2012年度 企画展

今日の反核反戦展2012

2012年10月20日(土)〜11月17日(土)

池田龍雄を呼びかけ人とし、反核反戦をテーマとする自由参加形式の展覧会。
2005年に故・針生一郎が提案し開催した企画展の志を受け継ぐかたちで毎年恒例となっている企画。
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本橋成一写真展「屠場」

2012年11月23日(金)〜2013年1月19日(土)

大阪・松原屠場の労働現場を20年にわたって記録し続けた写真家・本橋成一による写真展。
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丸木美術館クラブの10年

2013年1月26日(土)〜3月2日(土)

10年にわたって毎月開催してきた「丸木美術館クラブ」工作教室の作品展。
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遠藤一郎展

2013年3月9日(土)〜3月24日(日)

車上生活を続けながら全国各地で芸術活動を展開し、震災後に精力的に東北支援も続ける 「未来美術家」遠藤一郎の個展を予定。
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これまでの企画展

1999〜昨年までの企画展の案内はこちらのページをご覧ください。



今日の反核反戦展2012

そこに美術の誇るべき存在価値がある ――すべての核・あらゆる戦争にノーを――
                                                    池田龍雄


 フクシマの原発が壊れて、無数・無限とも言うべき大量の放射能が飛び出してから、早や一年有半になろうとしているが、それにより、地域の人々が受けた甚大な被害は言わずもがな、日本国民全体が被った難儀はいっこうに無くなりそうもないにもかかわらず、政府は、いち早く収束宣言をして、人々の眼を現実から逸らすことに汲々としている。おのれに都合の悪いことは、できるだけ隠蔽し、あるいは嘘をついて事実を歪曲してしまうやりかたは、戦時中のあの、一億国民を見事に籠絡した「大本営発表」と同じ根を持った政治権力の相も変わらぬ常套手段である。

 われら国民は、断じてその術中に陥ってはならない。いやしくも真実を見る目を備えている筈の芸術家なら尚更のことだ。芸術表現は「虚構」(フィクション)のかたちをとるけれども、それは物事の「真実・真相」つまり「まこと」を現わすための仮の装いであって、現実を見る眼が濁っていたり曇っていては真の表現は覚束ない。

 美術もまた「芸術」とよばれるものであるなら、決して例外ではなかろう。20世紀以降、美術表現の方法やその領域は多種多様、際限もなく広がってきたが、その根本に横たわる本質まで雲散霧消したわけではないだろう。昔も今も人がヒトである限り、その心に大差があろう筈はない。今日、芸術と言われているあらゆる表現のその根底にある「こころ」が、初めて「絵」を描き始めた頃の太古の人々のその「こころ」と、一体どれだけ隔たっているだろうか。現在、わたしたちがラスコーやアルタミラの絵に感動するのは、その隔たりがないことの証ではないのか。絵は、美術は、人間の内的自然から芽をふき、外的自然に倣って形を成したものである。文化(culture)という言葉の語源に「耕す・耕作する」の意味があることを決して忘れてはならないだろう。

 ところが人類は、その長い歴史に比すれば、ついこないだ、とも言うべき僅か二〜三百年前から、ヨーロッパ辺りで急速に科学・技術を発達させ、「資本主義」という制度の下で傲慢にも、至る所に「人工」という垣根を巡らし、生活を著しく自然から切り離し、非自然もしくは反自然的にしてしまった。そして今や、複雑怪奇且つ膨大に膨れ上がり、都市化し、IT化し、グローバル化して末期的様相を帯びた金融資本主義の下で、個々の人間は全体的に殆ど生の自然から疎外された状況に置かれている。それ故に芸術は、なかんずく、より深く自然を内包している美術は、そのような疎外状況からの脱却に寄与すべき役割を担っていることを自覚しなければなるまい。

 それには、何よりもまず現実――われわれを取り巻いている外部の現実――から及ぼされる有形無形の理不尽な圧力に、そのまま唯々として押し流されない気構え、流れにはしなやかに逆らい断固として拒む心構えが必要である。その圧力とは、現体制が保持している権力や既得権益を、いつまでも維持し更に拡大しようとする政治力学の生み出すまがまがしい力、すなわち、財界・官界・学界などの上部構造と結託して、国民であるわれら個々の人間をおのれの都合によって勝手に操ろうとする力のことだ。それは、人間性や個性はおろか人の命さえ無視しても、経済発展、開発開化を優先させ国力強化を計ろうとする力だ。何よりも、今回の原発事故に関する怪しげな処置、不都合な政策がその現われである。「大本営発表」と同類のまやかしの報道。放射能の被害はまだまだ続いているにもかかわらず、何とか再稼働を実現しようとする隠微な策動……。だが悲しいかな、世論を形成する責を負うマス・メディアにもそれに抗す決定的な力はない。

