晶子曼荼羅・お誕生日観劇

1998.01.11(日) 帝国劇場 12:00〜


与謝野晶子 佐久間良子
与謝野鉄幹 宅麻 伸 
山川登美子 片平なぎさ
河野鉄南   若林 豪 
林  滝野  江波杏子 
鳳 籌三郎 内海光司 
増田雅子   毬藻えり

幕前

 帝国劇場に向かう前に東京宝塚劇場に行き、宝塚公演のパンフレットのみ購入。劇場内だけでなく劇場前や劇場地下売店で売っているのでチケットを持っていなくても購入できる。
 このパンフレットの最終ページ付近にジャニーズが出演した宝塚劇場公演の写真が載っているのだが、内海くんの「恋風」・「菊がさね」の写真がある。特に「菊がさね」の写真は初日から数日間だけ上演され、その後変更となり上演されなくなった幻のシーンの写真なので必見の価値あり。

第1幕

 内海くんの登場シーンは関西同人会の何やらの会合で行う劇の練習シーンから。晶子が楊貴妃で、籌三郎くんはどうも話の内容からして唐の朝廷の重臣らしい。グリーンのチャイナ服が見慣れぬものを見せていただいてどうもありがとう。m(_ _)mという感じ。この舞台を通じて籌三郎(ちゅうざぶろう)くんの着物・袴のスタイル以外の服装はこのチャイナ服のみなのでポイントの高いシーン。共通語のセリフをしゃべるのもこのシーンのみ。この後は全て関西弁。(京都弁なのかな?)

 当時の新聞記者に鉄幹の中傷記事が流布したことにコメントを求められ男らしく押し返すのが強気な表情を出そうと芝居をしていた。

 上京した晶子が身を寄せる新詩社(「明星」を発行する鉄幹主宰の同人社)で、晶子の詩集「みだれ髪」の注文の受付係をする籌三郎くん。「休憩にしよう。」と舞台からはけるときも、小道具の注文の電報と帳簿を持ってはけるところが何とも内海くんの芝居らしい律義さがでていて微笑みを誘う。

 この後、召集令状が来て日露戦争に従軍するため晶子に別れを告げ一旦帰郷するシーンでは、清々しく爽やかな末っ子くんを披露して舞台の一服の清涼剤になっていた。ここが籌三郎くんの最大の見せ場。

 籌三郎くんのシーンだけをまとめるとストーリー的に何が何やらわからないが、与謝野鉄幹という男が実に優柔不断な男で、内縁の妻、滝野がいるにも関らず、晶子と登美子にもててしまい、2人に「結婚が決まった。」と迫られても、「決めるのは君たちだ。」と言う。一見カッコイイこのセリフだが、鉄幹自身は何も決めていなくて、彼女たちが決めたらそれにただ乗って動くだけなのだ。地道な地に足のついた生活を求める滝野の実家から融資させて、晶子の詩集「みだれ髪」を出版したり、晶子と同棲しているのに、滝野が生まれた子供を連れてくると喜び勇んで抱き上げるし(この時、晶子も妊娠しているんだな。(^^;))、ここで滝野に愛想を尽かされてしまうのだ。鉄幹の行動・言動はこんなことするなんて何考えてるのだ。全く。

 滝野が一番この舞台の登場人物の中では毅然とした生き方を貫き通した人だと思う。個人的には一番お気に入りの人物だ。

幕間

 紅茶アイスを食べる。これがお気に入りでのどが渇いたときにたまに食べる。

第2幕

 新詩社の出版が時流に乗り遅れ、晶子夫婦は極貧の生活に。その中で5人の子供を産み育て、6人目を妊娠中ながら、懸命に歌を詠み、鉄幹の再起を期する晶子とは反対に、鉄幹は天才歌人の晶子にひけめを感じ夫を労咳で失った登美子と浮気を続ける。

  夫と同じ労咳になり帰郷する登美子と晶子が和解する。晶子の懸命の金策で洋行(笑(^^;))できることになり出港を待つ鉄幹にその知らせを籌三郎くんと雅子がもたらす。いきなり戦争から無事に帰ってきた籌三郎くんの登場。戦争から帰って来てから、郷里の京都で家業の和菓子屋さんの主に納まっていたのだ。(笑)なぜ雅子と一緒かというと、この雅子は最初は鉄幹にお熱だったのが、籌三郎くんも憎からず思うようになり(早い話、二股?でも鉄幹には彼女は相手にされてなかったから、そんなこともないのか。)、籌三郎くんも戦地で戦いながら思ったのは、あんなにも「生きて帰って来るのだ。」と抱きしめてくれた晶子姉ちゃんではなく雅子だったと言うのだから、”あら、まぁ”の世界。
 鉄幹からどこかに(セリフで言っていたが忘れた。(^^;))知らせてくれと頼まれた籌三郎くんは舞台中央から袖にゲタでタッタッタッタッタと駆け抜けた。袴で長いおみ足が拝見できなかったのは残念だが、「菊がさね」での走り去るシーンを彷彿とさせてくれた。かっこいい☆

 登美子のところへ洋行を取り止めて行くと言う鉄幹に土下座をしてまで、洋行を懇願する晶子。それを見ながら姉思いの籌三郎くんの胸に去来するものは何だったのだろうか。ここで籌三郎くんが1発や2発鉄幹を殴ったとしても罰は当たらないと思うのだが、舞台進行上、よい子の籌三郎くんは決してそんな過激なことはせずに晶子を見つめ、ひたすら表情で演技する。

 表情で、ね。やっと納得して船に乗った鉄幹。その船が出港した後、鉄幹と離れているのが辛くて、ついに周囲の勧めで自ら洋行を決意する晶子。スポットは晶子を照らし出しているのだが、その後ろに立つ籌三郎くんの思いつめた表情が実にいいのだ。このシーンのこの表情が今日の観劇の中のNO.1ショット。

 その後、舞台はパリでお互いの気もちを確かめ合い、晶子の帰りの船が日本に向けて出港するまでストーリーは展開し、終わる。

 舞台全体の感想としては暗転が多い・長い。「菊がさね」も多かったが、芸者衆が暗転のときに幕の前を話をしながら通ったりして、場持たせが何回かあったからまだよかったものの、今回は1回だけ、晶子の読んだ歌がスクリーンに映し出されただけで、その他はただ延々と暗転が続く。BGMまでついていて、まるで寝ろと言っているようなもの。(^^;)
 個人的な感想を正直に言えば、芝居自体の盛り上がりにも欠けて平板な印象が拭えない。

 関係ないが、俳優さんのおもしろい配役について。今回、籌三郎くん(内海光司)といい仲になった雅子を演じた毬藻えりさんは、9月〜11月の「クレオパトラ」でクレオパトラの侍女を演じ、オクタヴィアヌスさま(赤坂晃)をさんざ毒づいて、ラストではクレオパトラの後を追って自害する役だった。それが1月は籌三郎くんと嬉し恥ずかし仲良しの役なので両方の舞台を見ていると、ちょっと、ほほう〜。とか思った。

 最後に、内海くんお誕生日おめでとうございます。お誕生日に舞台で演技する生の内海くんを見ることができて幸せでした。真摯な表情が30歳の決意表明だったのでしょうか。これからもずっと見続けていきたいです。