第1話『思い出の逆転』第1回法廷(その5)

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綾里 千尋…赤
成歩堂 龍一…黒
星影 宇宙ノ介…黄
裁判長…緑
亜内検事…茶
美柳 ちなみ…紫
呑田 菊三…灰
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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裁: ‥‥被告人。こんなコトは、
まさに前代未聞です。
成: ゴメンなさい。
亜: ゴメンですめば、ここにいる
私たち全員、クビですぞッ!
千: なるほどくん!
証拠品を‥‥
ペンダントを、どうしたの?
成: ご‥‥ゴメン、千尋さん。
ぼく‥‥ぼく‥‥
千: ‥‥もう、いいわ。
ペンダントを返してほしいの。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
食べちゃいました。
千: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?
裁: た‥‥た。たべた‥‥?
成: ‥‥ガラス製でカタかったけど。
バリバリ噛みくだいて。
‥‥う。
うえええええええええええええん!
千:な‥‥
亜: な‥‥‥‥
裁: なんという、バカな‥‥ッ!

(綾里千尋「待った!」)
千: さ、裁判長ッ! すぐに閉廷を!
なるほどくん! なるほどくん!
おなか、イタくない?
あなたが食べたペンダントには、
猛毒が‥‥!

(亜内検事「異議あり!」)
亜: ふ‥‥うふふふふふふふふふ‥‥
どうやら‥‥身をもって、
証明してくれたようですなあ。
あのペンダントには、
毒など入っていなかった‥‥と。
千: な‥‥なんですって!
亜: ジジツ‥‥、
‥‥こうして被告人は
おめおめと生きている。
毒‥‥? どうやら、新米弁護士の
妄想だったようですなあ‥‥
裁: ふ‥‥ふむう‥‥

(綾里千尋「異議あり!」)
千: そ‥‥そんなハズ、ありません!
あのペンダントには、もう毒液は
入っていなかった!
薬品の毒性が、すでに
消えてしまったと考えれば‥‥
亜: はあ‥‥。いいですかな、
新米弁護士さん。
”被告人を信頼する”‥‥
それは、タイヘンよいことです。
あなたはこれまで、つねに
成歩堂くんを信頼してきた。
成: ‥‥‥‥‥‥!
亜: しかし! それは、ワレワレも
同じコトなのです!
私は‥‥証人・美柳 ちなみさんを
イノチをかけて信頼している!
‥‥あなたのスイリは、
まちがっていたのですよ!
裁: そこまでッ!
ザンネンながら‥‥弁護人。
あなたの主張は、認められません。
千: ど、どうしてですか‥‥!
裁: 新米のあなたには
わからないかもしれませんが‥‥
法廷では、証拠品が
すべてだからです。
千: うう‥‥ッ!
(こ、ここまできて‥‥
逃げられてしまうの‥‥?)
裁: それでは、美柳 ちなみさんの
容疑も晴れたことですので、
審理をつづけたいと‥‥

(待った!)
千: な‥‥
なるほどくん!
成: ゴメン、千尋さん。
ボク、忘れてました。
‥‥こんなボクのコト‥‥
千尋さんは、ホントに
信じてくれていたんですよね。
千: なるほどくん‥‥
成: じつは、ぼく‥‥
言ってなかったことがあるんです。
裁: な‥‥なんですって‥‥!
成: あの日‥‥アイツ‥‥
呑田 菊三と会ったとき‥‥

『‥‥彼女とは、
もう会わないほうがいい。』

『そんなコト、
きみに言われたくないよ!』

『‥‥アンタのためなんだ。
きっと、よくないことが起こる。』

『う、ウソだッ!』

『いいか、聞くんだ。
‥‥あの女はなぁ‥‥‥‥‥‥‥‥
ゆうべ、オレたちの実験室から
毒薬を盗みやがったのさ。』
成: 『ど‥‥ドクヤク‥‥?』
呑: 『‥‥半年前にも、薬品のサンプルが
なくなったことがあった‥‥
あのときも、実験室に
アイツが来ていた。
盗んだの‥‥アイツしか
考えられないんだよ!』
成: 『‥‥やめてくれッ!
彼女のコト‥‥
そんなふうに言うなッ!』
千: ‥‥ホントにそう言ったのね?
呑田 菊三さんは‥‥。
亜: ば‥‥バカな‥‥!
成: それに‥‥あの日。
アイツをつきとばしたあと‥‥
シンパイになって、
あそこに戻ったら‥‥
現場に‥‥
ちいちゃんがいました。
‥‥アイツのそばに
しゃがみこんで‥‥
千: なんですって!
成: そのコト‥‥”証言しないで”って
ちいちゃんに言われてたから‥‥
‥‥ゴメンなさい!

