食べさせるもの
まだ立てる子の食べさせ方
立てない子の食べさせ方
ごはんを食べない子の食べさせ方
わんこのための飲み物
薬の与え方



★食べさせるもの★


 年をとってくると、よく老年用のドッグフードというのが市販されているので、ついそれを買ってきてしまいます。そういうタイプは大抵、成年用に比べて、たんぱく質や脂肪を抑えてカロリーを減らしてあります。肥り気味の老犬にはいい食事なのですが、食欲の落ちたわんこにはあまり適していません。まして体重が落ち始めたわんこには逆効果です。
 高カロリーの療養食が最適です。消化が良く、少量でたんぱく質や脂肪、ビタミンを取れるものが良いです。わんこに合わせて選んであげましょう。
 また、年をとって歯やあごが弱ってきますが、ちゃんと固いものを食べさせてあげることも大事です。噛むことはボケや虫歯の防止にとても良い効果をもたらします。


★まだ立てる子の食べさせ方★


 わんこがまだ立てる場合は、ちゃんと立たせて食べさせてあげましょう。
 散歩のときと同じように、人間が後ろ足やおしりを支えてあげます。ただ、人間が中腰のまま支えると、時間が長すぎてとても耐えられません。人間がしゃがんで、膝の上にわんこのおしりを乗せるようにするといいでしょう。
 また、前足の弱っているわんこは、首を下に曲げて食べるのが難しい(重心を前にすると倒れやすい)ので、台を使って高くするか、人間が持ち上げてあげると良いです。


★立てない子の食べさせ方★


 立てない子は、仕方ないので寝たまま食べさせます。
 人間がひとつひとつ摘んで、口の中に放り込んであげます。口の横からこぼれた食べ物が寝床を汚すので、口の下にタオルをしいておくといいでしょう。
 水の場合、人間が支えれば上半身が立つ子は、上半身を起こして飲ませ、それすらもおぼつかないわんこには注射器で少しずつ水を飲ませてあげるしかありません。
 口の下に発砲スチロールのトレイ(スーパーで小魚を売ってるとき入れてるような皿)をしいて、注射器で口に水を入れてやる(→ごはんを食べない子の食べさせ方の中身を水に変えたもの)と、口からこぼれた水が回収しやすくなり、飛び散りません。わんこが飲みたくなくなったら、口を動かさなくなり全部こぼれるはずなので、目安もつけやすいです。他には、口の下にタオルをしいて、スプーンで少量ずつ口の中に水を流し込む方法もあります。牛乳など、こぼすともったいないもの、大量に与えない飲み物には、この方法が良いでしょう。


★ごはんを食べない子の食べさせ方★


 夏になると、人間も夏バテで食欲が落ちます。その他モロモロの理由で、わんこの食欲が落ちてしまうことがあるのは困りもの。ただでさえ動けなくて筋肉が落ちているというのに、ますます痩せてしまいます。
 ひとまず、何でもいいので食べさせるのが先決。おいしい食べ物(肉や魚、パンやうどんなど、とにかく好物)をあげて、とりあえずカロリーを確保しましょう。もちろんドッグフードを食べてくれるのが一番いいので、犬用のふりかけをかけたり、肉の煮汁をかけたりして、食べてくれるよう工夫します。
 どうしても固形物を食べない場合は、流動食しかありません。1日2日なら、ウィダーインゼリーが良いでしょう。ゼリー状で食べやすく、味もついていて、カロリーも栄養もそこそこ取れます。ただし、こればかりが長く続くようですと、栄養が不足してしまいます。数日単位で食べない場合は、流動ドッグフードに切り替えた方がいいと思われます。


 流動食ドッグフードの作り方です。

1.固形ドッグフード(できれば療養食用)をお湯にひたす。
2.膨らんで柔らかくなったら、すり鉢とすりこぎで、ドッグフードを潰す。
3.さらにお湯を注いで、ドッグフードをどろどろにする。
4.注射器(必ず針ナシ)でわんこの口の奥に入れる。

 固形ドッグフードは水でもふやけますが、お湯の方が早くふやけます。また、膨らむとかなり容量が増すので、容器は大きめのものを。
 すり鉢は、赤ちゃんの離乳食用のものが、大きさ的に扱いやすいです。
 全体的なお湯の量は、あまり多くなりすぎないように。水分量が多すぎると、おなかがゆるんでしまいます(うちのわんこは、できるだけ量を少なくしたにも関わらず、最初は数日ごとにおなかを下したので、しばらく薬を常用してました)。ただ、あまり水分が少ないと、入れる方も飲み込む方も大変です。その兼ね合いは、わんこのおなかを見ながら調節してください。あと、口の奥に直接入れるものなので、温度は人肌で。
 注射器は、うちでは50mlの大型の注射器を使用していました。嫌がって吐き出すわんこもいるかと思いますが、うまく喉の奥に入れてください(あまり大量に勢いよくつっこむと、気管に入って咳き込みますので気をつけてください)。なお注射器とは、本来1回使い切りのものなので、4〜5食分ぐらいでゴムの部分が滑りにくくなります。そうなったら、ゴムの側面(注射器の筒と接する部分)に食用油を塗りましょう。1回塗れば、1食分使用できます。わんこの健康のため、低カロリーの健康植物油がオススメです。
 これを、1日数回に分けて(1食分はわんこのお腹に合わせてあげましょう。うちは3カップ食べさせるので、1日4回1食3/4カップあげてました)食べさせます。人間の膝や枕などに頭を乗せて、少し上を向かせてやると食べやすいと思います。
 ゼータク病のため食べないという子のためには、犬用ミルクなどを混ぜて与えてあげると良いでしょう。うちでは吐き出す回数が半分ほどに減りました。


