クラシックには父よ呼ばれる作曲家が居ますが、TECHNOの分野にも存在する。

―――イエローマジックオーケストラ

 そう、Y.M.O.です。

 「細野晴臣」「坂本龍一」「高橋幸宏」と言う強烈な個性と才能を持つ三人が集まり、そしてテクノと言う分野を確立した、日本が世界に誇れる存在がYMO。

 私は残念な事に、年齢的にリアルタイムでのY.M.O.(YMOと略してはいけないらしい)の活躍は記憶に無いのですが、第一の接触は以外と早かった。

 アレはまだ、私が本能のままに生きていた幼稚園時代、正月になると東京の親戚の家に遊びに行く事が恒例になっていたのですが、そこで、バイオリンをやっていた親戚のお姉さん(3人姉妹の末っ子の人……だった気がする)から、一枚のLPを聞かせてもらいました。

 当時幼稚園児だった私は、お姉さん達が聞いていた音楽など全く興味が湧かなかったし、理解する事など不可能な時代でした。

―――が

 スピーカーから聞こえてくる音楽に私は――驚愕した。

 う、馬が走ってる!!

 そう、その音楽とはY.M.O.のライディーン(雷電)でした。
 この「チッチキ・チッチキ」から始まる「雷電」との出会いは、私の人生感を大きく変えたと言っても過言ではありません。

―――心が襲われた

 本当にそんな瞬間を迎えたのです。


 ここで少し、Y.M.O.について説明しておきます。
 Y.M.O.のファンには「第一世代」「第二世代」「第三世代」と言う世代が存在します。

 「第一世代」とは、まさにリアルタイムに接触し、コアなファンとなってY.M.O.を追い続けている方。
 続いて「第二世代」とは、リアルタイムのY.M.O.は見た事があるが、記憶に残っているかどうか微妙で、どちらかと言うと後に聞いた音楽によってファンになった人をさします。
 そして最後の「第三世代」ですが、これは東京ドームにてY.M.O.の目覚めを目撃し、「テクノドン」を聞いてファンになった人の事を言うらしいです。

 「第一世代」の人に言わせると、この第三世代の「ライディーンやテクノポリスしかしらないような世代」は、Y.M.O.のファンとして認めたくない人もいる様です。
 何故ならば、Y.M.O.の曲は表面に出てこないモノも多く、全ての曲がLPやCDになっていないし、リリースした国(UK版・アメリカ版・インド版など……色々ある)によってマスタリングやリミックスが違い、ライディーンなどだけでY.M.O.の真価ははかれないと思っているからです。

 テクノドンに関しての評価も賛否両論で、「聞きやすいテクノ」と言われる事もありますが、コアなファンにしてみると、Y.M.O.の全盛期の時の様なテクノを聞かせて欲しかったと思っている人も多いと言う。

 それから、Y.M.O.でのもう一つの楽しみは、CD(昔はレコード)のジャケットデザイン。私はUS版の「イエロー・マジック・オーケストラ」(1800円)のレコードのジャケットデザインに惚れています。

 着物を着た女性がサングラスをし、片手に団扇を持っているのですが、彼女の髪の毛が電気コード、つまりはプラグなどでできており、サイバーティックな感じが出されている凄いデザインなのです。
 今ならば、さほど珍しいデザインではないかも知れませんが、アレを、その当時の人間が作り上げたと思うと、その才能の高さを認めないわけにはいかない。
 今見ても、もの凄くセンスを感じられるジャケットだと、私などは脱帽の感でいっぱいです。

 そうそう、ちなみに私は第二世代と第三世代の中間?に位置しています。

 さて、「心が襲われた」私は、無理を言ってライディーンをテープに落としてもらい、家に帰ってから何度も何度も聞きまくりました。
 本当にテープがすり切れるくらいに聞きまくった曲は、後にも先にもY.M.O.のみで、今、あれ程に情熱を傾けた事のある音楽があるか?と聞かれても、まず見あたりません。

 好きとか嫌いとか、色々な音楽を聴いて思うのですが、そんな感情以上に心を惹かれたのは、「Y.M.O.」しか存在しないのです。

 どうして?と聞かれても困ってしまいます。

 多くのテクノソングが氾濫している現在、Y.M.O.が凄いと思わない人も多いと思います。
 某○室のテクノの方が凄いと感じる人の方が多いでしょう……それでも、私に取ってのテクノの原点は、Y.M.O.以外には無いのです。

 いや、現在でも、曲としての完成度の高さや、パフォーマンスのあり方、テクノへのスタイルに関して、Y.M.O.ほどの存在は現れていない、と、思っていたりします。

 テクノと言うのは、言ってしまえば誰にでも作れる音楽です。
 パソコンを使用して、サンプリングされた音楽や、用意されたモノをつなぎ合わせただけでも、それっぽいモノは作れるのですから……

 が、それだけでは、「どれを聞いても同じ音楽」にしかならない。
 Y.M.O.の音楽には、常に新しい試みやスタイルがあり、それがY.M.O.がテクノの父たる所以。

 私の座右の銘である「創造予知能力」と言う言葉は、Y.M.O.のテクノへの取り組みを見て、自分で作った言葉です。
 創造する余地(可能性)を見つけ、能力を発揮すると言う意味なのですが、Y.M.O.の音楽を聴いていると、不思議とこの言葉が浮かびます。

 そう、Y.M.O.の音楽は、私の体の中に染みこんでいるのです。


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