2000.11.04 (土) 芸術座 11:30〜
北陸の名門華族の令嬢に生まれた女性・しのぶ(佐久間良子さん)が、素敵だと思われた同じ華族の男性・氷室と結婚して幸せにしてもらえると思ったのも束の間、この男性が見事な”はずれ”でちょーケチな上に女癖が悪くて、しのぶの乳姉妹・すみ(野川由美子さん)にまで手をだして妊娠させたのに知らんふりして、いけしゃあしゃあと「家の恥」とか言って追いだそうとするが、流産。その後、またしてもすみにちょっかいを出そうとしてことが露見し、すみは暇を出され、流石のしのぶも堪忍袋の緒がぶちっで離婚しようとするが、間の悪いことにしのぶが妊娠してて、子供には父親が必要だとかなんだとかで離婚話はご破算。生まれた子供が誠美くん(大人時代を内海くんが演じる。)。
しのぶとしのぶの両親は誠美くんに全てを託し、しのぶは氷室とは名ばかりの夫婦の冷たい関係。誠美くんは父親に愛されないのだ。誠美くんが自分の全てとばかりに溺愛するしのぶ。
誠美くん10才前後の頃、しのぶの家の近くに、夫の趣味は釣り、妻の趣味はドライブ(自分で運転)の鹿子木伯爵夫妻が引越して来る。
鹿子木伯爵夫人と意気投合する氷室。周囲は2人の関係に不審なものを覚える。そうこうする内に、天候の悪い日の2人はドライブの途中に崖からクルマごと落ちてご落命。なむなむ。しかも、鹿子木伯爵が何かしたようなことをぷんぷん匂わせるセリフに演出。なのに、その後の展開では、そのことにはな〜んにも触れずで何だったの?状態。だったらそんなセリフや演出はカットすればいいのに。
成長し、上京して大学に入った誠美くんは大学にはろくに通わず、良からぬご友人とお金もうけに精を出しては、失敗ばかりしてしのぶにお金の無心を繰り返し、さすがの財産家のしのぶの実家もその財産のほとんどを失う。心配して上京したしのぶに誠美くんと誠美くんの彼女・あけみは、相談ではなく結論として「結婚する。」を一方的に宣告。しのぶは奈落の底に。
失意のしのぶの元に、乳姉妹のすみが余生をしのぶに仕える気概で戻ってくる。そうこうする内にあけみは女の子を出産間もなく、他界。なむなむ。残された孫娘を育てることに生きがいを持つ。
他者から幸せをもらって幸せになることを求めていたしのぶが、幸せをあげることに幸せを見出して舞台は幕を閉じる。
明治の末から昭和の初めの激動の時代で、時代背景が違うとは思うけど、氷室みたいなしょーもない男、さっさと三行半突きつけてたたき出せばいいとか、そんなしょーもない父親じゃいない方が誠美くんにとってプラスじゃないかとか、つい思ってしまう自分がいた。それでは、舞台のストーリーが成り立たないってば。>自分
溺愛して子供に常に手を差し伸べ続けるのもいいけど、ときには差し伸べられた手を突き放すことも必要じゃないか、突き放しっ放しはよくないけど、助けるのと突き放すのとどちらがより子供にはプラスなのだろうか、いろいろ考えさせれるテーマがそこにあった。
内海くんの出色は、実家にお金の無心に来たときの、「おかあさまぁ」でしょうか。もうそれにクラクラ。(笑)あの笑顔であの甘い声で「おかあさまぁ」言われたら、もうほいほいお金出しちゃう?田原俊彦さんばりにパッと脚を伸ばして、カッコつけて椅子に座るサービスシーン(笑)もあって、このシーンは必見。
パンフレットに書かれた文章を読むと、誠美くんは”放蕩息子””不良息子”の文字が浮かぶが、実際内海くんが演じる誠美くんは、母親に溺愛されて育って乳離れ・自立ができない、ふらふら流される”ダメ息子”って感じかな。
お金を無心してもしのぶがつい出しちゃうとかだと、演出的にも”ダメ息子”を意図してるように私は思えたり……。
1年5ヵ月ぶりの内海くん、あ、違った。今年1月の「ララバイまたは百年の子守唄〜ハッシャバイより〜」の初日を観に行ったときに、客席にいる内海くんを見てるわ。えっと、お仕事で舞台に立っている内海くんを生で見るのが1年5ヵ月ぶりね。
あの〜、おやせになってません?すごく細く見えたのだけど。これから来年1月末まで3ヵ月間の長丁場の舞台なので、健康に充分留意して、盛大に「おかあさまぁ(は〜と)」でみんなの心をとろけさせて☆