セイバー。おやつにしようか。
はい、シロウ。今日は何でしょうか?
今日は秋の味覚だぞ。八百屋で安かったから買ってみたんだ。
……? これはたしか……葡萄と言いましたでしょうか。
あれ、セイバーはブドウ見るの初めてだっけ?
ええ。ワインの原料になる果物、ということは知っていますが……私の郷里では育たなかったもので。
そっか。これは生で食べてもうまいんだぞ。デラウェアって品種で、この国では1番一般的なやつなんだ。
ほら、皮は食べられないからこうやって……(ちゅるっ)
(ちゅるっ)……ふむ、なかなか興味深い。多少手間がかかりますが、この食感は初めてです。
まだまだあるから、どんどん食べてくれよ。
はい。ぜひ。 (ちゅっ……こくこく、ちゅっ……こくこく)
………………………………
ふむ……(ちゅっ、こくこく)…………シロウ? どうしたのです、口元をおさえたりして。
あ、いや、なんでも……。ただ、ちょっと想像以上に艶めかしいなって…………。
はい?
ああもう、なんでもないっっ! いいからブドウ食べててくれっ!
はあ……よくわかりませんが了解しました。っ、あ……。
あ、落ちたぞ。(ひょい)――――ほら、セイバー。
すみません、ありがとうございますシロウ。(―――はむっ)
セセセセセイバーっっ!? なにゆえ俺の手から直接っっっ!!???
――――、あ…………! す、す、す、すみませんシロウ!! その、差し出されたもので、つい…………!!
あ、いや、別に、謝られるほどのものでもないし…………。
………………………………(照)
………………………………(照)
くああああああああ!!!
青少年のラブコメ禁止!! なにをみんなの共有空間でイチャついとるか!!
甘いぜ甘いぜ甘くて死ぬぜーーーー!!!
タイガにサンセーーー!!
なによシロウのバカーーー! 二人っきりの上にこんなラブラブ空間作り上げちゃってーー!
わたしもシロウとイチャイチャしたーーーい!!
わっ! バカ、竹刀持ち出すな藤ねえっ! イリヤも! なんかっ、なんかおかしな魔力の渦がっ……!
シ、シロウ!? 二人ともお止めください、大河、イリヤスフィール!
なんでさー?
なんでさー!
いいからやめろぉぉぉおお!!
セイバー、昨日はひどい目にあったから、今日は違うブドウ買ってきたぞ。食べるだろ?
はい、いただきます。……それから申し訳ないシロウ、昨日は私のせいでシロウが……。
気にするなって。あれはセイバーのせいじゃないし。あの二人が暴走するのはいつものことだしさ。
ほら、今日買ってきたのは巨峰っていう品種。うまいぞ。
これは……昨日に比べ、ずいぶん大きいのですね。
そうだな。これは昨日のみたいに食べられないから、ちゃんと皮をむいてから食べるんだ。こうやって。
なるほど。……とっ、これは……むう…………。
あ、それじゃ力入りすぎ。
――――――これは……難しい。
そうかなあ。じゃあ俺が剥くから、セイバーはそれを食べればいいな。
なっ、それはダメですシロウ! それではシロウが皮をむくだけの係になってしまいますし、だいいち私はそんな子供ではありません!
でも苦手なんだろ? いいさ、今日のところはこれで。ほら、次のむけたぞ。
はい、ありがとうございます。……ではなくて! 聞いているのですかシロウ!
いいからいいから。誰にだって苦手はあるんだ。逆にセイバーがなんでも俺よりできたら、男としてはちょっと不甲斐ないもんだぞ。
それはそうかもしれませんが……。
だからさ。今日のところはセイバーの苦手なところを俺がカバーするから。
子供みたいでイヤだっていうんなら、そのうち上手くなればいい。ほら、次。
……………………。わかりました。ありがとうございます。(はむっ)
……………………、――――――――!?
セイバー? どうかしたか?
いえ、何か良くないものを感じた気がしたのですが……気のせいですね、きっと。
ああ、そう何度も藤ねえやイリヤだって襲撃してこないだろ。そら、これもむけたぞ。
そうですね。――これも昨日と同じで、とても美味しいです。
そっか、良かった。
――――仲良きことは美しきかな。
けどね。人として、不必要にイチャつくバカップルに腹を立てるのは、正常な心理だと思わない……?
ふふふ……ふふ、ふふ…………ふふふふふふふ…………!
――――――――――――
師しょー、じゃなくてタイガ、わたしたちどうして道場なんかにいるの?
それはね、ここで待ってると士郎が来るような気がするからよ。弟子一号、じゃなくてイリヤちゃん。