甦る逆転 エピローグ

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成歩堂 龍一…黒
御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
宝月 茜…桃
宝月 巴…藤
罪門 恭介…紺
市ノ谷 響華…水
原灰 ススム…黄
綾里 真宵…青
綾里 春美…黄緑
板東ホテルのボーイ…灰
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


←第5話『甦る逆転』へ



同日 午後5時3分
地方裁判所 被告人第2控え室

成: (ついに‥‥
すべてが、終わった‥‥)
あ。あかねちゃん‥‥?
茜: ‥‥‥‥‥‥‥
成: な。なんで、そんなカオ
してるのかな。
たしかに‥‥お姉さんは、完全に
無実にはならなかったけど。
少なくとも、やってもいない
サツジンの罪だけは‥‥
茜: そうじゃないの!
さっき。
裁判が、終わったとき‥‥

巴: 『さすが‥‥綾里 千尋さんが
見こんだだけのコトはあります。
本当に、どうもありがとう。
‥‥成歩堂くん。
そして‥‥‥御剣くん。』
御: 『‥‥‥!』
巴: 『この3日間‥‥あなたは、
私と同じ苦しみを味わった。
‥‥よく、がんばりましたね。』

茜: ‥‥あたしだって。
あたしだって、がんばったのに。
お姉ちゃん、あたしには‥‥
なんにも、言ってくれなかった。
糸: シツレイするッス!
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
茜: ‥‥‥‥‥‥‥‥
糸: あ、あの‥‥‥じゃ、またあとで。
シツレイするッス!
成: あ‥‥イトノコ刑事!
どうしたんですか?
糸: アンタたち! ちょっと、
ワザとやってないッスか?
現職の刑事に使い走りさせた上、
来てみれば、この空気!
‥‥なんて。
ちょっと、言ってみたッス。
茜: あの‥‥。また、お姉ちゃんの
お使い、ですか?
糸: いやー‥‥今度ばかりは、
ちょっとチガうッスね。
なんというか‥‥ある種。
そう、アンタのお使いッス。
茜: あ。あたしの‥‥?
糸: アンタのために‥‥
つれてきてあげたッスよ!
茜: お‥‥お姉ちゃん‥‥!
成: い、いいんですか?
いちおう、ともえさんは‥‥
まだ、拘束中‥‥ですけど。
糸: ‥‥‥‥‥‥
みんなにはヒミツッス。
巴: あかね‥‥あなたに、ひとこと。
あやまっておこうと思って。
茜: い。いいよ、ベツに。
あたし‥‥気にしてないから。
巴: ‥‥2年前の、あのとき。
茜:‥‥‥!
巴: 生まれて初めて‥‥私は、
何も考えるコトができなかった。
叫び出しそうなキモチを必死で
押さえて‥‥ただ、1つだけ。
<<あなたを、巻き込みたくない>>
それだけ、アタマをかけめぐった。
茜: ‥‥お姉ちゃん‥‥
巴: そして、巌徒のチカラを借りて
<<真実>>をかくしとおしたの。
それが、あなたのためだ‥‥
ずっと、そう思っていたわ。
でも‥‥‥そうじゃなかった。
私は、まちがっていたのね。
茜:え‥‥‥
巴: あの事件が終わって‥‥
私は、変わったわ。
変わらなければ‥‥この2年間、
とても、耐えられなかったから。
あなたが、悲しんでいるのも
よく知っていたわ。でも‥‥!
そんなあなたに、私は
向かい合うコトができなかった。
だって、私は‥‥怖かったの。
あなたの、その目を見るのが。
あなたに<<真実>>を
知られるのが、怖かった‥‥
茜: でも! お姉ちゃんは、
あたしのために‥‥
巴: ‥‥ちがうわ。
茜:え‥‥
巴: 私は、あのとき‥‥あなたの
キモチに、目をつぶっただけ。
<<真実>>をかくすことは‥‥
あなたをあざむくだけだったのに!
茜: お姉ちゃん‥‥
巴: ホント、バカみたい。
今になって‥‥やっと、気づいた。
‥‥あかね。
ごめんなさいね。
茜: おねがい、お姉ちゃん!
あ。あやまらないで。
だって‥‥あたし。うれしいから。
巴:え‥‥‥
茜: お姉ちゃんは‥‥やっぱり。
あたしがよく知ってる、
お姉ちゃんだったよ!
‥‥あたし、信じていたから。
いつか、かならず‥‥
帰ってきてくれる、って!
巴: ‥‥あかね‥‥‥

成: ‥‥過去を変えるコトはできない。
そして‥‥あやまちは
つぐなわなければならない。
では‥‥なぜ、
つぐなわなければならないのか?
それは、きっと‥‥
その先に、
まだ”道”がつづいているから。
過去を断ち切って、今度こそ。
前を見て、歩いて行くために‥‥
‥‥ふたりを見ていて
ぼくは、そんなコトを思った。

