原爆の図 第2部 《火》
青白く強い光。爆発、圧迫感、熱風
――天にも地にも人類がいまだかつて味わったことのない衝撃。
次の瞬間に火がついた。
めらめらと燃えあがり、広漠たる廃墟の静寂を破って、
ごうごうと燃えていったのでありました。
うつぶせて家の下敷きになったまま失心した人、
気がついて抜け出ようとして、
紅蓮(くれん)の 炎につつまれていった人。
グラスの破片がざくりと腹につきささり、
腕がとび、足がころがり、
人々は倒れ、 焼け死んでいきました。
倒れた柱の下敷きになり、こどもを抱いたまま、
母親は逃れ出ようとあせりました。
「早く早く」
「もうだめです」
「子供だけでも」
「いいえ、あなたこそ逃げてください。
わたしはこの子と死にます。路頭に迷わすだけですから」
母と子は助け出そうとする人の手をふりきって、
炎にのまれていきました。
(原爆の図 第2部 《火》 1950年 屏風四曲一双 縦1.8m×横7.2m)















