ぱちぱちお礼小咄 逆裁その3


秋だねー、なるほどくん。

そうだなあ。

とゆーわけでっ! マツタケが食べたいよー、なるほどくーん!

ええええええッッ!! むむ、無理だよマツタケなんて!!

えーーーっっ!! なるほどくん弁護士でしょ! 高給取りなんでしょーー!!

そんなことないよ。ぼくは刑事事件が専門だからね。民事を扱うと儲かるけど、刑事はそれほどでもないんだ。

ぶーっ。なるほどくん、今からでも遅くないよ! 民事専門に転向しよーよ!
そしてあたしにたくさんマツタケ食べさせてー!

できなくもないけど、しないよ。ぼくは味方のいない孤独な依頼人のための弁護士になるんだから。

ちえ。なるほどくんが出世したら、たくさんゼイタクできると思ったのに……。

真宵ちゃんこそ、倉院流霊媒道は名誉を回復したんだろ? シゴトの依頼とかこないの?

うーん……あたしまだ若いから。あんまり信用されないんだよね。大叔母様とかはそこそこシゴトが戻ってきたって言うけど。
それに生まれたときから清貧生活の身についたあたしに、いまさら自分のお金でゼイタクできるわけないじゃないっ!

………………………………。
ともかく。ぼくにもマツタケ買えるお金なんてないから。ほら、インスタントの松茸のお吸い物でガマンしよう。

そんなのヤだよー! せっかく秋なんだから、マツタケ食べようよー!

困ったなあ。ないものはないんだけど……。

あーん食べたいよー!
マツタケマツタケーーーー!!!



…………で。
その流れでどうして私のところへ来るのか、聞かせてもらえるかな?

いや、ほら……。御剣、高給取りだろ?

わーい! マツタケマツタケーーーー!!!

ほら、真宵ちゃんもこんなに喜んでることだし。

だからといって、私にはそんな高いものをオゴる義理などないっ!

まあまあそう言わずに。オマエいつも海外のあっちこっちに行ってるじゃないか。

あれは旅行ではないっ! シゴトで海外の法律を学んでいるのだっっ!

御剣検事、今日はよろしくお願いしますねっっ!!(目がキラキラ)

(うっ……!) …………し、しかしだな、真宵くん…………。

(ガラッ)失礼するッス!

イ、イトノコギリ刑事……

じっ、自分は! 恥ずかしながらマツタケなど、生まれてこのかた見たことすらなく、じ、自分はぁぁぁぁ!!

ええい、キサマもか! だから私はマツタケを奢る義理などっ……!

わーーい! マツタケ! マツタケーー!

マツタケッス! マツタケッスゥゥゥゥゥ!

……………………

……もうこの期待を裏切るのは無理そうだぞ。

くっ、原因が何をヒトゴトのように……!
…………仕方あるまい。成歩堂、近所の八百屋にこの金を持って(ごにょごにょ)…………。

ええっ!? ……わ、わかった。しばらく待ってろよ。



(ガラガラッ)ただいまー。

あっ、遅いよなるほどくーん! 待ちかねたよー!

ささ、早くこっち来るッス! マツタケ様の顔を見せるッス!

遅かったな。すでにホットプレートの用意はできているぞ。

……ホットプレート……ホントにやるんだ、御剣……。

むろんだ。ほら、その荷物をよこせ。きちんと買ってきたのだろう?

あ、ああ……(なあ、御剣)

(ん、なんだ)

(本当にこれで良かったのか? マツタケ、たったの2本だぞ)

(ああ。1本を細かく刻んでお好み焼きの中に入れ、もう1本を焼き松茸にする)

(真宵ちゃんとイトノコ刑事がそれで満足するのか?)

(するな。考えてもみろ、あの二人が欲しいのは『松茸を食べた』という達成感だ。
松茸のダイゴミは匂いにもっとも象徴される。つまり焼き松茸で嗅覚を満足させ、お好み焼きで満腹にさせれば、おそらくそれで満たされる)

なるほどくーん! 御剣検事ー! マツタケまだなのー?

そう急かさないでくれ真宵くん。今調理して持ってゆこう。

(ぼそっ)……御剣……おまえ、けっこうセコいかも。



秋の味覚シリーズ。逆転裁判は日本における高級食材の代名詞、マツタケです。
きっとマツタケを食べたことのない真宵ちゃんは、マツタケに神聖なイメージすら
持っているに違いない。とゆーことで彼女に主張させてみました。
なるほどくんはセコいと言ってますが、きっと真宵ちゃん&イトノコ刑事の欠食児童コンビに
心ゆくまでマツタケ食べさせたら、どんなに見積もっても彼の給料の半月分はふっとびそうだし。
てゆーか本来公務員であるはずの検事が、しかも一介の20代半ばの公務員が、なぜあんなに
もらってるのか謎です。親の遺産かと思いきや巌徒局長は「いっぱいもらってるんだし」と……。(悩)