巴: 成歩堂くん。イトノコくん。
糸: は‥‥‥はッ!
巴: 本当に、ありがとう。
また、いつか‥‥どこかで。
きっと、また会えるはずです。
‥‥そうよね? 御剣くん。
成: え。み、御剣‥‥‥?
巴: そんなところにかくれてないで、
出ていらっしゃいな。
成: (どこにかくれていたんだよ!)
御: ヒトコトだけ‥‥どうしても、
お祝いを申し上げたかった。
おめでとうございます。
巴: ‥‥わざわざ、ありがとう。
茜: ありがとうございました!
御剣検事さん!
御: では‥‥‥その。
シツレイするッ!
巴: 今回の事件‥‥
気に病む必要はないわ。御剣くん。
御:‥‥!
巴: まちがっていたのは、私たち。
あなたじゃないわ。
御: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
もう、遅い。
成:‥‥!
御: だれがなんと言おうと‥‥
私は、知ってしまったのだ。
私自身が犯した、アヤマチ‥‥
それは、変えることはできないッ!
茜: 御剣検事さん‥‥
御: それに‥‥私は、恐ろしいのだ。
局長の言った、あのコトバ‥‥

巌: 『キミは、ニクんでいるはずだ。
犯罪者を‥‥どうしようもなく。
ボクにはわかる。キミは‥‥‥
ボクと同じニオイがするからね。』
御: 『‥‥!』
巌: 『いずれ、キミにもわかるよ。
‥‥かならず。
たったヒトリで
ヤツらと戦うためには‥‥
”何が必要なのか”をね‥‥』

御: たしかに‥‥私は
犯罪者をニクんでいる。
この生涯をかけて。
彼らと戦うつもりでいた。
『たったヒトリで犯罪と戦うには、
<<武器>>が必要』‥‥
恐ろしいコトだが‥‥かねてから、
私も、同じことを考えていた。
成: ‥‥そう、だったのか‥‥
御: もしかしたら‥‥
”いつか、この私も同じコトを”
そう考えると‥‥このまま、
検事をつづけられるハズがないッ!
巴: ‥‥御剣くん。
なぜ、わからないのかしら。
巌徒 海慈も‥‥‥
あなたの師匠、狩魔 豪も。
御:‥‥‥!
巴: ふたりとも、ソンケイすべき、
本当にすばらしい戦士だったわ。
でも‥‥彼らは。
ある1点で、まちがっていたのよ。
御:え‥‥‥
巴: 『たったヒトリで犯罪と戦うには、
<<武器>>が必要』‥‥
たしかに、そうかもしれないわね。
でも‥‥よく、思い出して。
あなたは、ヒトリじゃない。
御:‥‥!
巴: 今回の法廷だって、そう。
あなたと、成歩堂くん‥‥
2人がいて初めて、
成立した<<証拠>>があるじゃない。
そうだったでしょう?
‥‥成歩堂くん。
成: え! ‥‥は、はい!
(いきなり言われても‥‥)
茜: 成歩堂さん! 御剣検事さんに
見せてあげましょうよ!
成: (‥‥御剣と、ぼく‥‥
ひとりでは、見つけることが
できなかった<<証拠>>とは‥‥)

(「証拠品リスト」を選択)
茜: こ、これは‥‥
あたしが描いた、絵‥‥!
成: すべての”反撃”は、
ここから始まった。
おまえが持っていたリストと、
ぼくが見つけた、リスト‥‥
どちらが欠けても、
この絵は完成しなかったよ。
巴: それは、きっと‥‥
グーゼンではないわ。御剣くん。
御: ‥‥‥!
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
そろそろ、時間だ。
茜: 御剣検事さん‥‥
御: それでは‥‥
私は、シツレイしよう。
あとかたづけが
残っているのでね。
宝月主席検事。
それでは‥‥お元気で。
成: ‥‥御剣!
これから、どうするんだ?
御: ‥‥‥‥‥‥‥
成: わかっているよな。
今回の、この事件‥‥
<<検事>>としての、お前自身を
”生かす”のも、”殺す”のも‥‥
決められるのは、
オマエしかいないんだ!
御: ‥‥ああ。
わかっているさ。
キミにも礼を言うよ。
‥‥成歩堂。
あとは‥‥私自身のモンダイだ。
成: 御剣‥‥
法廷で待っているぞ。
御: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
それでは、シツレイする。
巴: それじゃあ‥‥私も
そろそろ、行かないと。
茜: ‥‥うん。
あたし、会いに行くから。
巴: おたがい、もっともっと
ベンキョウしなくちゃね。
じゃあ‥‥これ。
あなたに、プレゼントよ。
茜: <<よくわかる科学捜査入門>>‥‥
巴: 私が初めて買った本なの。
よく、読んでおきなさい。
茜: あ。ありがとう、お姉ちゃん!
ベンキョウしておくからね!