(亜内検事「異議あり!」)
亜: さ、裁判長! こんな‥‥
被告人の言うことなど‥‥
成: 千尋さん! 教えてよ!
ちいちゃんは‥‥ちがうよね!
ハンニンなんかじゃ‥‥
千: (‥‥やはり、美柳 ちなみは
半年前にも、毒薬を盗んでいた。
そして、なるほどくんの
証言を考えれば‥‥
コタエは、1つしかない!)
被告人の証言によると、
証人・美柳 ちなみは‥‥、
呑田 菊三さんが殺害される
前の晩に、毒薬を盗んでいます。
裁: 事件の‥‥前の晩‥‥!
千: その目的は、モチロン‥‥
だれかを殺害するためです!
成: ‥‥千尋さん‥‥
裁: ‥‥そこまで言うのなら‥‥
弁護人にうかがいましょう。
千: (‥‥これが、最後のコタエ。
よく考えるの‥‥
彼女には‥‥どうしても取り戻し
たい”あるもの”があった‥‥)
裁: 美柳 ちなみさんは、だれの
殺害を計画していたのですかッ!

(「成歩堂 龍一」を選択)
千: 美柳 ちなみにとって‥‥
どうしてもジャマな人物がいた。
それは、あなたよ!
‥‥成歩堂 龍一ッ!
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
ぼぼぼぼぼボクですってェッ‥‥!

(亜内検事「異議あり!」)
亜: そ、そんな‥‥
ムチャクチャですぞ!
だいいち、亡くなったのは
呑田 菊三くんでしょうがッ!
千: たしかに、結果的には
そうなりましたが‥‥
でも‥‥呑田さんの死因は感電。
毒薬はカンケイありません。
美柳 ちなみが
毒殺をたくらんだ人物は‥‥
やっぱり‥‥なるほどくん。
あなたしか考えられないの。
裁: し、しかし! 成歩堂くんは‥‥、
ちなみさんのコイビトですぞ!
千: (ツラいでしょうね。
‥‥なるほどくん‥‥
でも、ガマンして。
カタキはとるわ。‥‥かならず)
‥‥先ほども言いましたが。
美柳 ちなみにとって
ダイジだったのは‥‥
殺人の証拠品‥‥あのペンダント
だけだったのです!
裁: それにしても‥‥なぜですか!
サツジンなどと‥‥!
千: ‥‥半年前。地下食堂で
被害者の弁護士が倒れた直後‥‥
美柳 ちなみが考えていた
ことは、ただ1つでした。
<<毒薬が入ったペンダントを
一刻も早く、始末すること>>‥‥
成: ‥‥う、ウソだ‥‥
千: 彼女の見込みは正しかった。
”証拠品”は、守られました。
しかし‥‥ここで、
大きな問題が発生した。
事件のほとぼりがさめても、彼が
それを返そうとしなかったのです!
あろうことか、
それを<<宝物>>にして‥‥
会うひと、みんなに
見せびらかしていた!
裁: ま、まさか‥‥
そのために、成歩堂くんを‥‥?
千: 殺害して、取り戻そうとした。
‥‥それだけのことです。
成: ‥‥‥‥‥‥‥う‥‥‥‥‥‥‥
ウソだわわああああああぁぁぁん!

(ざわめきが起こる)
ち: ちょっと、ジャマよ。
どきなさいな‥‥リュウちゃん。
ほんッと、宇宙のはてまで
たよりにならないオトコ。
あれほど、わたしのコトは
だまっておけ、って言ったのに。
‥‥クズがッ!
裁: しょ、しょ‥‥証人‥‥?
千: どうやら‥‥この裁判も、
終わりが近づいてきたようね。
ち: どうあっても、このわたしを
殺人犯にしたいみたいね。
千: あなたがやったのよ。
‥‥美柳 ちなみ。
ち: どうかしらね。
‥‥証拠はどこにあるの。
あのペンダントは、泣き虫ボウヤの
おやつになっちゃったのよ?
千: う‥‥。そ、それは‥‥
ち: ちょっと、ジイさん!
トボけたツラで座ってないで!
‥‥アンタも
なんとか言ったらどうなのよ。
裁: しょ、証人!
あなたは、いったい‥‥
ち: ハン! ‥‥ナニを
おどろいてるんだか‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
こちらのほうが
お気にめしまして? オジサマ。
裁: うむぐぐぐ‥‥!
ち: 証拠もなく、善意の証人を
殺人鬼あつかい‥‥
‥‥おハナシになりませんわ。
わたし、帰らせてもらいますね。
裁: い、いや。しかし‥‥
ち: ‥‥じゃあ。そこのイキがった
おばさまに、処分をよろしく。

