棒ノ嶺(棒ノ折山)

2011年11月

 紅葉狩りのドライブしよう!が発端となって急遽決まった棒ノ嶺(棒ノ折山)行き。ドライブメインなのでクルマで出発です。
 ガイドブックによると山頂表示は棒ノ嶺で、山の名前の由来は鎌倉時代の武蔵国の武士 畠山重忠が鎌倉に行く途中でこの山にさしかかったときに手にした棒が折れたことから棒ノ折山ともいうそうです。ここでは、以下、山頂表示にしたがって棒ノ嶺で統一します。

白谷沢登山口

 白谷橋近くの駐車スペースに駐車して、白谷沢登山口からスタート。

 ガイドブックに水場と表示されていた泉は、2011年11月時点で水はありませんでした。一時的?それとも…?

 白谷沢コースは、登山口からしばらくの間は、微かな水の音を木立ちの中を上っていきました。
 じょじょに水音が近くなり、やがて沢沿いのコースになります。そう、コースは沢沿いを歩き、ときにはこの水の流れを何回かクロスして進むのです。
白谷沢コース

 流れを渡るときは、滑らなさそうな石、動かなそうな石を見極めながら歩くので、亀の歩み。でも、何だかとっても楽しいゾ♪
 私よりもさらに同行者の方がこのコースを気に入って身体から「ルンルン気分」(死語)が発散されていました。(笑)

 この山歩きにタイトルをつけるなら、「沢登りはじめました」だな〜、だとど同行者と笑いあいながら上ります。

白谷沢コース


鎖場

 そして、さしかかったのが岩が迫ってくるようなゴルジュ帯。思わず、「これ、上るですか?」と自問してしまいました。
 ガイドブックを読んでゴルジュ帯や鎖場があるのは承知していましたけど、実際に現場に立って目にすると、迫力があるというか、迫力が違うというか…。百聞は一見に如かずです。

 最初に見えたのは、この鎖場だけだったので、鎖場はここだけだろうと、勝手に思い込んで上り始めたら、この後も数十m、何張りも鎖場が続いて、鎖場だし、足元の岩は濡れていて滑り易いので、これ以上ないくらい真剣に上りました。
 このとき、上りよりも下りの方が怖いだろうから、帰りは少し車道歩きがあるけど違うコースがいいかなぁなどと思ったりしていました…。

 鎖場を乗りきり、大分、ホッとしながら歩いていると、→の看板が…。棒ノ嶺には、マムシがいるのですか…。はい、気をつけます。

 更に歩くと、一旦、車道に出て、その車道を横切ったところにあずま屋がありました。歩き出してから1時間30分近く経っていたので、ナイスタイミングな休憩スポット。




 私たちが着いたときには、2組4名の方々が休憩していて、そのうち1組2名の方が、ちょうど出発なさったので、空いたベンチに腰掛けて私たちも休憩しました。
 私たちが休憩していると、前からいた1組が出発し、後から3組が到着して、やはりここで休憩。あずま屋の全てのベンチが埋まり、大賑わい。
 水分補給して、バナナを食べて、さあ出発!

 ←ここ、登山道です。写真に撮ると一面の落ち葉で、どこが登山道だか判らないですね〜。
 あずま屋を出発してすぐは、一面の落ち葉に覆われた急登が少し続いたあけれど、そのあとは、ふかふか落ち葉を踏みしめて歩くのが楽しいTHE山道でした。私たちの顔よりも大きな木の葉が落ちていて、「顔より大きい♪」と童心に帰って遊びながら進んだので、岩茸石までの15分はあっという間に感じました。
 あずま屋から岩茸石の間は、沢沿いのゴルジュ帯、鎖場とは大きく異なって、里山の風情がたっぷりの山容でした。

 岩茸石は、この石があるだけでなく、別の2方向から他の登山道と合流する場所でもあるようで、それまで前を歩いている方が見えなかったのに、ここではたくさんの方々がいらっしゃいました。

岩茸石



 岩茸石から権次入峠(ゴンジリ峠。以下、ゴンジリ峠で統一)まで、30分弱の山道は、南側斜面は杉の植林、北側斜面は雑木林の続く、ある意味とっても面白い道。

 →の長〜い木段には、気が遠くなりかけました。



ゴンジリ峠より

 岩茸石から30分弱。木段との格闘の末辿り着いたゴンジリ峠は、木々の間から、北側の展望が開けていました。
 手前の木の紅葉と、近景、遠景の山々。それまで木段で悪戦苦闘したのを一気に忘れさせてくれる山並みがそこにありました。

