2016年度 企画展

原爆の図はふたつあるのか

2016年3月19日(土)~6月18日(土)

1950年代に再制作され、「本作」と同時期に全国を巡回した「もうひとつの」《原爆の図》三部作を特別公開。

四國五郎展 シベリア抑留から『おこりじぞう』まで

2016年6月25日(水)~9月24日(土)

峠三吉の私家版『原爆詩集』(1951年)の表紙絵や絵本『おこりじぞう』(1979年)の挿絵を手がけるなど、広島で生涯をかけて「反戦平和」を見つめながら表現活動を続けた画家・四國五郎の回顧展。

壷井明展

2016年10月1日(土)~11月12日(土)

東日本大震災・福島原発事故から5年。3.11後の福島に足を運び、人びとの体験を聞いて絵画化した《無主物》を描き続ける壷井明の仕事を紹介する。

今日の反核反戦展2016

2016年11月19日(土)~2017年1月14日(土)

実行委員形式で開催される自由参加の「反核反戦展」。今日の問題意識が多数の表現者によって浮かび上がる。

美しければ美しいほど

2017年2月7日(火)~4月9日(日)

1984年、丸木夫妻は《沖縄戦の図》を描いた。それから30年あまり、沖縄のなにを見て、なにを聞き、どのように表現することができるだろうか。


これまでの企画展

1999~昨年までの企画展の案内はこちらのページをご覧ください。


2017/2/7~4/9 美しければ美しいほど The more beautiful it becomes


参加作家 嘉手苅志朗、川田淳
協力 
佐喜眞美術館、Barrack、木村奈緒、西尾祐馬
イベント共催 
早稲田大学メディアシティズンシップ研究所
企画 
居原田遥


展示に関するご注意
川田淳による2作品「終わらない過去」、「生き残る」は、上映形式の展示となります。
上映開始時間は下記の通りです。
なお作品構成の都合上、上映開始後の途中入場はご遠慮下さい。
あらかじめ、下記の開始時刻にあわせてご来場いただきますよう、お願いいたします。
―――――――――――
09:40-10:55 「終わらない過去」
11:00-12:15 「終わらない過去」
12:20-13:05 「生き残る」
13:10-14:25 「終わらない過去」
14:30-15:45 「終わらない過去」
15:50-16:35 「生き残る」
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沖縄の風景が美しければ美しいほど、やさしければやさしいほど、沖縄戦の惨劇は胸をえぐる。
                                     『おきなわ しまのこえ』丸木俊のテクストより

1984年、丸木夫妻は《沖縄戦の図》を描きました。
それは絵画というメディアを通じて、沖縄戦の恐怖を今日まで伝える作品です。
それから30年あまりが過ぎた現在。
沖縄の、なにを見て、なにを聞き、どのように表現することができるのでしょうか。


展覧会によせて

はじめて丸木夫妻の絵を目にしたのは、私がまだ小学生の頃でした。
それは、沖縄県の佐喜眞美術館にある《沖縄戦の図》という絵です。そこに描かれているのは、沖縄戦。美しかったはずの沖縄が血と泥にまみれ、死体と暴力で埋め尽くされた様子です。実際の戦争を経験せずともこの《沖縄戦の図》を目にすると、恐怖を抱かずにはいられない。それは、あの戦争から遠く離れた現在でも覚える恐怖なのだと感じます。

沖縄では今でも、戦争を忘れないための様々な取り組みが行われています。とりわけ学校などの教育機関では平和学習が徹底されています。例えば、戦争経験者の体験を直接聞く機会を設けたり、慰霊の歌を歌ったりと、多様な手段をもって、平和教育がなされています。私が通っていた小学校でも《沖縄戦の図》をもとに描かれた絵本、『おきなわしまのこえ』は課題図書に指定されていて、毎年かかさず手にとり、目にしていました。沖縄で育つとこの『おきなわしまのこえ』を繰り返し目にし、戦争を語る声を幾度となく耳にする。そうやって繰り返し沖縄戦のイメージを見てきたからこそ、知らないはずの戦争に強い恐怖を抱くのです。