(綾里千尋「待った!」)
千: (このまま逃がすワケには‥‥!)
星: ‥‥ダメぢゃ、千尋クン!
証拠もなく、これ以上
食い下がったら‥‥
チミは、サイアクの処分を
受けることになるぞ!
千: サイアクの‥‥処分?
裁: ‥‥二度と弁護士バッジを
つけられなくなるでしょうな。
千: そ、そんな‥‥!
ち: よおく考えるコトね。
‥‥おばさま‥‥
裁: いかがですかな? 弁護人。
彼女の犯行を立証する、決定的な
証拠を‥‥提示できますかな?
千: (ここでミスをすれば‥‥
私の弁護士生命は、オシマイ。
正直なところ‥‥今の時点で
決定的な証拠は、ないわ。
でも‥‥
逃げるくらいなら、弁護士バッジ
なんて、捨てたほうがマシよ!)
裁判長! 弁護側は、
証拠を提示したいと思います!
亜: ま、まさか‥‥!
できるワケがない!
ち: ‥‥バカなオンナ‥‥
裁: すでに、ギロンはじゅうぶんである
‥‥私は、そう考えます。
したがって‥‥証拠品の提示を、
1つだけ、許可しましょう。
千: ひ、1つだけ‥‥!
裁: それで、この証人の犯行が
立証できなかった場合‥‥
成歩堂 龍一に対する判決は
ゆるぎないものになるでしょう。
千: ‥‥わかりました。
ち: おばさま。ちなみが
しっかり、拝見しておりますわ。
花を咲かせるコトもなく、
ミゴト散りゆくサマを‥‥
千: (彼女は、成歩堂 龍一の
毒殺をたくらんでいた‥‥
それならば! 毒はたぶん、
アレに仕込まれていたはず!)
裁: それでは、弁護人。
‥‥提示してください。
美柳 ちなみが毒殺をたくらんだ
ことを、完全に立証する証拠とは!

(「カゼゴロシ・Z」を選択)
千: これが‥‥最後の、そして
決定的な証拠です。
裁: カゼゴロシ・Z‥‥
成歩堂くんのカゼ薬、ですか。
亜: うふふふふふ‥‥新米弁護人どのは
カゼぎみ、ですかな?
千: もし、私がカゼをひいても‥‥
この薬だけは飲まないでしょうね。
なにしろ‥‥
猛毒が入っていますから。
裁: な‥‥なんですと!
千: 被告人の証言を
思い出してください。
成: 『事件のあった日のおヒルごはんの
ときから、なくなっちゃって。
おヒルはいつも、ちいちゃんと
2人っきりで食べるんですよ。』
千: 被告人のカゼゴロシ・Zは
彼女に盗まれたのです。
猛毒を仕込んで、成歩堂 龍一に
飲ませるために!

(亜内検事「異議あり!」)
亜: ば、バカなことを‥‥!
そのビンを持っていたのは、
被害者の呑田 菊三ですぞッ!
千: みなさん。‥‥半年前の事件を
思い出してください。
美柳 ちなみが、
どこに証拠をかくしたか‥‥?
裁: ど、どういうコトですかな?
千: 半年前‥‥毒薬は、ペンダントの
中に入っていました。
彼女は‥‥それを、
他人に押しつけてしまったのです。
たまたま資料室で会った青年、
成歩堂 龍一に!
そう‥‥。
今回も、同じでした。
被害者を電柱にたたきつけた
成歩堂 龍一は、現場から去った。
そこに現れたのが‥‥
美柳 ちなみでした。
彼女は、毒入りのカゼゴロシ・Zを
持っていた。
‥‥もちろん、成歩堂 龍一を
毒殺するために‥‥。
裁: 被告人に会いに行くところだった
‥‥そう証言していましたな。
千: 彼女は現場で、すべてを聞き、
そして‥‥見ていた。
被告人と被害者のケンカの内容も、
送電線が切れたのも。

