質屋の女房

2001年09月29日(土) 帝国劇場 15:00〜

 今回の「質屋の女房」 敦啓くん自身にとっては商業演劇は昨秋名古屋で経験済みだが、その公演を観ていない私にとっては、商業演劇する敦啓くんを初めて観る理由で、その点、どんな感じになるのかが最大の焦点だった。

 舞台のストーリー的には、チラシを見て、そこにあった紹介から予想し得る範囲を大きく逸脱することもなく、たった一つ、森光子さん扮する質屋の女房・龍子が敦啓くん演じる・洋介を追いかけて満州に渡る以外は、枝葉はさておき、ほぼ予想通りの、正統派商業演劇だった。

 舞台が幕を閉じて1ヵ月以上。あらすじを語っても、ネタバレにはなり得ないので、少々説明すると、東京の下町で乾物屋を営む角野家の3姉妹の次女が龍子が、三女峰子とのジャンケンに負けて(後にわざと負けてあげたことが語られる)、遠縁の質屋・寅吉と結婚することになるくだりから幕が上がる。
 時がすぎ、寅吉は落語に熱中、質屋は女将さん・龍子を慕う人々で繁盛(?)。ついでに寅吉は蔦代さんとラブラブになり、子供まで設けてしまう。ちなみに龍子には子供はいない。
 トランペット吹き・眞二は龍子に想いを寄せ、真剣にでも表面ははぐらかすかのようにアタック。そんな眞二にご近所のマサコが猛烈攻撃。峰子も幸せな結婚生活を語りにしばしば姉の元を訪れる日々。あるひ、1人の陸軍将校・洋介が質屋を訪ね、田舎の父の入院・手術費の足しにするために、質草を置く。
 蔦代さん出産に絡んで、龍子さんと蔦代さんとの一触即発かと思いきや、親子が揃って暮らせるのが一番と、龍子はあっさり身を引く覚悟を披露。すったもんだの末、蔦代さんも女将さん派に。(笑)
 おりしも、2・26事件勃発。陸軍将校の洋介もこの企てに参加。ことを起こす前に龍子に別れを告げに訪れる。1本の万年筆を示し、「これに覚えはないか」と。実は洋介は龍子が寅吉と結婚する前にラブラブだった人との間に生まれ、生まれてすぐに里子に出された龍子の実子だったのだ。入院費を工面した“田舎の父”は養父。「知らない」と否定する龍子。哀しみにうな垂れ去る洋介。それを思い直して追いかけ追いつき母子の名乗りをし、心中を吐露する龍子。この芝居の最大の見せ場。
 2・26事件は失敗し、参加した洋介は罪には問われなかったとはいえ、満州に左遷。かつて手放してしまった息子を、もう2度と手放さないと、龍子は寅吉を振り切り、満州へ渡る。そして幕。
 特に新味満載とはいえないスタンダードだったが、出演者の皆さんの持ち味&持ち味を生かした演出で、芝居を楽しめた。素材も大事だけど、料理の仕方もポイント高いと改めて認識。

 ストーリー展開が物語るように、出番的には多くはない(少なくもない)が、洋介はおいしい重要な役所。そこを舞台の盛り上がりをきっちり演じ通していた。幅が広がったのね。

 役柄上、ほとんどが軍服姿。登場シーンのみ質屋に入るのに軍人であることを隠すため、昭和始めの頃の書生さんスタイルの、着物に袴。私的には、この登場シーンの衣装が一番似合ってて素敵だったな。(笑)和服なので、下に何枚タオル巻いてます?みたいな感じがしたのが新鮮だったし。(爆)……和服は昔ながらのバスト・ウエスト・ヒップの3サイズがほぼ同じ体型の方が似合うのだ。……

 しかし、だ。この舞台で、最も私にとって衝撃的だったのは、残念ながら敦啓くんの出番のない、冒頭の龍子の登場シーンだった。
 近所の子供たち=子役=本物の子供に囲まれ登場する龍子は、子供たちに“おねえちゃん”呼ばれて(呼ばせて)いた!!!
 心の中でつい、「おねえちゃん?!いや、それは。……ちゃんじゃ。年齢的に”ひい……”でもOKでは?」などと、ストーリーと全く関係のないことでを考えてしまった。森さん&制作者さん方、すみません。m(_ _)m

 「質屋の女房」初日だったので、東山さん初め、某J事務所のアイドルさん方、岡本くん、TOKIOの長瀬くん(だったと思う)を除く4人とあと、今井くん?と誰でしょう?判らなかったの。勢揃いで東山さんを中央に前から10列目くらいの席に陣取って観劇していた。なんだか壮観だった。張り切ってチケット獲ったため、10列目よりも前だったので、思いっきり後ろを振り返ってミーハー丸出ししてしまった。(^^;) ちょっと恥ずかしくて、でも、ミーハー魂が勝ってしまった、そんな一瞬だった。