秋だねー、なるほどくん。
そうだなあ。
とゆーわけでっ! マツタケが食べたいよー、なるほどくーん!
ええええええッッ!! むむ、無理だよマツタケなんて!!
えーーーっっ!! なるほどくん弁護士でしょ! 高給取りなんでしょーー!!
そんなことないよ。ぼくは刑事事件が専門だからね。民事を扱うと儲かるけど、刑事はそれほどでもないんだ。
ぶーっ。なるほどくん、今からでも遅くないよ! 民事専門に転向しよーよ!
そしてあたしにたくさんマツタケ食べさせてー!
できなくもないけど、しないよ。ぼくは味方のいない孤独な依頼人のための弁護士になるんだから。
ちえ。なるほどくんが出世したら、たくさんゼイタクできると思ったのに……。
真宵ちゃんこそ、倉院流霊媒道は名誉を回復したんだろ? シゴトの依頼とかこないの?
うーん……あたしまだ若いから。あんまり信用されないんだよね。大叔母様とかはそこそこシゴトが戻ってきたって言うけど。
それに生まれたときから清貧生活の身についたあたしに、いまさら自分のお金でゼイタクできるわけないじゃないっ!
………………………………。
ともかく。ぼくにもマツタケ買えるお金なんてないから。ほら、インスタントの松茸のお吸い物でガマンしよう。
そんなのヤだよー! せっかく秋なんだから、マツタケ食べようよー!
困ったなあ。ないものはないんだけど……。
あーん食べたいよー!
マツタケマツタケーーーー!!!
…………で。
その流れでどうして私のところへ来るのか、聞かせてもらえるかな?
いや、ほら……。御剣、高給取りだろ?
わーい! マツタケマツタケーーーー!!!
ほら、真宵ちゃんもこんなに喜んでることだし。
だからといって、私にはそんな高いものをオゴる義理などないっ!
まあまあそう言わずに。オマエいつも海外のあっちこっちに行ってるじゃないか。
あれは旅行ではないっ! シゴトで海外の法律を学んでいるのだっっ!
御剣検事、今日はよろしくお願いしますねっっ!!(目がキラキラ)
(うっ……!) …………し、しかしだな、真宵くん…………。
(ガラッ)失礼するッス!
イ、イトノコギリ刑事……
じっ、自分は! 恥ずかしながらマツタケなど、生まれてこのかた見たことすらなく、じ、自分はぁぁぁぁ!!
ええい、キサマもか! だから私はマツタケを奢る義理などっ……!
わーーい! マツタケ! マツタケーー!
マツタケッス! マツタケッスゥゥゥゥゥ!
……………………
……もうこの期待を裏切るのは無理そうだぞ。
くっ、原因が何をヒトゴトのように……!
…………仕方あるまい。成歩堂、近所の八百屋にこの金を持って(ごにょごにょ)…………。
ええっ!? ……わ、わかった。しばらく待ってろよ。
(ガラガラッ)ただいまー。
あっ、遅いよなるほどくーん! 待ちかねたよー!
ささ、早くこっち来るッス! マツタケ様の顔を見せるッス!
遅かったな。すでにホットプレートの用意はできているぞ。
……ホットプレート……ホントにやるんだ、御剣……。
むろんだ。ほら、その荷物をよこせ。きちんと買ってきたのだろう?
あ、ああ……(なあ、御剣)
(ん、なんだ)
(本当にこれで良かったのか? マツタケ、たったの2本だぞ)
(ああ。1本を細かく刻んでお好み焼きの中に入れ、もう1本を焼き松茸にする)
(真宵ちゃんとイトノコ刑事がそれで満足するのか?)
(するな。考えてもみろ、あの二人が欲しいのは『松茸を食べた』という達成感だ。
松茸のダイゴミは匂いにもっとも象徴される。つまり焼き松茸で嗅覚を満足させ、お好み焼きで満腹にさせれば、おそらくそれで満たされる)
なるほどくーん! 御剣検事ー! マツタケまだなのー?
そう急かさないでくれ真宵くん。今調理して持ってゆこう。
(ぼそっ)……御剣……おまえ、けっこうセコいかも。