ルノワール 〜伝統と革新 展

2010年2月

「団扇を持つ若い女」

 国立新美術館で開催中のルノワール 〜伝統と革新展へ行ってきました。

 “ルノワール”と聞いた時点で見学を即決していました。(笑)

 私のみならず日本人にはルノワール好きが多いので、かなり混雑していることを覚悟して出かけると、やはり先日のボルゲーゼ美術館展の2〜3倍の見学者がいるように感じました。
 第T章 ルノワールへの旅

 写真右側の「アンリオ夫人」はアンリオ夫人自身が長く所有していたそうで、優しい感じの絵でいかにもルノワール。今回の展覧会の目玉の1つで、ブルーの背景の場所に掛けられています。
 ほとんどの絵が普通に会場の壁紙である白地の背景なので、+αで背景の色を設定した上に掛けられているのが、いわゆる目玉作品と考えられるものでした。

左「ブージヴァルのダンス」
右「アンリオ夫人」



「団扇を持つ若い女」

 左の写真の「団扇を持つ若い女」は、今回の展覧会のチラシにも使われている、いわゆるイチオシの作品のようです。ピンクの背景に掛けられていますし、チラシの地色もピンクなので、展覧会の美術スタッフさんにとってのこの絵のイメージはピンクなのでしょう。ピンクは花の色からのイメージ?それとも女性の頬の色でしょうか。帽子の花飾りと、イヤリングの煌きが気に入りました。洋服がチェックだったのが、チラシでは全く気づきませんでした。超うかつです。

 「アルジェリアの娘」はマトリョーシカみたいな顔に思えました。
 最初、「ブージヴァルのダンス」が出品されると公式ホームページで見たとき、思いっきり「田舎のダンス」と勘違いしてしまい、「また貸してくれるなんてオルセー美術館、太っ腹〜」と思ってしまいました。すぐに勘違いに気づきましたが…お恥ずかしい。

 背景がベージュの「ブージヴァルのダンス」の女性の足元には、マッチの燃えカスやタバコの吸殻がありました。リアル。女性の顔の表情が、いい感じ。踊っている男性に、くどかれているのでしょうか。(笑) 本物の絵の方がポスターなどよりも女性が痩せて見えるような気がします。

「ブージヴァルの
ダンス」


「田舎のダンス」




 「ブージヴァルのダンス」は遠くから見ると女性の帽子がステキに見えます。

 ベルト・モリゾの娘である「ジュリー・マネの肖像」のイメージはハーマイオニー(「ハリーポッターシリーズ」の女性メインキャラ)。

 「湖畔の風景」は朝焼け?or夕焼け?

 第T章に目玉作品が集中しています。見学者がまだ少なめの時間に見学できたので、カニの横歩き状態にならずにすんでホッとしました。
 第U章 身体表現
 「泉」(岐阜県美術館所蔵)と「泉による女」(大原美術館所蔵)が同じ女性で同じポーズに見えるのは気のせいではないと思うのですが…。この2作品が隣り同士に展示され、並べて観られるのは企画展ならではですね。「泉による女」のほうが若干ぼんやり〜している感じかな。

 第V章 花と装飾画

 「テレーズ・ベラール」(クラーク美術館所蔵)、「本を持つ少年」((株)リソー教育(TOMAS)所蔵)、「縫い物をする若い女」(シカゴ美術館所蔵)は、いずれもルノワールがベラール氏の城に滞在中に描いた作品だそうです。




 「アネモネ」はアネモネにあるまじき花びらの厚さ。10倍くらいあるような…。解説で「花瓶の花」との対比を説くなら、この2作品を隣りに並べて欲しかったですね。

 「ド・ボニエール夫人の肖像」の夫人はふくよかな女性を描くルノワールにしては考えられないくらいのウエストの細さです。注文主のオーダー?

 第W章 ファッションとロココの伝統

 「レースの帽子の少女」の帽子と、「野原で花を摘む娘たち」の白い帽子が同じ帽子。ルノワールのお気に入りだったのかな。もう1人の少女の黄色い帽子の方がカッコイイと思うのですが…。
 
 ボルゲーゼ美術館展のときよりも遥かに見学者は多いけれども、心配していたほどの大混雑でもなく、渋滞したのもほんの2、3か所で気持ちに余裕を持って見学できました。
 ルノワールは見ていて気持ちが明るくなります。

 ポーラ美術館からの出展作品が多かったのが、少々気にかかりました。“ルノワール”と銘打っているので、作品の数を揃えるためにポーラ美術館から多くの絵を借りたのでしょうか。

 なんとなく、3点豪華主義という言葉が頭をよぎりました。
 昼食はチキンカレー。ライスの量が上品だったので、次は新しいお店を開拓しましょう。