成: ‥‥こうして
1つの事件は、幕を閉じた。
しかし‥‥ぼくは、信じている。
あかねちゃんと、ともえさん‥‥
ふたりの物語は‥‥きっと。
これから、また始まるんだろう。
‥‥そして、ぼくも。
ぼく自身の”再会”の
物語に向けて。
明日から、新しいキモチで
‥‥また、歩き出そう!

糸: あ。歩き出す前に、
ちょっといいッスか。
成: な。なんですか、イトノコ刑事!
糸: アンタもわかってると
思うッスが‥‥
宝月 巴主席検事は、
まだ、拘束中ッス。
茜:あ‥‥‥
成: だから、言ったじゃないですか。
大丈夫なんですか、って。
糸: 大丈夫なワケ、ないッス。
成:え。
糸: 『30分だけ、見て見ぬフリを
してくれ』と‥‥
看守たちに、たんまり
カネをニギらせたッス。
成:え。え。
茜: さすが、刑事さん!
イキなコト、しますよね!
糸: いやー。ハッハッ。
そういうコトで。
そっちの支払いのほう、
よろしくたのむッス!
成: え。え。え。
糸: 自分の給料じゃ、とてもムリッス
からねェ。‥‥あんな大金。
成: え。え。え。え。
茜: 本当に、どうもありがとう。
成歩堂さん!
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
(どうやら‥‥もう一度だけ
叫んでおいたほうが
いいみたいだな‥‥)
糸: せっかくだから、
みんなで行っとくッスか。
茜: あ、それ!
いい考えですね!
‥‥それじゃあ、
みなさん、ごいっしょにっ!


(異議あり!)


巴: あかねは、アメリカの知人に
あずけることにしました。
超一流の検視官ですから、
いいシゲキになると思います。
今回の事件で、私も検事局を
はなれるコトになるでしょう。
でも。また、ちがう立場で
かならず、現場にもどってきます。
いつか‥‥今度は、
いっしょに事件を追いたいですね。


糸: いやー、一時はどうなるコトかと
思ったッスが‥‥
どうやら今回は、違法捜査の
おとがめはナシ、というコトで。
『これ以上のペナルティは、
ある種、クビよりヒドい仕打ち』
‥‥なんでも、そういう
ケツロンになったとか。
この、イトノコギリ! これからも
イッピキの刑事を、つらぬくッス!


原: 最近の仕事はもっぱらコレ、
正門の警備と、ビリーの相談相手!
決してコレ、ガードマンに格下げに
なったのではないのでありますッ!
本日は、相棒が本官のかわりに
正門を守っているでありますが‥‥
でも、いつの日か、本官もコレッ!
捜査をしてみたいでありますッ!
本官の目標は、あのイノコリ刑事殿
でありますからしてェェェェェッ!



(おどるタイホくん、電池が切れて止まる)


罪: なんの用だい? ステーキ弁当と
真昼の決闘を楽しんでたトコロさ。
おキョウからの差し入れさ。
看守室に、カレがいるらしいぜ。
あの、カウボーイ‥‥さすがだな。
やっぱり、やってくれたかい。
バンビーナにも、とびきりのエガオ
を取り戻してやったみたいだしね。
ついでに、ビリーたちに水を
やっておくよう、言っといてくれ。


響: これで、しばらく‥‥
おキョウのカオともお別れだねェ。
さあ。このたび新発売になった
成歩堂弁当、よろしかったかしら?
一段目は、苦ぁい敗北の味。
二段目は、甘ぁい勝利の味。
大逆転の味わいが、ユメ見がちな
受験生たちに大ウケですのよ。
‥‥くれぐれも、
逆に食べませんように。


裁: 今回の事件、弁護士の最後のコトバ
‥‥私は一生、忘れないでしょう。
あの、若き弁護士‥‥‥あれ。
ナニ歩堂くん、でしたっけな?
ええと。この私も、この道に入って
かれこれ‥‥あれ。何年でしたか。
と。とにかく! そろそろ
開廷の時間なので、このへんで‥‥
あ! 木槌を忘れてきました!
それでは、シツレイしますぞッ!


真: うーん。やっぱり、
里の空気はいいなあ。
正直、たまに聞きたくなりますよ。
なるほどくんの『異議あり!』
でも! まだ、ダメなんです!
霊媒師として、一人前になるまで。
?: ‥‥真宵さまー。
午後の修行がはじまりますよー。
真: うん! 今、行くよー。
じゃ、あたしもがんばるから。
またね、なるほどくん!


ボ: ‥‥御剣サマ。
あの。御剣検事サマ?
いつもの、ストレートティーを
お持ちいたしましたが‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥
? こ、これは‥‥‥?


茜: わざわざ、お見送り
ありがとうございました!
なんか、急にアメリカに
行くコトになっちゃって。
成歩堂さん。本当に‥‥
本当に、ありがとう!
やっぱり、さみしいけど‥‥
あたし。がんばります!
この本を開けば、いつでも‥‥
お姉ちゃんに会える気がするから。

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(捜査官時代の巴と幼い茜の写真)