オルセー美術館展2010「ポスト印象派」

2010年7月

「水浴の男たち」
セザンヌ

 BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」で山田五郎さんの薀蓄とおぎやはぎさんのボケツッコミを聞き、混んでいてもオルセー美術館展が見たくなり、行って来ました。

 朝一が最も混んでいないだろうと予測して、10時の開場前に着くように出かけたら、1本早い電車に乗れ、その後も乗継ぎがよくて9時25分に最寄の地下鉄駅に着いてしまいました。30分以上前でどうしようと思いつつ美術館へ続くエスカレーターに向かうと、係員さんが「5列に並んで下さい。30分になったら美術館へ移動していただきます。」と、既に入場整理が始まっていました。30分ならあと3分並んでいればいいのでラッキー☆

 時間どおり30分に列が動き出し、エスカレーターを乗り継いで国立新美術館内に入ると、展示室へ向かうエスカレーターを指定されて誘導され、最後尾に並んで前を見ると、「あれ?展示室に入場している?10時開場のはず…。」と、思っている間に9時40分に展示室に入場できてしまいました。
 この日限りというには手馴れた誘導だったので、会期中、入場整理が行われているのかもしれません。連日、9時30分に開場しているかどうかは判りませんが…。
 第1章 1886年−最後の印象派

 最初の1枚は「階段を上がる踊り子」ドガです。初っ端にドガがきていて、秋にドガ展を観に行く気満々だった私は一瞬ビックリしてあたふたしてしまいました。(苦笑)
 この章には、モネの作品が5点もあります。今年、モネを何点見たでしょう。

 「日傘の女」を見ながら、もう1枚左向きの「日傘の女」と一対で見たいなどと、贅沢なことを思ったりもしました。
 そして「睡蓮、緑のハーモニー」も緑が生き生きとしてお気に入りの1枚なので、これも来日してくれて嬉しいです。
 「ノルウェー型の船で」は初めて見ますけど、船上で読書する女性1人、やる気なさそうにつり糸をたれる女性1人と立ちあがって一心不乱につりをしているように見える女の子1人の3人のつりに対する温度差が感じられて、いい感じです。

「日傘の女」
モネ
2005年5月
オルセー美術館にて撮影


「睡蓮、緑のハーモニー」
モネ
2005年5月 オルセー美術館にて撮影

 シスレーの「モレの橋」は川面に映る家の雰囲気がステキ。
 ベナール、ジェルヴェクス、サージェントの大きな絵は人目を引きます。特にサージェントの「ラ・カルメンシータ」はドレスのボリューム感がスゴイです。

 第2章 スーラと新印象主義

 この章の絵は、離れて見ると生き生きと描かれている対象が現れる感じがします。

 シニャックの「レ・ザンドリー(河堤)」は離れて見ると水が透明に輝いて川面に景色が映えてステキな1枚。「マルセイユ港の入り口」は色のブロックを配置して構成して絵にしているよう印象を受けました。
 第3章 セザンヌとセザンヌ主義

 BS日テレのぶらぶら美術・博物館で山田五郎さんが解説で述べていたセザンヌの「台所のテーブル(篭のある静物)」のテーブルの構図に注目しました。左角からテーブルクロスに隠されたところを経て右角へのラインは、直線のテーブルではなくテーブルクロスの中で切り込みが入っているとしか考えられない構図。

 「水浴の男たち」で1人だけ白いパンツをはいている男性がいるのは何故?この男性の向かって左側に小さく両手を前に突き出すように踊っている男性がいることが私のツボだったりします。

