第3話『逆転のトノサマン』第1回法廷(前編)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
荷星 三郎…紺
オバチャン(大場 カオル)…灰
スタッフの子…黄
大滝 九太…黄緑
カントク(宇在 拓也)…橙
姫神 サクラ…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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10月18日 午前10時
地方裁判所 第4法廷

裁: これより、荷星 三郎の
法廷を開廷します。
御: 検察側、
準備完了しております。
成: 弁護側、
準備完了しております。
裁: 御剣検事。
冒頭弁論をおねがいします。
御: 被告人・荷星 三郎は、
10月15日、午後2時30分、
英都撮影所・第1スタジオで、
俳優・衣袋 武志を殺害した。
この犯行は、被告以外の人間には
不可能だった。
本法廷で、検察側はその点を
完全に立証するだろう。
裁: ふむぅ。‥‥なるほど。
それでは、
審議に入りたいと思います。
御剣検事、最初の証人を
入廷させてください。
御: では、まず、おなじみ
イトノコギリ刑事を。
まず、この事件について、
かるく説明してほしい。
糸: はッ。
では、上面図で説明するッス。
今回は、撮影所全体の位置関係が
重要ッス。
ここがスタッフエリア。
午前中、ここでアクションの
打ち合わせがあったッス。
ここが、撮影所の正門前。
午後1時から、警備のオバチャンが
ずっと立っていたッス。
警備員の詰所を過ぎると、
ゲートがあるッス。
ここを過ぎると、
スタジオがあるッス。
ここッス。
‥‥第1スタジオ‥‥。
死体が発見された、殺人現場ッス。
さて、事件があった10月15日。
午前中、この撮影所には、
被害者の衣袋 武志、
被告人の荷星 三郎、
スタッフの女の子の、
3人しかいなかったッス。
正午まで、撮影所のスタッフは
全員、スタッフエリアにいたッス。
そして昼食後、被害者の
衣袋は、1人で第1スタジオへ。
午後1時、警備のオバチャンが
詰所に入ったッス。
そして、午後5時。
衣装をつけたリハーサルを
するため、
第1スタジオにスタッフたちが
集まると‥‥
被害者の死亡推定時刻は、
2時30分ッス。
凶器は、胸に突き刺さった
<<トノサマン・スピアー>>ッス。
これが、事件の流れッス。
‥‥もう1回、聞きたい人が
いたら、説明するッスけど‥‥?
成: (どうしよう。
もう一度、聞こうか‥‥?)

(「聞かない」を選択)
成: (まあ、なんとかなるだろう‥‥)
裁: 凶器は、<<ヤリ>>ですか。
‥‥これはまた、ブッソウな‥‥。

(証拠品<<トノサマン・スピアー>>を
法廷記録にファイルした。)
御: よろしいか。裁判長。
この事件は、実にシンプルな
ポイントにまとめることができる。
すなわち。
<<警備詰所にいたオバチャンは、
ナニを見たか‥‥?>>
裁: ‥‥なるほど。
御: ではさっそく、その警備員に
入廷していただこう。

御: 証人の名前を。
オ: ‥‥‥‥
あら。
ちょいとアンタ、イイ男だね!
オバチャン、ちょっと
トキめいちゃったョ。
御: な、名前を聞いている!
オ: ヤダねこの子、テレちゃってサ。
‥‥”オバチャン”でいいわョ。
御: たのむから、名前をッ!
成: (御剣のやつ、証人から
名前を聞くのがニガテらしいな)
オ: 大場 カオル(おおばかおる)ョ。
”オオバサン”も”オバチャン”も
たいして変わらないでショ。
そうそう、オバチャンもホラ、若い
ころからオバチャンだったワケじゃ
ないでしょだからねえムカシはよく
イジメられたりもしたワケよこれで
中学生のころアコガレていた将棋部
のセンパイがいてねェそのカレにサ
オバチャン呼ばわりされたときは
もうオバチャン泣いちゃったわねェ

(御剣検事「異議あり!」)
御: しょ‥‥証人のオシャベリに
異議を申し立てる。
裁: 異議を認めます。
証人は、オシャベリを
やめるように。
オ: これからオモシロくなる
ところだったのに‥‥。
御: では、
証言を始めていただく。
裁: 証人は、事件当日、正門前に
詰めていたんですね?
オ: そうョ。
裁: 殺人現場へ行くには、証人の
目の前を通るしかない?
オ: 話がわかるオッチャンだねェ!
裁: ‥‥‥‥。
証言をおねがいします。
成: (”オバチャンパワー”
おそるべし‥‥!)