 ゴンジリ峠から棒ノ嶺山頂までは、ガイドブックによると15分のコースタイムなので、ゴンジリ峠では休憩せずに山頂に向かいます。
 ゴンジリ峠から棒ノ嶺山頂までの尾根道も南面が杉の植林、北面が雑木林。同時に、ここは東京都と埼玉県の都県境なので、南斜面が東京都、北斜面が埼玉県になります。
 南斜面だから植林されているのか、東京都が植林しているのか、北斜面だから植林せずに雑木林のままなのか、埼玉県は雑木林のままにするのか、などなど、勝手に想像を逞しくしながら歩きました。




 そして、またしても登場する延々と続く木段。写真では判りにくいかもしれませんが、長いだけでなく、傾斜もけっこうキツクて足にクル木段です。あ、でも、きちんと整備されているのは言うまでもありません。

棒ノ嶺山頂より

 どこまで続くのか長い長い長い木段を足元に気をつけながら必死に上っていくと、一気に視界が開けて周りの山々が目に飛び込んできました。思わず「わぁ!すごい!!」と声が口をついて出てきてしまった大展望。陳腐かもしれないけど、“すごい!”しか出てきませんでした。そして、次に出てきた言葉は、「やっぱり天気がいいといいね!」(笑)

 ここが棒ノ嶺山頂。山頂の西側と北側が開けていて、一大パノラマを展望できます。

棒ノ嶺山頂(969m)

 西側、北側が開けているので、奥武蔵、秩父、上州方向の山々が一望。先日行った鹿俣山もあれらの山々の中にあるのかなぁ。

 棒ノ嶺山頂は広場になっていてあずま屋もあり、思っていた以上に広くて、先に登頂されていた方々がベンチに腰掛けたり、シートを広げたりして、少し早い昼食を楽しんでいらっしゃいました。

棒ノ嶺山頂にて

 私たちは、下山した後に紅葉狩りしながら昼食を摂ろうと思っていたので、このときは昼食を持っていませんでした。あずま屋のベンチに座って行動食として持参したクリームパンを食べながら、「お弁当を持ってくればよかった…」。
 クリームパンを食べ終え、水分補給して休憩して一息ついてから下山準備。

 同行者に違うルートでの下山を一応提案したら、すっかり沢登りが気に入った同行者は、「来たコースを帰る!」と断言。「車道歩きイヤだし」に、私も車道を歩きたくはないので、鎖場に差しかかったら兎に角足元に気をつけることに腹を括って下山を開始しました。



 上りと違って下りでは、山道を見渡してから下るので、上りでは気づかなかった紅葉も目に飛び込んできました。朱、黄、紅、少し早い紅葉がところどころ山を彩っていました。

 私たちが下る途中、山頂を目指す方々と次々にすれ違いました。時間的に行って山頂で昼食ですよね。


 ゴンジリ峠、岩茸石と足元に気をつけながら亀の歩みで下山。足元が覚束なくて注意深く下るので、上りより下山するときのほうがコースタイムより時間がたくさんかかってしまうのです。
 岩茸石と車道脇のあずま屋の間のTHE山道は、歩き易いのでサクサク進んだのですけど。

 覚悟を決めて、鎖場、下ります!
 濡れていて滑り易い岩を足元に気をつけて下っていたのに、後ろから下りて来た方々が「うわ!」と思わず声をあげるほど豪快に尻餅をついてしまいました。もちろん、私も悲鳴をあげたのは言う間でもありません。
 →な岩場で転んだ割には、擦り傷、切り傷、アザもなかったのは奇跡?まぁ、したたか身体を打ちつけたので、身体のダメージはかなりあったようで、それまでもゆっくりペースだったのが、転んでからは輪をかけてペースが遅くなってしまいました。精神的ダメージも大きかったです。
 下山後、紅葉狩りドライブを楽しんで帰途につきました。

《参考 棒ノ嶺コースタイム》
 白谷橋(標高330m)…80分…岩茸石…25分…ゴンジリ峠…15分…棒ノ嶺(969m)…10分…ゴンジリ峠…15分…岩茸石…60分…白谷橋

《自分の棒ノ嶺の記録》
 白谷橋(標高330m)…100分…岩茸石…28分…ゴンジリ峠…17分…棒ノ嶺(969m)…15分…ゴンジリ峠…25分…岩茸石…97分…白谷橋

 ※参考コースタイムの1.5倍を目安に計画しました。登りは適宜、2、3分の休憩を何回かしました。

 ※持参品
  緑茶500mlペットボトル 1本
  ビタミン飲料 500mlペットボトル 1本
  クリームパン
  塩キャラメル
  のど飴
  バナナ

 長い時間の登りと沢登りを初めて経験。長い距離の鎖場も経験。

 天候に恵まれて雄大な奥武蔵、秩父、上州方面の風景を堪能することができました。