”呑田 菊三を生かして
おいては、あぶない‥‥!”
千: ‥‥彼女は送電線を使って、
呑田 菊三の口をふさいだのです。
ところが‥‥ここで、
困ったことが起こりました。
立ち去ったはずの成歩堂 龍一が、
現場に戻ってきたのです。
さらに、実験機械が止まったため、
薬学部の学生たちまで現れた。
彼女はアセったはずです。
なにしろ、猛毒入りのカゼ薬を
かくし持っていたのですから。
”もし、身体検査をされたら?”
半年前と、同じ状況‥‥
亜: は、半年前‥‥
千: 彼女は‥‥あのときと同じ方法で
毒薬を始末したのです!
他人に押しつけた!
‥‥呑田 菊三の、手の中に!

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ち: どうしたのかしら? みなさん。
ダマりこんじゃって。
‥‥こんなの、バカなオンナの
妄想に決まってるじゃない。
‥‥ねえ、オジサマ‥‥?
亜: え‥‥ッ!
‥‥そ、そのとおりですな。
苦しまぎれの、逃げ口上‥‥

(綾里千尋「異議あり!」)
千: ”苦しまぎれの逃げ口上”‥‥
果たして、どちらのことかしら。
‥‥じゃあ、ちなみさん。
この薬‥‥
あなた、飲めるかしら?
ち:‥‥!
千: なるほどくんは
あのペンダントを食べたわ。
あなたも試してみる?
運がよければ‥‥助かるかもね。
ち: ‥‥‥‥ッ!
千: もし、あなたが無実だと
主張するのならば‥‥
たった今、それを証明しなさい!
‥‥この薬を、飲みくだしてッ!
ち: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥ぐ‥‥ぐぐううう‥‥‥‥
アヤサト チヒロ‥‥‥‥‥‥‥
アヤサト チヒロオオォォ‥‥‥
‥‥コレデ
ワタシニ勝ッタツモリ?
千:‥‥!
ち: ク‥‥クク‥‥クククク‥‥
‥‥イイワ‥‥オバサマ!
今日ノトコロハ‥‥
今日のところは
花を持たせてあげますわ。
千: きょ‥‥
”今日のところは”‥‥?
ち: わたし‥‥このままでは
終わりませんわよ。
また、いつか。
お会いするわ‥‥かならず。
千: ‥‥‥?
ち: それでは、おじさま‥‥。
また遊んでくださいませね。
裁: え! ‥‥は、はあ。
よろしく‥‥
ち: じゃ‥‥わたし、おまわりさまの
もとへ参りますので。
ごきげんよろしゅう‥‥みなさま。

千: (これで‥‥
やっと、終わったのね‥‥)

(亜内検事「異議あり!」)
亜: こ‥‥こんなバカな話‥‥
私は認めんぞッ!
弁護人の主張には、
なんらコンキョがないッ!
裁: し、しかし‥‥もう、
本人も認めているのですよ?
亜: そ、そんなコトはカンケイない!
この、亜内が! 亜内 武文が‥‥
こんな新米弁護士に!
あってはならないコトなのだッ!
千: じゃあ‥‥亜内検事さん。
あなたにお聞きします。
亜: な‥‥なんだッ!
千: このクスリ‥‥飲めますか?
亜: ‥‥え‥‥!
千: あなたは‥‥、さっき私に、
こう言いましたね。
亜: 『はあ‥‥。いいですかな、
新米弁護士さん。
私は‥‥証人・美柳 ちなみさんを
イノチをかけて信頼している!』
千: ‥‥あなたが、本当に
彼女を信じているのなら‥‥
この薬に、毒など入っている
はずがない‥‥そうでしょう?
亜: う‥‥むむ‥‥それは‥‥そうかも
しれないようなそうでもないような

(綾里千尋「異議あり!」)
千: 歯切れも往生ぎわも思いきりも、
何もかもが悪すぎます!
‥‥さあ、センパイ。
この新米に、証明してください。
どのていどの覚悟をもって、
証人を”信頼”していたのか!
あなたが”かけていた”と言う
イノチが、どれほどのものなのか!
亜: う‥‥うううう‥‥ううううううう
うわあががあああがががあああがが
あがあがあがあああああがががが
毛が毛が毛が毛が毛が毛が毛が毛が
抜ける抜ける抜ける抜ける抜け
抜け落ちてゆくぞおおおおおおおお
おおおオオオオオオオオオオオオ
おおおおおおオオオオオオオオおオ
おおぉぉぉォォォォぉぉぉォ‥‥