★わんこのための飲み物★


 食べ物だけでなく、わんこの栄養には飲み物にも気をつかってやる必要があります。
 健康にまったく支障のないわんこの場合は、水だけでも大丈夫です。時には嗜好品として、ミルク等を飲ませてあげるのもいいでしょう。ただしもちろん、通常のわんこでも健康に支障の出ない程度に止めておきます。子犬用のミルクを使用すると、わんこのおなかにも優しいです。(牛乳の場合、与えすぎるとおなかを壊すおそれがあります)
 その他の飲み物としてオススメなのが、牛乳ヤクルトミルミル。牛乳はお通じを良くするための薬として使います。寝たきりになると人間もそうですが、腸内が動かないためお通じが悪くなる傾向があります。ヤクルトとミルミルはおなかをくだしやすいわんこのために腸内細菌を整える薬として使います。ヤクルトよりミルミルの方が、値段が高い分効き目もあるようです。
 うちのわんこの場合、おなかをくだしやすいので1日1本のミルミルを食事に混ぜて与え、またお通じが良くなるように朝1番(この時間が一番効果があるようです)に100ccの牛乳を与えてます。これで非常に状態の良い便とお通じを保つことができています。


★薬の与え方★


 わんこの若い頃は、せいぜいフィラリアなど月に1、2度しか薬を飲む機会がなかったかと思いますが、介護が必要になるくらい身体の弱っているわんこは、毎日薬を飲む子も多いでしょう。ちなみにうちでは、副腎皮質ホルモン(老化により不足しているため)、神経を敏感にする薬(脳からの指令ができるだけ届くように)、血行を良くする薬、抗酸化サプリメント(老化を遅らせる)、筋肉増強剤(週1回程度。どうしても筋肉が落ちてしまうので)、下痢止め薬(おなかを下したときだけ)、消炎鎮痛剤(足が痛いときの痛み止め)、解熱剤(発熱してるとき)を内服薬として使ってます。
 それから、便秘をしたときは、ミルミルを飲ませるのがとても効果的です。毎朝起きたときに、1個の半分ぐらいを飲ませると、お通じが良くなります。

方法その1:好物に混ぜて飲ませる
 チーズやパンやソーセージなど、わんこの好物の中に薬を入れて食べさせます。わんこの食べ飽きないものが良いです。
 うちでは、プリンを使ってました。プリンを少量スプーンですくい、その中に薬を入れて、プリンごと食べさせます。薬を吐き出してしまったらもう一度。粉薬は、プリンと一緒に容器に入れ、ぐちゃぐちゃにかき回すと、薬の混じったプリンができるので、それを食べさせれば良いので楽です。

方法その2:ウィダーインゼリーを使用する
 上記のプリンと使い方は同じですが、プリンよりさらに流動体のため飲みやすくなってます。うまく舌の下に入れれば、吐き出されにくいです。
 あまり冷蔵庫で冷やしすぎたのを食べさせると、おなかを壊しやすくなりますので、常温でしばらく温度を上げたものをあげると良いでしょう。
 人間の幼児用に市販されている、ゼリー剤でも問題ありません。

方法その3:食事に混ぜる
 粉薬や、粒の小さいカプセルはこれまでの方法で飲ませられますが、プリンやウィダーインゼリーを使用している場合、大きなカプセルでは吐き出されてしまうことがあります。そういうときは、食事に混ぜる方法があります。
 食事の肉の中に入れておいたり、ドッグフードにまぎれこませておいたりしておくと、気づかず食べてくれます。ただし、食事を残すわんこの場合は、薬も残されていないか確認しましょう。また、上記の流動食ドッグフード(→ごはんを食べない子の食べさせ方)の中に、粉薬や、分解したカプセルの中身を入れて飲ませるのもひとつの方法です。カプセルを分解する場合、中身だけを飲ませてもいいか、必ず獣医さんに確認してください。

方法その4:…ムリやり飲ませる
 大きい粒状の薬は、カプセルならば中の粉状の薬を取り出すことができるし、固い粒状のものは包丁などで割ることができます。しかし中身を取り出せなかったり、包丁で割るとかなり個数が多くなってしまう場合は、ムリヤリ飲ませるしかありません。
 口を開けさせて、できるだけ喉の奥に放り込み、口をふさいで飲み込むまで待ちましょう。わんこは嫌がるでしょうが、これは仕方ありません。また、あまりやりすぎるとわんこが怒りだしたり、喉に対して負担がありますので、1日2回程度に止めておくのが賢明です。