(事件当日について)
オ: 『オバチャン、事件があった日は、
午後1時に詰所に入ったのョ。』(証言1)
『イブクロちゃんたちは、午前中から
打ち合わせしてたんだけど。』(証言2)
『オバチャン、ちょっと午前中は
‥‥その、用事があってサ。』(証言3)
『ま、とにかく、午後1時に
詰所に入ったわけョ。』(証言4)
『それから、午後5時までは
ず〜っと正門のあたりにいたわネ。』(証言5)
『イブクロちゃんの事件があったの、
午後2時30分ごろでショ?』(証言6)
『2時ごろにね。オバチャンの
目の前を通った男がいたのよ。』(証言7)
『荷星よ荷星。あの男がね。
スタジオの方へ歩いていったのサ。』(証言8)
裁: ふむう‥‥。
被告人がねぇ‥‥。
では。さっそく<<尋問>>を
してもらいましょうか。
成: はい。

(「証言8」に「荷星(?)の写真」をつきつける)
成: いいですかオバチャン!
あなたは昨日から、何度も
”荷星さんを見た”と言ってます!
その”荷星さん”とは、
この写真の男のことですか!
裁: ちょ、ちょっと待ちなさい。
‥‥成歩堂くん。
その写真、私にも見せてください!
‥‥‥‥‥‥。
なんですか‥‥これ。
成: ネオ・エドシティを守る男、
トノサマンその人です。
オバチャン!
あなたが見た”荷星さん”とは、
この人物のことですか!
オ: 決まってるでショ!
ダレが見たって荷星じゃない。
ねえ、アンタ。
御: ‥‥え。
‥‥‥‥。
あー、うむ。
‥‥ど、どんなものだろう。
成: たしかに、荷星さんは
トノサマンの役をやっています!
しかし、荷星さんは
トノサマンじゃない!
オ: ‥‥‥‥!
わ‥‥わかってるわョ!
裁: ええと‥‥そのぉ、証人。
成: (”オバチャン”と呼ぶには
抵抗があるらしいな‥‥)
裁: この人物が、被告人・荷星さん
だという証拠は、ないんですか?
オ: やだネ、
うたぐり深いオッチャンは。
あるに決まってるじゃない、証拠。
成: なにっ!
御: えっ!
成: (なんで御剣まで
おどろいてるんだよ‥‥)
御: オバ‥‥証人。
知っていることは、ちゃんと
前もって話しておいてもらいたい!
オ: ナニ言ってんのよ!
オバチャン、この写真を刑事に
見せてあげたのに、
”こんなの、証拠にならんから
いらねッス”って、
見向きもしなかったんじゃない!
御: うむむ。
成: (御剣も、オバチャンには
カタナシだな‥‥)
裁: では。<<証言>>をして
いただきましょう。

(写真の男は荷星である)
オ: 『オバチャンね、イイカゲンなこと
言うの、大ッキライなのョ。』(証言1)
『午前中、スタッフエリアで
打ち合わせしたんだけどサ。』(証言2)
『その打ち合わせのとき、荷星のヤツ
ころんじゃったんだよ。』(証言3)
『大事な小道具もこわれちゃうし、
ちょっと大変だったね。』(証言4)
『荷星も、思いっきり足を
ヒネっちゃってさァ。』(証言5)
この写真、よく見なさいョ!
『ちゃんと写ってるだろ?
‥‥足を引きずってるところがさ。』(証言6)
『だから、コイツは荷星なんだョ。
わかったかい?』(証言7)
裁: ふむう、足にケガを
していたわけですか‥‥。
では、成歩堂くん。
‥‥<<尋問>>を‥‥。
成: (とにかく、ゆさぶりをかけて
情報を探り出そう‥‥)