「水浴の男たち」
セザンヌ


「自画像」
ゴッホ

 第4章 トゥルーズ=ロートレック

 第4章は3枚のロートレックの絵で構成。「女道化師シュ=ユ=カオ」の肉付きのよい身体に年齢を経た人間を感じます。

 第5章 ゴッホとゴーギャン

 ゴッホの「自画像」、「アルルのゴッホの寝室」、「星降る夜」とついつい絵の前にとどまる時間が長くなってしまいます。「星降る夜」の星の真ん中はチューブの絵の具をそのまま押し付けたのかなぁ…とか、変なことを思いつつ見いりました。
 「タヒチの女たち」は私が持つ“ゴーギャン”の印象の1枚。意外だったのは、「黄色い積みわら(黄金の収穫)」です。とうも“積みわら”はモネのイメージだったので、ゴーギャンが描いていたとは思いもよりませんでした。
 この辺りで見学のちょうど半分くらい。そろそろ疲れを感じていたところに、休憩室の文字が目に入り、早速行くと…満席で座る場所なし。はぁ。休憩室手前の展示室の端のベンチに空きがあったのでそこで一休み。すると足元を冷たい空気が流れるのを感じました。空調は「オルセー美術館と同じ設定にしているので、重ね着で温度調節してください」と注意書きにありましたっけ。見学中は、大勢の見学者さんたちに囲まれていて、暑さは感じても涼しいとは思いませんでしたが、しっかり冷房が入っていたようです。

 第6章 ポン=タヴェン派

 ベルナールの「愛の森のマドレーヌ(画家の妹)」は、どこかで見た記憶が…。って、オルセー美術館でしょう。>自分

「タヒチの女たち」
ゴーギャン

 第7章 ナビ派

 ナビ派の絵は、ポスターみたい、という印象です。
 ヴァロットンの「ボール(ボールで遊ぶ子供のいる公園)」も以前、日本で見て気に入った記憶があります。そのとき、絵はがきを買おうとしたら、発色がイマイチ気に入らずに買わなかったのですけれど、今回は許容範囲だったので買いました。こういうのんびりした絵、好きなのです。

「蛇使いの女」
ルソー

 第8章 内面への眼差し

 ピュヴィ・ド・シャヴァンヌの「貧しき漁夫」は、第2章 スーラと印象主義に展示されているスーラの「ピュヴィ・ド・シャヴァンヌの《貧しき漁夫》のある風景」に描かれている絵です。同じ展覧会に出品されているのですから、作品リストとか展示室の解説で、両者を結び付けて著述するなり、並べて展示するなりした方が面白いと思いますが…。
 ドニの「マレーヌ姫のメヌエット(ピアノの前のマルト)」と「ランプの傍らの娘たち」は優しい空気感がある絵で気に入りました。

 第9章 アンリ・ルソーは、「戦争」と「蛇使いの女」の2枚で1章を構成。「戦争」の中央の少女は馬に跨っていないし〜と前述の番組でさんざん突っ込まれていましたっけ。
 第10章 装飾の勝利

 このコーナーに展示されているドニの作品は第8章の2枚とは雰囲気が異なり、ミュシャっぽい印象を受けました。

 9時40分に入場し、全作品の鑑賞し終えたのは12時5分。2時間25分かかりました。どうしても最前列で、他の方の頭とかに邪魔されずに絵を観たいものでして、並んで順番待ちしてカニの横歩きで作品の前を進んで行くので、時間がかかってしまいました。他の方の頭を気にせず、「印象派は少し離れて鑑賞」を実践すれば、もう少し時間短縮できるかもしれません。

展覧会グッズより、購入した
A4ダブルクリアファイル

 粒揃いの作品で、こんなに大挙して来日していなければ、十分、1点物で目玉作品になる作品が、普通にたくさんの作品のうちの1つとして、それぞれさりげなく展示されています。考えてみれば…みなくても…贅沢な展覧会、さすが“印象派イヤー”の最大の企画展だけのことはあります。

 展覧会グッズに今回の展覧会に出品された全作品をプリントしたA4のダブルクリアファイルがありました。全作品が記載されているので、記念に購入。裏には作品名もプリントされていました。ナイスアイディア♪企画者さんに拍手☆ぱちぱちぱち♪

 予想どおりに大混雑だったオルセー美術館展。ただ、恐れていたほどではなかったとも言えます。何にせよ大人気の展覧会で、私たちが会場を後にしたときは、会場前と、エスカレーターの下の会にも長い待ち行列ができていました。朝一で行って大正解の見学でした。
 大満足で美術館を後にしたら、東京ミッドタウンで水分と栄養分の補給です。

 ここのところ、2度続けて行ってライスの量が上品だったお店は閉店していたので、前から気になっていたスープ屋さんへ行きます。

 本日のスープはじゃがいもがゴロゴロたっぷりで幸せなチーズ風味。おいしい昼食をいただいて、六本木を後にしました。

チャウダーズボウル
セット