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モノバース (単子界)


モノバースとは何か?それは,概念であり,方法であり,システムであり,データ構造であり,基盤であり,通信路であり,かつ未来に向けてのパラダイムである.それは,およそ,ありとあらゆる資料を一般的に入力し,出力する.それは,絶対的にクリーンかつピュアなシステムである.それは,いかなるガベージコレクションも行わない.なぜなら,それはいかなる廃棄物も吐出しないからである.そして同時に,それは完全に強固で安全なシステムである.それはそれ自身によって,抽象グラフ検証系を構成する.それは,集合論とグラフ理論の基礎の上に直接構築される.それはそれ自身における真の関係データベースシステムであり,CRDB(Complex Relational Database System, 複合関係データベース)はモノバースの別名である.

我々は,たとえば人工頭脳のように極度に複雑な未来系を構築するためには,真にピュアでかつ強固な基盤が必ず必要であると考えている.モノバースはその名の通り,単一の素子(単子)のみから構成される世界である.プログラミングの観点から見たとき,単一素子のみからシステムを構成することの第一の利点は,すべての要素の動作を完全に把握し,監視することが可能であるというところにある.これは,完全に動作の保証された要素のみからなるシステムを構築するということを意味する.この意味において,モノバースは絶対的にピュアである.どのような夾雑物もここには混入しない.

完全に強固なシステムとはどのようなものであろうか?あるシステムの脆弱性は情報の欠乏によって発生する.矛盾の発生は,システムのある要素が他の要素のことを知らない場合にのみ起こる.すべての要素が他のすべての要素の状態を認識可能であれば,このようなことは発生しない.モノバースのすべての要素はつねに連結した状態にあり,外部と内部の境界はあいまいである.これは,オブジェクト志向の立場を完全に逆転したものである.オブジェクト志向が個中心主義的な関係を基礎とした自由なコミュニケーションの確立を目指すものであるとすれば,モノバースはより古代的かつ神権的な関係を想定している.

素粒子が物理法則に従うように,モノバースのすべての要素の動作を規定するものは,ある種の超越的な自然法則である.