(「証言3」をゆさぶる)
成: ”ころんだ”‥‥?
オ: そうだよ。トノサマンのくせに、
マヌケったらありゃしないョ。
荷星のやつ、
足をひねっちゃってさ。
しかたない、オバチャンが
手当てしてあげたわョ。
裁: 手当て‥‥ですか?
オ: ツバつけてやった。
裁: そ、それはそれは。
成: そのとき、スタッフの女の子は?
オ: ああ。あの子はずっと大道具を
片づけていたからね。
荷星のケガのことは知らないョ。
成: (ふうん‥‥)
御: では、証言をつづけていただこう。

(「証言4」をゆさぶる)
成: 小道具がこわれたんですか?
オ: ああ。
トノサマン・スピアーがね。
成: (トノサマン・スピアー?
凶器じゃないか!)
オ: オバチャンがね。とりあえず
ガムテープで修理したんだけどさ。
成: (ふうん‥‥。それって、
けっこう重要なんじゃあ?
法廷記録にメモしておくか‥‥)

(証拠品<<トノサマン・スピアー>>の
データを書き直した)
御: そこまで!
‥‥いかがだろうか。
裁判長。
裁: 1つ、気になることが
あるのですが‥‥?
御: なんだろうか?
裁: その”トノサマン”の着ぐるみは、
今、どこにあるんですか?
御: う‥‥うむ。
それが、実は
どこにも‥‥見あたらなくて、
現在、捜索中である。
裁: ふむう‥‥。
御: とにかく!
証人が見たのは、たしかに
”トノサマン”ではあるが、
その中に入っていたのは、
被告人・荷星としか考えられない。
裁: ふむう‥‥そうですね‥‥。
成: (裁判長が迷っているぞ‥‥)

(「異議を申し立てる」を選択)
成: ちょっと待ってください!
可能性が高かろうが、トノサマンは
トノサマンです。
証人は、荷星さんのすがたは
見ていない!
裁: ふむう。
弁護人の言うとおりですね。
それに、この写真の人物の他には、
犯行のチャンスはなかったか‥‥?
‥‥という問題もあります。
御: では次に、その点をあきらかにして
お目にかけよう‥‥。
証人。‥‥続けて証言を
していただこう。
オ: まかしときなョ!

(事件当日について・つづき)
オ: 『イブクロちゃんが死んだ時間は、
午後2時30分だったよネ。』(証言1)
『その時間までに、オバチャンが見た
人間は、この荷星だけだョ。』(証言2)
『他には誰も、スタジオへ行った
ヤツぁいないんだ。』(証言3)
『もしいたら、このオバチャンが
見ているはずだからネ!』(証言4)
裁: ふむう‥‥。
もし、スタジオに向かったのが
この人物だけならば、
このトノサマンこそが、
犯人ということになりますが‥‥。
では、成歩堂くん。
‥‥<<尋問>>を。

