登場しますが、全体を通していえば、キャラクターが全然違いますよね。ソルティが自らそうした部分もあるので、どうなんでしょう。実は一筋縄ではいかない性格なんじゃないですか(笑)。

村濱 「ソルティレイ」の「レイ」ってどういう意味なんですか?
濱川 スペルが違うんですけど基本的に「光」とか「筋」っていう意味で考えています。

村濱 「レイガン」とかの「レイ」ですか?
濱川 はい。だから「ソルティの光の道」とでも思っていただければ、いいです。

村濱 宗教がかってますね?
濱川 いえ。そんな大層なことではないんです。まぁ、彼女の選択した歩んでいく道……っていうと余計宗教臭いのかな(苦笑)。でも、そんな深いわけじゃあなくって……。軽く捉えてください。


6.ストーリーづくり

村濱 「ソルティレイ」って美少女いっぱい出てきて、萌え〜な感じかと思っていたら、意外と骨太な話になっていきましたよね。
濱川 12話ぐらいまでは、ほんわかしてたんですけど(笑)。でも僕が描きたかったのは後半の話なんです。でも、後半の話だけだとすごい重いじゃないですか。

村濱 重いですね。
濱川 僕が勝手に思っているだけかもしれないんですけど、今のアニメファン層って、「打たれ弱い」ような気がするんです。

「ソルティレイ」キャラクター設定資料より「ロイ・レヴァント」
好きなキャラクターが物語の中であまりにひどい目にあわされたりするとそれだけで凹んで視聴中止されてしまうじゃないですか。僕の好きな話は12話で終わり〜とか言われるとこちらとしてもツライですよ。

村濱 現実とアニメの区別がつかないんでしょうか?
濱川 いや。それくらい愛してもらえるということはすごいいいことなんですよ。

村濱 そうですよね。ありがたいことですよね。
濱川 なので、とにかく最後までこの物語を見届けたいと思ってもらうために、この娘たちを愛してもらえないとダメだと思っていました。そのために最初のほうは人情話だったりドタバタ劇だったりコメディタッチだったりと楽しいお話を続けるようにしたんです。

村濱 楽しい話はそれはそれで楽しかったですしね。
濱川 ええ。今回DVDの最終巻にエクストラエピソードが入っていますが、そっちも楽しい話になっています。

村濱 エクストラエピソードは45分ですか?
濱川 2話分、あります。

村濱 アイキャッチが3回入ったのでびっくりしましたが、1本で40〜45分のフォーマットって見てて楽しいですね。
濱川 そうですね。「ソルティ」を作る時に、海外のホームドラマみたいな構成で作りたいという話で最初から動いていたんです。でもそうなるとシナリオが40分くらいの内容であがってきちゃう。それを、ここのシーンはきってもなんとかイメージで話がつながるだろう、という部分をどんどん切って20分にしてるんです。だから見てる人に頭の中で補完してもらわないといけない部分がすごく多かったと思います。でも、今回のエクストラエピソードは40分という枠に最初からなっていたんで、ちょっとテンポが速いところはありますが、いつもは切らなければならなかったやりたかったことっていうのは、かなり入ったんじゃあないでしょうか。

村濱 なんか、いい話でしたよね。
濱川 でも、あれは時系列でいくと9話と10話の間、ローズがロイの娘だとういうことがバレる前に入る話なので、後半いなくなったキャラクターが登場するんで、ちょっと複雑かもしれませんね。



「ロイとソルティ」のモデルになった作品や、「ソルティレイ」の意味など、「ソルティレイ」の秘密に迫るお話でしたね。次回もどんどん「ソルティレイ」の制作秘話をお聞きしちゃいますので、どうぞお楽しみに! しかし、本当にエクストラエピソードも涙なくしては見れません。感動のお話でしたよ! まだ見てない方は是非、見てみてくださいね!


次回は11月24日(金)の配信予定です。