1984年、丸木夫妻は広島の原爆を描いたのちに、はじめて沖縄を訪れました。当時、復帰直後の沖縄は、「本土並み」を目指した急速な社会成長の最中にあり、すでに戦争は過ぎ去った歴史となっていました。しかしそのなかで彼らは、数多くの場所を訪れながら沖縄の風景をその目で見て、多くの戦争経験者の声に耳をかたむけ、連作となる《沖縄戦の図》を描いたのです。

それからさらに時が過ぎた今日。現在の沖縄のなにを見て、何を聞いているのでしょうか。
沖縄県北部に位置する高江ではヘリパッド基地の建設が強行され、辺野古では海上基地の建設が進行しています。
反対の声をあげる人々に対し、国は暴力をふるい、排除を強います。また、その状況が全国報道で映し出されることは殆どありません。

沖縄の風景はいまでも、あるいは現在だからこそ優しく、そして美しく見えるのだと私は思います。
それはかつての丸木夫妻が目にし、耳にした沖縄から、どのように変容したのでしょうか。
今日ここから、私たちは沖縄のなにを見て、なにを聞くことができるのでしょうか。

                                                    居原田遥


参加作家略歴


嘉手苅志朗 Shiro KADEKARU
1985年沖縄県生まれ。2014年沖縄県立芸術大学大学院絵画専修卒業。近年では歌や既存の小説をモチーフにして、自身の出身地でもある沖縄を背景に虚構的な映像を制作。主に、「直感のジオラマ展」 (2014年 福岡市立美術館特別展示室B)、「群馬青年ビエンナーレ2015」(群馬県立近代美術館 2015年)、「社会と芸術」(浦添市美術館 2015年)「VOCA展2016」(上野の森美術館 2016年)、the 5th Taiwan International Video Art Exhibition(鳳甲美術館 2016年)などに参加。

 
画像 左:《interlude》 右:《彼らの声》

川田淳 Jun KAWADA
1983年埼玉県生まれ。2007年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。IKEAでゲリラ的に作品を制作し発表するものや、マクドナルドで何も注文せずに店員をただ60秒間見つめる作品等、自身の行為を記録したものを主に映像作品として発表。主な個展に「終わらない過去」(東京都、2015年)「ケンナイ」(広島芸術センター、広島県、2013年)、「まなざしの忘却」(22:00画廊、東京都、2012年)。近年では他に「DMZ Pilgrimage」(South Korea DMZ Piece-Life Hill、韓国、2015年)、「When the Wind Blows / 風が吹くとき」(Millennium Court Arts Centre、北アイルランド、2015年)、「Screen」(HIGURE 17-15cas、東京都、2014年)などに参加。

 
画像 左:《終わらない過去》 右:《生き残る》


企画者略歴

居原田遥 Haruka IHARADA
1991年沖縄県生まれ。2014年東京芸術大学音楽文化学専攻修了。沖縄をはじめ、アジア圏の芸術運動、オルタナティブ・カルチャーを関心の主軸とし、企画や展覧会などを行う。またスペース「特火点-tochka」を運営。主な活動に、「doubles2 間(のめ)」(WAITINGROOM、東京都、2016年)キュレーション、「寄り道キャラバンプロジェクト」(アジア7都市、2015年)ディレクション、ドキュメンタリー映画《Constellation》(中森圭二郎監督、2016年)共同制作。川田淳個展「終わらない過去」(東京都、2015年)企画など。

会期中の関連企画

●シンポジウム「沖縄の情報は本当に伝えられていないのか」
3月26日(日) 15時より 予約不要・無料(要展覧会チケット)
登壇者
伊藤守(メディア研究/早稲田大学教授)
津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
毛利嘉孝(社会学/東京芸術大学教授)
モデレーター 木村奈緒(フリーライター)
実施協力 早稲田大学メディアシティズンシップ研究所

*会期中には他にもイベントを開催する予定です。
詳細は決まり次第、丸木美術館WEBサイトでお知らせします。