アナトリア文明博物館

2007年4月



アナトリア文明博物館 入り口

 トルコ中央部に位置するアナトリア地方の文明、特にヒッタイト時代の遺物を中心とした収蔵物で世界的に知られる博物館。

 博物館として使用されている建物はもともと隊商宿として建てられたもの。

 旧石器時代からヒッタイト、ギリシア、ローマ、ビザンチン時代の収蔵品が回廊にそって見学できる。

アナトリア文明博物館
入り口付近にあるレリーフ
 ヒッタイト帝国は紀元前2000年頃にアナトリアに移住したインド・ヨーロッパ語系の民族が築いた帝国で、人類史上最初に鉄器の使用と優れた騎馬技術で大帝国を築くが、紀元前12世紀頃に侵入した海洋民族によって滅ぼされたとされている。
 都をハットウシャシュに置いていたが、帝国滅亡後、一部のヒッタイト人はその後も小国(新ヒッタイト)を築いていた。紀元前717年に新アッシリアによってケルケミシュを奪われ滅亡した。
 入り口を入ってから旧石器時代、チュタルホユックから出土した紀元前7000年から紀元前5500年の間の新石器時代の展示品が続いている。

 チュタルホユックの家屋の復元は興味深い。
 牛は力の象徴だった。

旧石器時代の壁画


チュタルホユックの出土品


地母神の座像

 チュタルホユック出土の地母神の座像。この地母神の座像が有名らしくガイドブックにも掲載されているのでチェックしました。洋の東西を問わず古代の女性は豊穣の象徴だったようだ。

 素朴ながら力強い作品が見られる。

 篠原千絵さん著のコミック「天は赤い河のほとり」を読み、古代アナトリア文明に興味を持っていた私としては、今回の旅行の訪問先からヒッタイト帝国の都であるハットウシャシュを外すに当たって、このアナトリア文明博物館で、ハットウシャシュからの出土品が多数展示されていて見学できることが決め手となっていた。

青銅製のスタンダード

 スタンダードと呼ばれる造形物はまだ何に使われていたか分かっていない。

 左右のスタンダードは、「天は赤い河のほとり」に小物として使われていたりするので、愛読者としてはもう垂涎の作品。愛読者魂が炸裂して喜び勇んで撮影した。

青銅製のスタンダード

 個人的趣味爆裂ではあるけれど、左のスタンダードは某ガイドブックで紹介されていたり、右のスタンダードはアンカラ市内の交差点に巨大なオブジェとして置かれていたり、有名であることは確か。
 ハットウシャシュの王の門にあった戦士の像の本物がこのアナトリア文明博物館にあるのをガイドブックで確認したのが、ハットウシャシュ行きを断念した大きな要因だった。

 アナトリア文明博物館内でのフリータイムは25分だった。この25分間で個人的趣味の煩悩の赴くままにあちこち見て廻るのは、写真を撮りながらだと、見て廻る=走り回るに近いことになっていた。
 一口に博物館内と言っても、古ヒッタイト時代、新ヒッタイト時代に絞ってもこのような状態だった。走り回りつつ幸せな時間だったのも事実。でも、もう少し時間を取って見学したかったのも本音。ツアーですから、仕方ないでしょう。取りあえず、主目的だった上の2つの青銅製のスタンダードと右の王の門の戦士の像は見られましたから、その点では満足している。

ハットウシャシュの
王の門にあった戦士の像