 そこにこそ芸術の、そして美術の、高く誇るべき存在価値があるのではなかろうか。芸術表現は心の真実に根ざしている。その心で、目の前のおかしな現実、不自然に歪んだ世界に、はっきりと“ノー”を突き付けようではないか。ここは作品の形式、様式を問うところではなくその優劣可否を評価をする場でもない。少なくとも「反核、反戦」をうたったこの展覧会に参加する人に原発を肯定する者はいない筈だから、出品する、ということそのことが既に明確な“ノー”の意思表示とみなすことが可能である。

 そう、ここで改めて言おう、すべての核にノーを、あらゆる戦争にノーを……と。









〈出品作家〉
青山穆 飯田晃一&シュガーライス・センター&puku 飯田俊人 池田龍雄 稲垣三郎 井上活魂 イノチコア(石川雷太・羅入・鷹塀三奈・加藤瀬巳奈・他) 岩本幸生 潮田友子 大津年雄雄 大西弘之 大平右太江 沖田利紀 小畑和彦 影山あつこ 加藤世紀 上江智之 上條明吉 如月愛 喜屋武貞男 國重陽子 黒田オサム 光山茂 小林成行 小林政雄 小堀八千代 小堀令子 近藤あき子 斉藤禮子 酒向節子 佐々木徹 笹祥里 佐藤俊男 澤畑天兵 塩川吉廣 須部佐知子 鷲見純子 清野光男 清野裕子 セキ ジュン 千正博一 武田美通 田島和子 田中栄一 谷口僚 たべ・けんぞう 出店久夫 永松健 中村安子 奈良幸琥 信木総一郎 早光亮介 原健吾 原田一 ヒーロー伊藤 平林拓也 平松利昭 平山延子 古田由美子 星野文昭 本多和夫 本多文代 前山忠 増田敏郎 町田昌之 松本弘 万年山えつ子 三木祥子 満窪篤敬 南照子 宮川chapa未都子 宮下泉 宮部真知子 村田和雄 村田訓吉 薬師寺波麻 八鍬瑞子 柳賢男 山川靖夫 山下恵美子 山田實 山内佳子 山本文子 横前裕子 吉岡セイ 米山力


〈特別出品作家〉
Kim Seo-kyeong Park Yon-bin

 この2作品は、韓国・民族美術人協会に所属する2人の作家の作品です。
 作品は去る8月東京都美術館で開かれた「第18回JAALA国際交流展−2012」に出品されました。しかし会期中に東京都美術館より、政治的主張の強い作品の展示を禁止した使用規定に該当するとして撤去を求められ、表現の自由を基とする反論、抗議をしましたが結果的にやむなく会期途中での展示終了となりました。
 今回、原爆の図丸木美術館での「今日の反核反戦展2012」にご厚意を得て出品させていただきました。観客の皆さんによくご覧をいただき、美術行政の芸術表現に対する視点についてお考えをいただきますようお願いいたします。(JAALA美術家会議)

オープニングレセプション

10月20日(土)午後2時
出品作家交流パーティ、パフォーマンス公演などが行われます。
参加自由(当日の入館券が必要です)
当日は、午後1時に東武東上線森林公園駅南口に美術館の送迎車が出ます。

映画上映特別企画・川越スカラ座 『いわさきちひろ〜27歳の旅立ち〜』



10月24日〜11月2日(火曜定休)
絵本作家いわさきちひろの知られざる人生に迫った記録映画。戦争で拭いきれない傷を負ったちひろの思いや、丸木夫妻との関わりも紹介されます。
 上映期間中、丸木美術館と川越スカラ座では、お互いの半券を持参すると入場料が割引となる協力企画を行います。
 川越スカラ座は300円(友の会会員証も可、一般のみ)、丸木美術館は200円の割引となります。詳しいお問い合わせは、川越スカラ座(川越市元町1-1-1 電話049-223-0733)または丸木美術館まで。