(「証言3」に「荷星(?)の写真」をつきつける)
成: ちょっと待ってください!
もう一度、
この写真を見てください。
これは、スタジオに通じるゲートの
カメラが撮った写真ですね?
オ: ああ、そうだョ。
成: 誰かがここを通ると、カメラが
自動的に写真を撮るんですね?
オ: よく知ってるネ?
成: ‥‥そして。
写真のデータは、詰所の
パソコンに記録されます。
オ: アンタもウチで
はたらくかい?
成: この写真は、そのパソコンで
プリントアウトしたものです。
ウラに<<10ガツ15ニチ
ゴゴ2時 2ニンメ>>とあります。
オ: そりゃアンタ”午後2時に撮った
写真”ってことだョ。
成: そんなことはわかっています。
問題は、”2ニンメ”の部分です。
オ: ”2ニンメ”‥‥?
成: パソコンには、写真のデータは
これ1枚きりでした。
それならば‥‥
この写真には<<1ニンメ>>と
書かれていなければおかしい!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に!
成歩堂くん!
どういうことですか!
成: ぼくの方が聞きたいですね。
この証拠品は、”2人の人間”が
スタジオに行ったことを証明する。
しかし、写真のデータは1枚しか
残っていない。
そのデータを消したのは‥‥
オバチャンしかいない!
オ: ‥‥‥‥ええッ!
オバチャン、知らないよッ!
オバチャン、あの日は荷星しか
見てないんだからね!
成: しかし、ゲートのカメラは
”2人通った”ことを示している!
オ: ううん‥‥まあ、
そういうことになるねェ‥‥。
裁: どういうことですか?‥‥証人。
オ: ‥‥‥‥うう。
オバチャンに聞かれても‥‥。
ちょ、ちょっと、ミッちゃん!
‥‥助けてちょうだいョ!
御: えッ!
カ、カンベンしていただく。
‥‥私も知りたい。
オ: フン!
かわいげのない子だよ。
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥コドモ‥‥‥‥?
裁: どうしましたか?
証人。
オ: そ、そうだった!
‥‥オバチャン、
思い出しちゃったョ!
裁: もしかして‥‥。
このトノサマンの他に、
誰か通った人がいたんですか?
オ: うう‥‥ん。
ま、そういうことになるのかねェ。
裁: ふう‥‥。やれやれ。
では、<<証言>>を。

(”もう1人の人物”のこと)
オ: 『オバチャン、その日の警備が
終わると、もうひとシゴトあるの。』(証言1)
『パソコンに記録された写真を
チェックするんだけどサ。』(証言2)
『あやしくない写真のデータは、
オバチャン、消しちゃうのョ。』(証言3)
『そういえば、事件の日、
1枚、消した覚えがあるョ!』(証言4)
御: しょ、証人!
そんなコト、初めて聞いたぞ!
オ: そりゃそうでしょ。
今、思い出したんだからサ。
裁: と、とにかく、成歩堂くん。
<<尋問>>を‥‥。
真: なんかまた、スゴいことに
なってきたね‥‥。

(「証言4」をゆさぶる)
成: そ、その”消した”1枚には、
誰が写っていたんですか!
オ: ファンだョ。
成: ファン?
オ: トノサマンのサ。
熱狂的な‥‥ネ。
リハーサルの情報をどこからか
仕入れてきて、
ウロチョロする連中がいてねェ。
‥‥あの日も、1人‥‥。

(成歩堂「異議あり!」)
成: ちょっと待ってください!
さっき証人はこう言ったはずです!
”撮影所の正門にはカギをかけた
から、誰も入ってこなかった”
オ: いやネ。
スタッフエリアにサ、排水口が
あるんだけど。
あそこ、金網が
はずれちゃっててねェ。
アレ、そとにつながっててサ。
あそこから入ってくるんだョ。
成: あ、あんなところから
入ってくるんですか?
オ: 言ったろ? 相手は
”熱狂的なファン”なの。
それに、
成: それに?
オ: ‥‥コドモだからね。
成: こ、子供!
じゃ、じゃあ! オバチャンが
消した写真に写ってたのは‥‥?
オ: 男の子だョ。
‥‥小学校2、3年生ぐらいの。

(ざわめきが起こる)
裁: せ、静粛に! 静粛に!
もう一度、カクニンします。
あの日、証人の目の前を通って
スタジオに向かった人物は、2人。
1人は、足を引きずった
トノサマン。
そしてもう1人は、
小学2、3年生の男の子。
オ: そうだョ。‥‥いつものことでサ。
追っかけても
つかまりゃしない。
御: 小学2、3年生の少年‥‥か。
凶器のトノサマン・スピアーを
あつかうのはムリだろうな‥‥。
裁: ムリでしょう。
あれはけっこう、重いですから。
オ: ネ? カンケイないだろ事件とは!
だからオバチャン、データを
消しちゃったんだョ。
真: ね。なるほどくん、
どういうこと?
犯人のコウホがもう1人、
登場したんだよね?
成: そして今、早くも
退場していくところだ。
裁: ではここで、5分間の
休憩をとります。
弁護側・検察側とも、
ただ今あきらかになった事実を、
検討していただきたい!


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