裁: ‥‥それで、亜内検事。
美柳 ちなみは?
亜: は、はッ! 先ほど、
緊急逮捕の手つづきを‥‥。
裁: ふう‥‥やれやれ、ですな。
だいたい、最初から
アヤしいと思っていました、私は!
千: (‥‥ウソおっしゃい!)
裁: ところで、弁護人?
千: は、はい!
なんでしょう?
裁: あなたは、美柳 ちなみを
知っていたようですが‥‥?
千: ‥‥‥‥‥‥‥
それは‥‥本件とは
関係のないことです。
裁: ふむう‥‥。
そうですか、わかりました。
‥‥ええと、亜内検事。
亜: アクムだ! これはユメなんだ!
この亜内が、自分のムスメみたいな
裁: ‥‥カミの毛とタマシイが
抜けきってしまったようですな。
しからば、被告人。
成: ‥‥うう‥‥ウソだ‥‥
ちいちゃん‥‥うええ‥‥げほっ。
裁: どうやら‥‥
そろそろ、この法廷も
終わらせたほうがいいようですな。
では、被告人・成歩堂 龍一に
判決を言いわたしましょう!


(無罪判決)

裁: ‥‥では、本日はこれにて閉廷!


同日 午後3時16分
地方裁判所 被告人第3控え室

星: 千尋クン!
もお、スバラシかったぞい!
千: ありがとうございます。
星影先生。
星: 判決の瞬間、ワシのシリも
わななき、ヒリつきおったワイ!
千: ‥‥あの。何かとおシリを
持ち出すの、やめません?
星: うむ! これはシツレイ。
とにかく、今日はワシも
考えさせられたぞ。
依頼人との”信頼関係”。
そのコトバの、本当のイミを‥‥
見失っているのは、ワレワレ
ベテランのほうかもしれんのお。
成: ‥‥‥‥‥‥
千: あ‥‥
おめでとう! なるほどくん。
成: あの‥‥。ボク、
思ったんですけど‥‥
千: ‥‥? なにかしら。
成: 今日のちいちゃん、本当に
ホンモノだったんでしょうか!
千: ‥‥はい?
成: ボクのちいちゃん、あんな
ヒドいコト、言う子じゃないし‥‥
もしかしたら、
よくできたニセモノ‥‥
千: (うう‥‥まだ、やられ足りないの
かしら、この子は‥‥)
彼女のことは忘れなさい。
‥‥それが、イチバンいいわ。
成: ‥‥‥‥‥‥そう、ですよね。
それしかないんですよね。
千: それから‥‥もう少し落ちついて。
オトナになりなさい。
成: え! ‥‥でも、ぼく!
トモダチの中じゃあ、いちばん
オトナだって言われてるんですよ!
千: (どんなトモダチづきあいを
してるのかしら‥‥)
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ぼく‥‥今、弁護士を
目指して、勉強しているんです。
千: そうらしいわね。
でも、あなた‥‥
たしか、芸術学部だったんじゃあ?
成: え、ええ。まあ、
そうなんですけど‥‥。
どうしても、助けたい
友だちがいるから。
急げば‥‥今なら、
まだ間に合うはずなんです!
千: ‥‥そうなの。
成: ねえ、千尋さん。
弁護士は‥‥困ってるヒトを
救うことができるんですよね?
千: ‥‥なるほどくん。
私も、まだまだ新米なのよ。
でも‥‥私は、そう信じてるわ。
成: ぼく‥‥勉強します。
かならず、弁護士になるから!
だから‥‥またいつか。
法廷で会おうね、千尋さん!

成: ‥‥ぼくが無罪判決を受けてから、
5年の月日が流れた。
ぼくは弁護士になって、
なんとか友だちを救い出し‥‥、
千尋さんは、この世を去った。
この事件は、ぼくにとって
ツラい思い出だ。
そして‥‥それと同時に、
とても大切な思い出でもある。
‥‥もう二度と、ふり返ることは
ないと思っていた記憶‥‥
千尋さんは、もういない。
でも‥‥。彼女はいつでも、
ぼくに語りかけてくれる。
千: 『なるほどくん。
何があっても、依頼人を信じるの。
法廷で最後に必要になるのは、
‥‥そのチカラよ。』
成: あの事件から5年たって‥‥
彼女のコトバを、ぼくはもう一度、
噛みしめることになるのだが‥‥
‥‥それはまだ、少し先の話だ。


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